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マイナポータルの「ぴったりサービス」で引越しの手続きを行ってみた

 ここ数年、筆者は親の介護のため実家のある香川県に移住し、仕事のたびに東京に行く、という生活を行ってきました。いろいろと支障の出る部分もありましたが、一応何とかやってきていました。ただ今回、思うところがあって、5月半ば頃から東京に転居して、東京を拠点としながら月1ペースで実家に通う、という逆の生活スタイルに変更することにしました。

 ところで、転居となると、いろいろと手続きが発生します。電気、ガス、水道、電話、ネットなどの生活インフラの移転や廃止、新規契約手続き、銀行口座やクレジットカードなどの住所変更などです。そして、特に重要な手続きが、自治体の引越し手続きです。

 自治体の引越し手続きでやるべきこととしては、住所の移転手続きと、国民健康保険の資格喪失・加入手続きです。特に住所の移転手続きは、引越しなどに伴って住所が変わる場合、転入した日から14日以内に届け出るように住民基本台帳法で定められていますので、必ず行う必要があります。また、筆者は国民健康保険に加入していますので、そちらも転出元の自治体で資格喪失手続きと、転入先の自治体で加入手続きを行う必要があります。

 こういった作業はかなり面倒ですが、その多くはインターネットや電話で手続きが行えるようになっています。それは、自治体の引越しの手続きも同様です。

 住民票を移すには、従来は移転元の自治体の役所に出向いて転出の手続きを行うとともに、引越し後には移転先の自治体の役所に出向いて転入の手続きを行う必要がありました。しかし、令和3年5月より、マイナポータルが全地方公共団体に申請データのダウンロード機能の提供を開始したことによって、マイナポータルの「ぴったりサービス」を使って転居に伴う手続きをオンラインで行えるようになりました。ぴったりサービスを使えば、これまで地方自治体の役所に出向いて行う必要があった引越しに伴う手続きのうち、転出の手続きをオンラインで行えます。

マイナポータルの「ぴったりサービス」で、簡単に引越しの手続きが行える

 というわけで、今回の引越しで実際に使ってみましたが、手続きはとても簡単でした。マイナポータルにログインし、メニューから「引越し」を選びます。その後、引っ越す日、移転前と移転後の住所、連絡用のメールアドレス、引越す人数、引越しに伴う関連手続きなどを入力します。このとき、「引越しに伴う関連手続」で「国民健康保険」にチェックを入れておけば、国民健康保険の資格喪失手続きも同時に行えます。また、移転後の住所は入力しなければなりませんが、移転前の住所はマイナンバーカードに登録されている住所を読み取って自動入力されるので、いちいち入力する必要がありません。そして、移転後の自治体での役所への来庁予定(来庁場所と来庁予定日)を入力したあとに、マイナンバーカードから署名用電子証明書を読み取って申請すれば、作業は完了です。全体的に作業はかなり簡単でした。

マイナポータルで引越しの申請を開始
引越しの日付を設定
移転前の住所はマイナンバーカードに格納されている情報を読み取って自動入力。移転先の住所は手動で入力する
引越す人数を設定
移転先の自治体の役所への来庁予定を入力
引越しに伴う関連手続きを選択。筆者は国民健康保険に加入しているので、ここで国民健康保険にチェックを入れておけば、国民健康保険の資格喪失手続きも自動的に行われる
マイナンバーカードから署名用電子証明書を読み取って申請すれば、手続きは完了
申請手続きを行うと、申請受付のメールが届く

 あとは、転出元と転入先の自治体が申請した情報を受け取り、申請が受理されるのを待つだけです。今回、転出元の香川県高松市では、5月1日の午前0時過ぎに申請を行って、同日の16時前に申請完了の通知が届きました。今回筆者は、高松市では印鑑登録をしていなかったので、印鑑登録証の返却は不要でしたし、国民健康保険の保険証についても自身で破棄できるので、転出元の高松市の役所に行くことなく転出の手続きが行えました。

 転入先の自治体では、従来同様に、実際に役所に行って転入届けを提出したり、国民健康保険の加入手続き、マイナンバーカードの住所変更などを行う必要があります。そのため、引越し作業終了後に、自治体や役所に行って各種手続きを行いました。

5月1日0時過ぎに申請を行ったところ、同日16時前に申請完了の通知が届いた
転入先の役所で転入届けの提出、国民健康保険の加入手続き、マイナンバーカードの住所変更を行った
転入先では、従来同様に役所に行って手続きを行ったところ、数時間後にマイナポータルでも引越しの手続き完了の通知が届いた

 ところで、今回の引越し手続きでひとつ疑問だったのが、マイナンバーカードの一部機能をスマホで利用できるようにする「スマホ用電子証明書搭載サービス」の扱いです。マイナンバーカードについては、引越しに伴って住所変更が必要となりますので、今回も転入手続きに合わせて住所変更を行いました。スマホ用電子証明書搭載サービスについても、当然住所変更が必要だろうとは思っていたのですが、転入手続き時に特に言及がなかったこと、また私自身も手続き時に聞くのを忘れていたことで、数日そのままになっていました。

 そこで、引越し時にスマホ用電子証明書搭載サービスはどうすればいいのか、総務省に問い合わせてみました。すると、自治体で転出、転入の手続きを行うと、スマホ用電子証明書搭載サービスで登録していた電子証明書は自動的に失効するので、改めて登録し直す必要がある、とのことでした。というわけで、スマホ用電子証明書も再発行して、引越しの手続きは終了となりました。

スマホ用電子証明書搭載サービスについては、引越し手続き後に改めて登録し直す必要がある

 ぴったりサービスが利用できるとはいっても、引越し関連の全ての手続きがオンラインで行えるわけではなく、転入の手続きは転入先の役所に行き、従来同様の転入手続きを行う必要があります。制度的に転入の手続きをオンラインで行うのは難しい部分もあるかもしれませんが、せめて転入届けぐらいは紙に書くのではなくデジタル化してもらいたい気もしました。それでも、転出時に役所に行く必要がなくなっただけでも、かなり省力化できたと感じました。ぴったりサービスの利用にはマイナンバーカードが必要ですが、マイナンバーカードを持っているなら、引越し時に使わない手はないでしょう。