みんなのケータイ
富士通のフラッグシップ「arrows 5G」。画面内指紋認証に意外な落とし穴が?
【arrows 5G F-51A】
2020年8月21日 06:00
7月31日と言えば何の日だったか。そう、みなさんご存じの通り、富士通コネクテッドテクノロジーズが手がけるスマートフォン「arrows 5G F-51A」の発売日だ。富士通製としては久々のフラッグシップで5G対応、そしてクアルコムのリファレンスモデルとしても開発されたこの端末、買わない理由はないだろう。
当然ながら筆者も、端末が発表された直後、価格がまだわからないのに5Gもかくやというほどの速さで予約を入れ、発売日当日に入手した。なにしろ今や希少な純国産スマートフォンだ。日本人として日本のメーカーを応援しないでどうするのか。購入手続きのとき、割引(5G WELCOME割)適用でも税込11万円を超えてきたのには声にならない声が出たけれど、気前よく一括払いである。
今のところ5Gのエリア(スポット)が自宅から最も近いところで東京スタジアム(味の素スタジアム)ということもあって、(特にスタジアムに用事もないから)高速通信を試せるのはもうしばらく先になりそう。それはそれとして、arrows 5Gのもう1つの特徴と言える、画面内指紋認証は少し面白い。これまでarrowsシリーズが搭載してきた背面や側面ではなく、ディスプレイの奥にセンサーが配置され、画面に指を置くと指紋を読み取って認証できる、というものだ。すでに他メーカーのスマートフォンでもいくつか対応しているものがあるが、arrowsとしては初めての試みとなる。
センサー位置は画面のだいたい下3分の1くらいのところ。他メーカーだと下端に寄っている端末が多いので、比較的中央寄りなarrows 5Gは珍しいタイプと言えるかもしれない。端末を手で持ったとき、自然と親指が触れる位置にあるので、よりスムーズに認証できるのではないかと思う。画面が消灯状態だとどこに指を置けばいいのか迷ってしまい、センサーから外れた場所に指を押し当てて認証に失敗することも少なくないけれど……。
ただ、画面が消灯していても一度認証に失敗すれば(画面に触れると)センサー位置がうっすら表示されるし、ロック画面や指紋認証が利用可能なアプリ・サービスではセンサー位置がはっきり表示されるので、その場合は迷うことはない。dアカウントの指紋認証画面では、指紋センサーの位置に指紋アイコンを表示することもあって、ドコモ端末として「ちゃんと作り込んでるなあ」と感心してしまう。
ところが、端末とは直接関係しないアプリだとそうもいかないようだ。たとえば「LINE Pay」や海外通販の「eBay」アプリでは少し戸惑った。どちらのアプリもパスワードの代わりに端末の指紋認証機能を利用できるのだが、ちょうどセンサーの位置に「キャンセル」ボタンが配置されており、指紋センサーにタッチしようとするとキャンセルされてしまう。
このままではせっかくの指紋認証が使えない! と思ってしまいそうだけれど、回避方法はある。キャンセルボタンの真上でも、じっくり長押しするように指紋センサーに指を押しつければ、画面タッチではなく指紋認証であると認識してくれるのだ。
とりあえず問題なく利用できるとはいえ、arrows 5Gの指紋センサーはサードパーティアプリにとってはややイレギュラーな位置にあることはたしかだろう。これを解決するにはアプリ側から指紋センサー位置を取得できるようにする必要がありそうだが、今のところそういったAPIは公開されていないようで、機種ごとに個別処理を追加するしかなさそうな雰囲気。まだまだ新しい技術の画面内指紋認証、インカメラを避けるためにディスプレイにノッチが生まれたように、画面内指紋認証についても何かしら新たな工夫がこれから求められてくるのでは、なんて思ったのだった。