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「Pixel 6 Pro」の夜景×望遠の凄みと「米国版+日本国内SIM」で最強カメラのシャッター音は消せるのか?

【Pixel 6 Pro】

 米国版Pixel 6 Proを購入した。Googleブランドのスマートフォンは[初代Nexus One]から数えて7台目(Nexus One、Galaxy Nexus、Nexus 5、Nexus 5X、Pixel 3、Pixel 5、Pixel 6 Pro)の購入となるが、もともと米国で契約しているAT&TのSIMカードを運用するためのデバイスとして活用しており、2016年以降はAT&T SIMの運用はiPhone 7 Plusへと移行し、同年に一般提供の開始されたGoogle Fi(当時はProject Fi)のSIMと合わせてNexus 5Xを導入した。

 2018年にはPixel 3の乗り換えと同時に物理SIMを止めてeSIMベースに移行、同デバイスのサポートが2022年1月に切れるのに合わせて昨年2020年にPixel 5を購入したものの、新型コロナウイルス蔓延による渡航制限で渡米を断念し、Pixel 5は結局配送先に指定した米カリフォルニア州サンフランシスコの友人宅に放置したままになっていた。いずれにせよ、サポート期限が切れる前にPixel 3のeSIMを吸い出して新デバイスに乗り換える必要があるため、今年2021年10月に長らく計画していた米国出張を実施するにあたり、Pixel 6 Proを購入することにした。

サンフランシスコの友人宅に届いたPixel 6 Proの段ボールを開封したところ。日本と違ってポテトチップスは入っていない

 「未使用のPixel 5があるのに、なんでわざわざ追加でPixel 6 Proを購入したの?」と思われるかもしれない。理由としては前回、Pixel 5を購入してから今年の受け取りまで1年間友人宅の倉庫に眠ったままになっていたわけで、バッテリーが完全放電して機能しなくなっている可能性が挙げられる。現地に行ってからそれに気付いて再度デバイスをオンライン注文したり、バッテリー交換を依頼したりしていては、滞在中にeSIMを引き継げない可能性があるため避けたい。

 さらに安価なPixel 6ではなくProを選んだのは、やはり今回新たに実装された4倍光学ズームが可能なカメラ機構を試したいことにある。もともとPixel 3でこのシリーズのカメラ性能は信用しているので、さらにズーム機能まで強化されれば心強い。

Pixel 6 Proを受け取りに飛行機で成田からサンフランシスコへ。到着間際に社名変更が話題になったMeta(旧名:Facebook)の本社キャンパスが見えた
余談だが、1年ぶりに受け取ったPixel 5のバッテリは残量36%で生きていた。スマートフォンとしては完全に余剰になったので、今後使い方は検討していく

圧倒的なズームと夜景モード(Night Sight)の実力

 Pixel 6/Pixel 6 Proについては本誌で何度も紹介されているので詳しくは触れない。ただ、デバイスの配送受け取りから出国までの短い時間ながら、現地でいくつかカメラの撮影サンプルを得られたので紹介したい。

 ズーム性能が圧倒的なことはすでに知られていると思うが、これを“坂の街”であるサンフランシスコで使うと非常に面白い絵が撮れる。普通にスマートフォンなどでこれら坂を撮るとそれほど迫力を感じないのだが、いわゆるズームによる「圧縮効果」を使うとその坂の急角度が非常によく分かる。ケーブルカー2路線が通るパウエル通りを発着所から15~20倍の範囲で撮影したものが下記となるが、坂の勾配がよく出つつ、デジタルズームによる画質劣化はそれほど起きていない点に注目してほしい。

サンフランシスコの坂を一番低い位置から撮影したところ
1ブロックだけ上がった位置から撮影して、もう少しだけ坂に寄ってみた

 これだけでも充分すごいのだが、おそらくPixel 6 Proが最大限に真価を発揮するのは夜景モード(Night Sight)を組み合わせた場合だ。

 「対象を明るくする」「ノイズを低減して画質をシャープにしやすい」という傾向のあるPixelの夜景モードだが、これに光学4倍以上のズームを組み合わせると、これまでスマートフォンではほぼ不可能だった絵が簡単に撮影できるようになる。ほんの一例だが、ノブヒルと呼ばれる高台からの絶景の一部を楽しんでいただければと思う。

ノブヒルから対岸のオークランドが見えるベイブリッジを背景に4倍ズームで
カリフォルニア通りのアップダウンを最大ズーム状態で撮影したところ
ノブヒルでは最も勾配の大きいジョーンズ通りを見下ろしたところ
隣のテイラー通りの勾配。繁華街が近いのでライトが複雑に入って賑やかに見える
メイソン通りを最大ズームで。夜景モード効果で思った以上にディテールがきちんと再現されている

米国版Pixel 6 Pro+国内発行SIMでシャッター音は消せるのか?

 米国への移動中に知り合いのFacebook投稿で話題になっていたのだが、「こんなに優れたカメラ機能があるのなら、米国版を購入して日本に持ち込めば撮影時のシャッター音を消せないか」の検証も今回行ってみた。

 かつてはシャッター音が鳴らない仕様ということで海外でiPhoneを購入して日本に持ち込むことが流行ったが、現在では日本国内で発行されたSIMでも海外渡航時に限り消音化できるようになっている。海外版iPhoneでも国内発行SIMとの組み合わせでは音が鳴るという話も一時あったが、まだ現在のところは大丈夫のようだ。

 Androidでもこの傾向は出ており、具体的には昨年リリースされたAndroid 11以降はAOSPの時点で「日本または韓国発行のSIMを挿入した時点で、両国では強制的にシャッター音が鳴る」という仕様が盛り込まれており、海外端末を持ち込んでもシャッター音問題は回避できなくなったとされている。

 一方で配慮もあり、たとえば筆者が持つ「Galaxy S20」はNTTドコモから購入して同社のネットワークで運用しているものだが、米国に到着した時点でメッセージが出てシャッター音が鳴らない仕様に変化する。

 だが、たとえば米国で購入した端末に米国SIMを挿入して日本に持ち込めばシャッター音が一切鳴らないわけで、日本国内で静かな場所でシャッターを切りたいときなど、大音量で響く音とおさらばしたいというニーズはあるだろう。

 米国版「Pixel 6 Pro」+Google Fiの組み合わせでシャッター音が鳴らないことは確実なので、今回は帰国後に一時的にドコモのSIMを挿入した状態でどうなるかをテストしてみた。

Google Fiが挿入された状態のPixel 6 Pro
カメラの設定項目に「Camera sounds」というのがあり、筆者はこれをオフにしている
Google Fiが挿入された状態でのシャッター音の状態テスト

 次にGoogle Fiの替わりにドコモSIMを挿入する。目に見える変化はGoogle Fiのときには出現していた「Camera sounds」の項目が消え、強制的にシャッター音が鳴るようになる。

NTTドコモのSIMが挿入された状態のPixel 6 Pro
カメラの設定項目から「Camera sounds」が消え、強制的にシャッター音が鳴るようになった
NTTドコモSIMが挿入された状態でのシャッター音の状態テスト

 なお興味深いのは、ドコモのSIMをGoogle Fiに戻した後にカメラの設定項目を再び確認すると、「Camera sounds」の項目が出現するのと同時に、「オン」の状態に戻っていることが分かる。

 つまり、日本発行のSIMを挿入したときは「消音の項目自体を隠す」「項目自体は『オン』の状態にする」の2つが同時に起きていることになる。おそらくは「国内発行SIMが挿入されている」「国内のネットワークを掴む(あとおそらくは韓国も)」の2条件を満たしたときに、前述のスイッチが入るものと思われる。参考になったかは分からないが、海外版を購入してもシャッター音に変化はないので、製品に興味ある方は国内版を購入した方がいいという結論だ。

 余談だが、米国で購入した特典として本来100ドルの値付けの「Pixel Buds A-Series」が無料サービスで付いてくるという話がある。日本帰国後にRedeem用のコードがついたメールが届いたので申し込もうとしたのだが、なんと日本からアクセスすると日本のストアページに強制リダイレクトされてコードが有効化できない。そこでGoogle Fiを使ってアクセスすると米国内のIPアドレスとなるため、今度は無事にリダイレクトされずにオーダーすることができた。とにもかくにも便利なので、米国版Pixel 6 Pro+Google Fiの組み合わせは当面手放せない。ただしGoogleからその直後に届いた発送予告メールを見ると、Pixel Buds A-Seriesの到着はなんと12月22~23日でクリスマス直前。やはり、これの受け取りのために来年1月にまたサンフランシスコを訪問するしかなさそうだ。

![ドコモSIMからGoogle Fiに戻すと「Camera sounds」の項目が復活するとともに、「オン」の状態に戻っていた

【お詫びと訂正】
 海外版iPhoneに日本国内発行のSIMを装着した際の挙動についての記述に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。