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ウェアラブルデバイスで監視、香港の新型コロナウィルス水際対策

 新型コロナウィルスの影響により各国では海外からの入国者に規制をかけ、入国できても外出禁止期間を義務付ける国が大半です。筆者は香港の永久居民資格を持っている日本人のため、日本と香港の入国は可能ですが、どちらの国へ行った時も14日間は外出禁止です。

 香港ではその外出禁止を本人が守っているかどうかを確認するために、専用のウェアラブルデバイスを腕に装着し、アプリで監視を行っています。なお外出禁止を破ると2万5000香港ドル(約34万円)の罰金と禁固6か月となります。

 筆者は今年2月にMWC2020が開催されるはずだったバルセロナを訪問してから3月に日本へ。そして4月に香港に戻りました。その後7月に所用のため日本を訪問、10月に再び香港に戻ってきました。

 4月、10月どちらの時点でも香港国際空港到着後にPCR検査を受け、リストバンド装着とアプリインストールを行い政府指定ホテルで1泊待機したのち、自宅で13日間外出せずに待機しました。ちなみに記事執筆中の本日(10月22日)はまだ自宅滝中。10月31日に待機終了となります。

香港の自宅待機監視用リストバンド2種類

 リストバンドデバイスは中国製のようですが、4月の時点と10月の時点で大きさ・形状が大きく変わっていました。4月に装着したものは約50x45x15mmの箱状のもので、この中にBluetoothチップと電池が入っているようです(中身に関しては公式情報なし)。

 このデバイスはお風呂・シャワーをするときも取り外してはいけませんが、ゴムバンドやデバイス本体の腕に当たる側の裏に汗がたまるなどして装着感はあまりいいものではありませんでした。

 本体は継ぎ目がないので防水性はあるようですが、シャワー時などにはなるべく濡らさないようにということで、身体を洗うのもやや面倒。とはいえ精密機器ではないのでそこまで気を使わずにこれをつけたまま過ごしました。

4月のデバイス。サイズが大きい。QRコードや番号は2週間でこすれて薄くなってしまった
重さはそれほどないが厚みがある。ゴムベルトも汗がたまりやすい

 10月の帰国時に腕に着けたものはかなり細くなっており、ただのバンドのように見えます。しかし表側のQRコードの書かれた部分の裏側が厚くなっており、触ってみるとそこにチップらしきものが入っていることがわかります。たぶんこれもBluetoothチップとボタン電池と思われます。

 ちなみに背面にはFCCとCEのロゴが入っているので、こちらはグローバル規格を通ったチップを使っているのかもしれません。このリストバンドもなるべく濡らさないようにとのことですが、本体が細く軽いためつけっぱなしでも気になりません。

10月に装着したリストバンド。サイズは一気に軽量化された
膨らんだ部分を触るとチップが入っていることがわかる

 さてこのリストバンドは政府指定の「Stay Home Safe」アプリと連携して使います。空港でPCR検査を受ける前にインストール、個人情報を入力。自宅に帰宅したらアプリを起動してリストバンド(リストバンドはPCR検査を受ける前にすでに空港で装着します)のQRコードを読み取って連携。

 さらに自室内を1分間歩いて、「自分の移動パターン」を登録します。GPSを使って本人が待機している場所を記録するのではなく、自宅滝中に移動する場所のパターンを記録・通知するのです。

Stay Home Safeアプリ。利用には個人情報が必要

 あとはスマートフォンにランダムな時間に「リストバンドのQRコードを読んでください」と通知が来ます。通知を開くとQRコード読み取り画面になるので手首のリストバンドのQRコードを読み取ると、自宅にいると報告されるのです。

ランダムに来る通知。30秒以内にタップして開かねばならない
通知を開いてQRコードを読み取る

 スマートフォンを家に置いたまま外出すると、リストバンドとのペアリングが解除されるので「外出した」と保健機関に自動通知されます。

 またリストバンドを外してスマートフォンと共に自宅に置いて外出した場合、外出中にアプリに通知が来るとQRコードを読んで送れません。つまりアプリの通知を無視すると「腕から外して外出している」と判断され、そのように通知されるわけです。

 まあ面倒なところもありますが、香港は2003年にSARSが一気に広がり、地域閉鎖状態になった過去の例があります(筆者もその時は香港にいました)。

 新型コロナウィルスはその時よりもさらに影響は深刻ですから、2週間程度腕にバンドをはめ、スマートフォンの通知に注意することなどは居住者の義務として当然行わなくてはならないことでしょう。ひとまずは早くこのようなものを使わなくていい日が戻ってくることを祈りたいものです。