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moto g100の「Ready For」を使って感じる、スマートフォンをパソコン感覚で扱うのが難しい理由

【moto g100】

 ディスプレイに接続するとパソコンのような大画面のデスクトップで、スマートフォンアプリを活用できる。そうした機能はこれまで、いくつかの海外メーカー製スマートフォンに搭載され注目を集めてきましたが、現在も継続的に利用しているという人はあまり多くないのでは?というのが正直な所ではないでしょうか。

 実は、筆者所有の「moto g100」も同様に、ディスプレイに接続してパソコンのような使い方ができる「Ready For」という機能が搭載されており、それが売りの1つにもなっているのですが、正直な所筆者もこの機能をあまり使うことはありません。なぜこうした機能が継続的に使われないのか?と、改めてReady Forを使って考えてみたのですが、その理由はアプリによる所が大きいのではないかと感じています。

moto g100の目玉機能の1つ「Ready For」。有線でディスプレイに接続することにより、パソコンに近い感覚で、大きな画面でスマートフォンアプリを利用できる機能だ

 たとえば、Ready Forの「モバイルデスクトップ」モードを使う場合、「Googleドキュメント」などのAndroid向けオフィススイートアプリは一通り利用できることから、パソコンとはやや異なる作法や操作にさえ慣れてしまえば仕事をこなすことも難しくはないのですが、結構困るのがファイルの扱いです。

「モバイルデスクトップ」を用いればパソコンのようなデスクトップ画面でChromeやGoogleドキュメントなどを利用できるが、ファイル管理はパソコンのようにはいかない

 筆者は、取材で撮影した過去の写真をNASに保存しているのですが、NASへのアクセスはAndroid標準の「Files」ではできず、別途アプリが必要になる上にNASへアクセスするための設定もWindowsやMacのように簡単にはいかないことが多かったりします。またWindowsなどでは簡単にできる、複数のファイルをZipファイルにまとめて圧縮するといった操作も、やはり別途アプリを用意しなければできません。

 もちろん、知識のある人が手間をかければそうした環境を整えること自体不可能ではないでしょう。ただスマートフォンの利用者は幅が広いだけに、環境を整える前に面倒臭さが勝ってしまう人が多いというのが正直な所ではないでしょうか。

 さらに、問題なのがゲームです。Ready Forのような機能の売りの1つとして、ディスプレイに接続すれば大画面でゲームをプレイできることが挙げられる事が多いのですが、そこでも問題になってくるのがアプリ側の対応です。

 というのも、スマートフォンのゲームはタッチ操作を前提にしたものが多く、そうしたゲームをディスプレイにつないでもプレイ自体ができません。最近では、パソコンやゲーム機などではコントローラーを使うゲームもスマートフォンに多く移植されているのですが、それらも多くがスマートフォン上での操作を前提としており、ゲームパッドやキーボード・マウスなどの外部インターフェースでの操作に対応していないものが少なくないのです。

Android版の「原神」はゲームパッドでの操作に対応していないため、Bluetooth接続対応のゲームパッドを使って操作しても、うんともすんとも言わない

さまざまなワザを使うことで対応させることも不可能ではないようですが、ゲームによってはチート扱いされてしまうこともあるようで、不安も残ります。アプリ側がそうした環境に積極的に対応してくれない限り、この問題の解決は難しいというのが正直な印象です。

 そもそも、アプリ開発者の側は、スマートフォン単体でアプリを利用する人に向けてアプリを開発している訳で、一連の課題を解決するにはスマートフォンをディスプレイにつないで利用する人が増えなければ解消が難しいというのが正直な所。今回の原稿はReady Forを使ってmoto g100だけで用意できているので、使い方に工夫さえすれば十分実用的ではあるのですが、やはりアプリ側の環境整備が進まない限り多くの人が利用するには至らないと感じてしまう、というのもまた本音です。