みんなのケータイ
相変わらず、専用SIMカードが必要なソフトバンクのiPhone
【iPhone 15 Pro Max】
2024年3月5日 00:00
今や複数のスマートフォンを持ち歩くのは、それほど珍しいことでもないけど、筆者はこういう仕事をしていることもあって、ケータイ時代から各携帯電話会社の端末を持ち歩いている。
つい最近まで、NTTドコモは「AQUOS R8 pro SH-51D」、auは「Galaxy Z Fold4 SCG16」、ソフトバンクは「LEITZ PHONE 2」というラインアップで、このほかに「iPhone 15 Pro Max」にauの別回線のSIMカードを挿して利用していた。
ただ、当たり前の話なんだけど、4台もの端末を持ち歩くのは重いし、面倒だし、いざPayPayで支払いをしようとしたら、「しまった。LEITZ PHONE 2、家に置いてきた」なんてことも起きる。
それに加え、これらの4端末はいずれも各社の使い放題プランを契約していたため、仕事のための回線とは言え、ちょっと不経済……いや、だいぶ不経済。特に、auは2回線が「使い放題MAX 5G」を契約していたので実はもっとも通信費の負担が大きかった。
さて、どうしたものかと思案した結果、NTTドコモの「AQUOS R8 pro SH-51D」とauの「Galaxy Z Fold4 SCG16」はそのままにしつつ、ソフトバンクは「LEITZ PHONE 2」に挿しているSIMカードを「iPhone 15 Pro Max」に挿し、「iPhone 15 Pro Max」で利用していたauの回線はほかのiPhoneに挿して、料金プランを「スマホミニプラン 5G/4G」に切り替えることにした。
こうすることで、持ち歩く端末は基本的に3台になり、PayPayで支払いたいのに端末を忘れるといった事態を避けることができそうだ。
ただ、この移行には、気になる点もあった。ソフトバンクは国内にはじめて「iPhone 3G」を販売したとき、iPhone専用の料金プランを用意したため、iPhone用に専用のSIMカードを発行していた。
このiPhone専用SIMカードはAndroidプラットフォームの端末で利用できなかった。その後、ネットワークの世代が新しくなるタイミングなどで、ソフトバンクのSIMカードは何種類も発行され、「この端末ではSIMカードAが使えるけど、SIMカードBは使えない」といった事態が起きていた。
特に、iPhoneとAndroidスマートフォンの間でのSIMカードの相互利用ができないことは、ユーザーからも不満が多く聞かれ、オープン市場向けのSIMフリースマートフォンなどが増える中で、トラブルも耳にしていた。
こうした状況に対し、2021年2月には「LINEMO」の発表会において、ソフトバンクの常務執行役員(当時)の寺尾洋幸氏(現在は専務執行役員)が「SIMカードを同一化していく」という方針を打ち出し、発行するSIMカードが順次、統一されていくことになった。
同年7月に行なわれた説明会の質疑応答では、寺尾氏が「LINEMOは1つのSIM、ワイモバイルは2種類で、iPhoneでもAndroidのどちらでも使える。ソフトバンクは種類が多いので、苦労している」と答えていたが、2022年9月には「iPhone 14」シリーズ向けに新たなSIMカード発行が発表されるなど、ユーザーからは「え? また新しいのを発行するの?」と不安視する声が出ていた。
いろいろ気になる点はあるものの、とりあえず、「LEITZ PHONE 2」で利用していたSIMカードを「iPhone 15 Pro Max」に挿してみたところ、ネットワークに接続し、データ通信も音声通話も問題なく、利用することができた。
データの移行は回線に紐付くものだけを移行することにした。たとえば、+メッセージもソフトバンクのサーバー経由で移行するしくみが用意されているので、異なるプラットフォーム間ながら、スムーズに移行することができた。
SIMカードの動作については、ほかの端末で逆のパターンを試したところ、iPhoneで利用していたソフトバンクのSIMカードをAndroidスマートフォンに挿しても同様に利用することができた。
「これにて、一件落着」と行きたいところなのだが、実際に使いはじめてみると、ちょっと不思議な状況に出くわした。
実は、この回線にはときどき、迷惑電話がかかってくる。セールスの電話もあれば、詐欺まがいの勧誘もあったりするんだけど、これに対処するため、以前からソフトバンクが提供するセキュリティアプリをインストールしていた。
昨年からは新たにiOS向けとAndroidプラットフォーム向けに「セキュリティOne」というセキュリティアプリの提供がはじまり、「LEITZ PHONE 2」ではそれを利用していた。
「iPhone 15 Pro Max」でも使い続けようと、ソフトバンクのWebページからダウンロードしようとすると、なぜか「Google Playストア」のダウンロード画面が表示されてしまう。
じゃあ、iOSのApp Storeはどうなんだろうと、そちらでアプリをダウンロードして起動すると、今度は月額料金が「iTunesストア」で課金されてしまうという表示。いや、ソフトバンクの「セキュリティパック」を契約しているのに、なんでそっちで課金されなきゃいかんのよ……。
そこで、ソフトバンクのサポート窓口にチャットで問い合わせたところ、やっぱり、「Appleでご購入いただいたiPhoneを利用するには、持ち込み機種変更の扱いになるので、SIMカードの交換をお願いします」という回答(笑)。
ただ、SIMカードを交換しても「LEITZ PHONE 2」の「あんしん保証パックサービス」は継承することができ、「LYPプレミアム」などの登録も変わらないとのこと。
一連の話をソフトバンクの関係者にしたところ、「どちらの環境でもSIMカードは動くようにする方針だけど、すべてのサービスが同じように使えるわけではないので……」と苦笑い。まあ、しょうがないですね。
SIMカードの交換については、かつてのようにショップに出向く必要はなく、オンラインで手続きができるため、ちょっとラクになった。
ちなみに、ソフトバンクオンラインショップで手続きをすれば、手数料はかからないが、ソフトバンクショップ店頭で手続きをすると、3850円の手数料がかかる。
まず、ソフトバンクオンラインショップにアクセスし、[購入機種を探す]-[SIM]-[iPhone、Google Pixel、スマートフォン向けSIM]の順に選ぶ。
[機種変更]から手続きをはじめ、料金プランや利用機種のカテゴリ、保証サービスの継続の有無などを選び、端末のIMEIを入力すれば、手続きは完了。送付先の地域にもよるけど、筆者は翌日に発送完了のメールが届き、翌々日には手元にSIMカードが届いた。
開通手続きは非常に簡単で、基本的には送られてきたSIMカードを「iPhone 15 Pro Max」に挿すだけ。すぐにSIMカードが有効になり、しばらくすると、「『iPhoneセキュリティパックプラス』へのご加入ありがとうございました」というSMSが届き、リンクから「セキュリティOne」をダウンロードし、インストールすることができた。画面の指示に従い、セットアップも完了し、無事に利用する環境が整った。
かつてユーザーから「扱いにくい」と指摘されてきたソフトバンクのSIMカードは、とりあえず、どちらのプラットフォームでも動作するようになったものの、今回のように各サービスへの対応のため、SIMカードの交換が必要なケースもある。
従来に比べ、オンラインで手続きができ、手数料もかからないのは助かるけど、それでも再びAndroidに戻すなど、プラットフォームを変更する度にSIMカードが必要なのは手間かなぁ。
それに、こういう切り替えの話って、ソフトバンクのWebページ(サポートページ)には全然、案内されていないのが残念なところ。SIMカードの切り替えはeSIMに変更する手もあるので、次回はそっちも検討してみましょうか。