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意外に長引いた「ドコモ光 10ギガ」への速度変更
【ドコモ光 10ギガ】
2025年2月18日 00:00
「ドコモ光 10ギガ」に移行したいけど……
NTTドコモが提供する光回線サービス「ドコモ光」には、従来から提供されている「ドコモ光 1ギガ」に加え、より高速な「ドコモ光 10ギガ」が提供されている。これまで利用してきた「ドコモ光 1ギガ」のパフォーマンスに不満はなかったけど、ようやく「ドコモ光 10ギガ」が利用できる環境が整ったので、昨年、速度変更の手続きを申し込んだ。
「ドコモ光 1ギガ」から「ドコモ光 10ギガ」への切り替えは、速度変更だけなので、たいした手間はかからないと思っていたが、予想以上にストレスのたまる手続きだった。
「光回線」というと、インターネットに接続する回線のみを指すように思われがちだけど、実は固定電話サービスの「光電話」をはじめ、いくつものオプションサービスが提供されている。
筆者の場合、現在の家に引っ越した十数年前、NTT東日本の「フレッツ光」を敷設し、家族が利用する電話番号も含め、複数の電話番号が利用できるように、NTT東日本の「ひかり電話」を契約した。
2014年にNTTドコモが光コラボモデルの提供を開始したのに伴い、光回線の契約は「ドコモ光」に切り替えたものの、当初、ひかり電話の一部サービスがドコモ光で提供されていなかったため、一部のサービスはNTT東日本の契約のまま、継続する形を取っていた。
2020年には「ドコモ光 10ギガ」の提供が開始されたが、光電話が提供されず、申し込むことができなかった。当時、NTTドコモやNTT(持株)の会見でも「ドコモ光 10ギガで光電話を提供しないのか」といった質問が何度もあったが、NTTの反応は「市場のニーズを見て判断したい」という「つれない回答」ばかりだった。
そして、2023年5月にようやく「ドコモ光 10ギガ」向けの「ドコモ光電話」の提供が発表され、NTT東日本やNTT西日本契約の「ひかり電話」から移行できることになった。
ただ、NTTドコモのWebページでは「「ドコモ光 10ギガ」で光電話が利用できる」ということが伝えられるだけで、ホームゲートウェイはどうするのか、IPoEサービスはどうするのか、他のオプションサービスが利用できるのかといった情報がほとんど掲載されておらず、しばらく様子見の状態が続いた。
その後、いくつかの移行事例を見かけるようになり、いよいよ筆者も昨年夏、「ドコモ光 10ギガ」への移行(速度変更)手続きを進めることにした。
「ドコモ光 10ギガ」に申し込む前にプロバイダーの変更
「ドコモ光 10ギガ」への移行をはじめるにあたり、最初に手続きをしたのがプロバイダーの変更。これまで「ドコモ光 1ギガ」ではプロバイダーとして、BIGLOBEを利用していたが、「ドコモ光 10ギガ」の対応プロバイダーに含まれていないため、乗り換えざるを得なかった。
しかも「ドコモ光 10ギガ」への切り替えと同時にプロバイダーを変更することは受け付けておらず、とりあえずは「ドコモ光 1ギガ」契約のまま、プロバイダーの変更を手続きし、プロバイダー変更が完了した段階で、「ドコモ光 10ギガ」の移行申し込むという流れになる。
BIGLOBEに代わるドコモ光のプロバイダーは、「OCN」を選ぶことにした。プロバイダーにOCNを選んだ理由は、今回の「ドコモ光 10ギガ」への切り替えとも関係していて、ドコモ光に関連する契約をNTTドコモにまとめ、先般、切り替えた「dカードPLATINUM」で支払うことで、dポイントの還元を増やしたいと考えたからだ。
「ドコモ光 10ギガ」に合わせ、プロバイダー契約以外にもひかり電話のオプションサービスや「フレッツ・テレビ」などもNTTドコモの光電話と「ドコモ光テレビオプション」に切り替える計画だ。
光回線の契約を保持したまま、プロバイダーを変更した場合、どういうタイミングで接続が切り替わるのか、使えない時間が発生しないのかなど、いろいろと不安は尽きなかったけど、NTTドコモの「プロバイダ変更」のページには電話、ドコモショップ、ドコモオンライン手続きでできると書いてあるのみ。
結局、ドコモオンライン手続きで申し込んだが、これといった返答はなく、しばらくして「OCN」のロゴが印刷された封筒で書類が送られてきただけ。その書類には開通日が書いてあるものの、切り替えの時間帯や設定方法の変更などの説明はなかった。
結局、工事日を迎え、昼過ぎにインターネットに接続できなくなったことを確認し、ホームゲートウェイを再起動すると、無事にインターネットに再接続され、BIGLOBEからOCNへの移行が確認できた。
ちなみに、現在のホームゲートウェイは接続IDやパスワードといったインターネットへの接続情報が自動的に受信されて、反映されるしくみのため、ユーザーが自分で設定するのは、ローカル側(LAN側)のみとなっている。
いよいよ「ドコモ光 10ギガ」への移行を申し込んだが……
以前からドコモ光のサービス案内は、不親切という印象を持っていて、正直なところ、プロバイダー変更の流れを見て、相変わらず、残念な感じだったが、回線の切り替えはもっとひどい対応ぶりで、呆れてしまった。
「ドコモ光 10ギガ」への速度変更を申し込むと、約一週間程度で「ドコモ光コンサルティングセンター」から連絡が来た。
前述のように、今回は速度変更に加え、「ひかり電話」や「フレッツ・テレビ」などのサービスもNTTドコモ契約のものに切り替える旨を説明し、サービスの仕様の違いをどのように対応するのかを確認したところ、応対したスタッフはNTT東日本の「ひかり電話」とNTTドコモの「光電話」のサービス内容に差異があることを十分に理解しておらず、こちらが説明する始末。ったく、どっちが「コンサルティング」してるんだか……。
何度かやり取りした後、ようやく申し込み内容の仕様が決まり、今度は「ドコモ光サービスセンター」に引き継ぎ。スタッフがひとつずつ項目を確認して、いよいよ申し込みとなったところで、先方から 「申し込み(速度変更手続き)がエラーで申し込めません」 との回答。
「それはどう対処すればいいの?」とたずねると、 「おそらくNTT東日本さんで契約している何かのサービスがドコモ光に引き継げないためのエラーだと思われます。一度、NTT東日本さんにご確認いただけますか?」 とのこと。
しかたなく、NTT東日本に問い合わせたところ、 「いや、なぜ手続きがエラーになるのかは、こちらではわかりかねます。ドコモさんはそうやって、うちに丸投げしてくることが多く、困ってるんです」 と言われてしまう。
再び、ドコモ光サービスセンターに連絡して、NTT東日本の回答を伝え、数回、やり取りをくり返したものの(要するに「たらい回し」)、結局、解決できず……。
そこで、ドコモ光サービスセンターの担当者に対し、 「御社の端末で操作して、手続きがエラーになることについて、なぜ、契約者がNTT東日本に問い合わせて、調べなければならないのか?」 とたずねたところ、 「うちではエラーの原因がわからないからです。うちはNTTではありませんから」 という呆れた回答。
いやいや、言っときますが、御社の社名は「株式会社NTTドコモ」ですぜ。さすがに、この回答には筆者もカチンときてしまった。
思い返せば、総務省の競争政策の見直しを経て、2015年にNTT東日本/NTT西日本からの光回線の卸提供が認められたことで、ドコモ光の提供が開始され、2020年にはNTT(持株)がNTTドコモの完全子会社化を強行したことで、NTTグループとして、一体的な営業ができるようになったはず(その是非は別にして)。
にも関わらず、現場では未だにNTTドコモ、NTT東日本、NTT西日本の連携ができておらず、契約者の問い合わせをたらい回しにして、混乱させているわけだ。
筆者は仕事柄、各社のサービス内容やしくみをある程度、理解しているため、スタッフに対して、間違いを指摘して、問題を解決できたが、一般の人が問い合わせを何度もたらい回しにされた挙げ句、対応するスタッフから 「うちはNTTではありませんから」 と言われて、納得できるだろうか?
結局、ドコモ光サービスセンターでほかの人(上長)を呼んでもらい、ひと通り、状況を説明し、NTT東日本との間でエラー内容を確認後、折り返してもらうことになった。
その後、エラーの原因は当初のコンサルティングの段階でリストアップされていなかった「フレッツ・セッションプラス」の契約などが残っていたためで、これらを廃止することで、無事に速度変更の手続きが進められるようになった。
その他のオプションサービスについては、NTT東日本のひかり電話で提供されていた「FAXお知らせメール」が「ドコモ光 10ギガ」では提供されていないため、解約となったが、料金プランはNTT東日本の「ひかり電話A(エース)」に相当する「ドコモ光電話バリュー」が契約でき、「迷惑電話ストップサービス」や「ナンバー・リクエスト」などのオプションサービスも継続して利用できることになった。
ホームゲートウェイは分離型に変更
もうひとつ不安だったのは、光回線で利用するホームゲートウェイだ。というのも筆者宅では光回線でテレビを視聴するNTT東日本の「フレッツ・テレビ」を利用していて、契約そのものはNTTドコモの「ドコモ光テレビオプション」に移行できるが、「ドコモ光 10ギガ」導入で利用するホームゲートウェイがどういう製品なのかがわからなかったからだ。
これまで利用してきたホームゲートウェイは、ONU(Optical NetWork Unit)内蔵で、背面にはフレッツ・テレビのための「RF端子」(テレビ端子)が備えられていた。ここに同軸ケーブルを接続することで、テレビが視聴できていたんだけど、「ドコモ光 10ギガ」対応のホームゲートウェイにはそういった仕様を見かけないため、どのように接続するのかがわからなかった。
この点もドコモ光サービスセンターに確認したが、「工事の有無を連絡しますので、それまでお待ちください」という回答のみで、有効な回答は得られなかった。
当初は自分でホームゲートウェイを交換するくらいで済むだろうと考えていたが、結局、ドコモ光サービスセンターから宅内工事を実施する旨が伝えられ、工事の予定日は朝から部屋を片付けて、待機することになった。
工事に来てくれたのは、慣れた手つきでテキパキと作業を進めるベテラン担当者さん。パソコンや機材が並ぶ部屋の様子を見て、話が通じると思ってくれたようで、最近の工事の混み具合やサービスの状況、工事の際の苦労などが話題になった。いやぁ、やっぱり、現場の人はたいへんですね。わかりやすく説明していただいて、ありがとうございました。
結局、「ドコモ光 10ギガ」で「ドコモ光テレビオプション」で利用する環境の機器については、屋外から入ってきた光ファイバーを「SCM-PDS型「MK」E 光加入者線終端装置」に接続し、テレビの信号を分離。
続いて、この装置から「ドコモ光 10ギガ」対応のONU「10G-EPON」に接続し、最終的にホームゲートウェイ「XG-100NE 光電話ルーター」に接続するという構成。
つまり、従来の「ドコモ光 1ギガ」では一体型だったホームゲートウェイが「映像用ONU」「ONU」「ホームゲートウェイ(無線LAN対応ルーター)」に分離したわけだ。設置スペースが増え、配線が混雑したのは残念だが、とりあえず、問題なく動作したので、ひと安心。
10Gbpsサービスのパフォーマンスについては、まだ10Gb対応のハブが高価なため、導入しておらず、10Gbpsサービスを活かすにはクライアント側のパソコンのCPUパワーも求められることもあり、実効速度は「ドコモ光 1ギガ」のときと比べ、少し高速化した程度。予算が準備できたら、10Gb対応ハブやCat.6aのLANケーブルなどを揃えたいけど、物価高騰の折、なかなか予算確保が厳しいところ。
今回の「ドコモ光 10ギガ」への速度変更は、予想以上に手間がかかり、結局、変更完了までに2カ月近くを要してしまった。ただし、時間を要した理由は、手続きそのものが複雑というわけではなく、NTTドコモとNTT東日本の連携不足、担当者の認識不足によって生じる人的な要素がほとんどを占めていた印象だ。
これから春の新入学・新社会人シーズンを迎え、引っ越しなどで、光回線の導入や移行を検討している人がいるかもしれないが、しっかりと情報を収集し、必要であれば、信頼できる友だちや知人を頼りながら、いい加減な対応に振り回されないように、着実に導入を進めて欲しいところだ。
同時に、NTTドコモとNTT東日本/NTT西日本の関連部署の方々には、ぜひとも今一度、各社の連携や連絡体制を見直し、契約者をたらい回しにすることなく、消費者がスムーズに光回線の導入や移行を進められる体制を整えていただくこともお願いしたい。