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世界最薄折りたたみスマホ、9.2mmの「HONOR Magic V3」がIFA2024で発表

 スマートフォン大手のHONORはドイツ・ベルリンで開催中のIFA2024に合わせて新製品発表会を行い、折りたたみスマートフォンとして世界最薄サイズの「HONOR Magic V3」のグローバルモデルを発表した。

HONOR Magic V3

閉じて9.2mm、開いて4.35mmの極薄スマホ

 HONORのCEO、George Zhaoは最初に同社の折りたたみスマートフォンの薄型化への取り組みを振り返った。

 1年前のIFA2023で発表した「Magic V2」は、たたんだときの厚さが9.9mmで、折りたたみスマートフォンの中では薄いモデルとして大きな話題となった。

 ほぼ同時期に発表されたサムスンの「Galaxy Z Fold5」は13.42mm。サムスンはそれから1年後の2024年7月に「Galaxy Z Fold6」を発表したが厚さは12.1mmに留まり、HONORの昨年モデルより薄くすることはできていない。

HONORの新製品発表会会場
Magic V3を発表するHONORのGeorge Zhao CEO

 HONORは業界で最薄の折りたたみスマートフォンメーカーと言える立場になったものの、あくくまでもライバルは他社の同じ折りたたみスマートフォンだった。

 今回発表する「Maic V3」は厚さをさらに薄くし、対抗となるのは一般的な「おりたためない」スマートフォンだ。

 Magic V3のたたんだときの厚さは、9.2mmで市場に多くあるスマートフォンの厚さとの差を縮めている。

 また本体の重量も226gであり、iPhone 15 Pro Maxの221gと大差ない。本体を開いたときの厚さは4.35mmだ。

折りたたみスマートフォンとしてたたんだときの厚さは最薄の9.2mm
iPhone 15 Pro Maxと5gしか差が無い。しかもiPhone 15 Pro Maxは開くことができない

 HONORは、この薄型軽量化を実現するために本体のバックパネルの素材を改良し、特殊繊維素材を採用。従来比40倍の強度を持たせると共に、40%の薄型化を実現した。

 またヒンジ構造も構成部品や機構を見直し、2.84mmと薄いヒンジを作り上げた。ここまで薄いのにも関わらず、折り曲げ回数は50万回を保証している。

薄くしながら強度を増した特殊繊維素材を背面に採用
ヒンジも改良し薄さと強度を両立した

 Magic V3は、防水にも対応している。防水のレートはIPX8で、2.5メートルの水中でも30分絶えることができる。この防水機能は業界でトップの性能とのことだ。

 ただし、防塵機能は搭載していない。発表会ではMagic V3を洗濯機に入れて水洗するデモビデオが披露された。

 また、Zhao CEOも実際に手にしたMagic V3をその場で床に落下させるテストを見せるなど、防水性と耐久性に優れた製品であることもアピールされた。

IPX8の防水に対応
洗濯機で水洗するデモビデオ

 Magic V3は、チップセットにクアルコムのSnapdragon 8 Gen 3を搭載する。ディスプレイは、閉じたときのアウトディスプレイが6.43インチ、開いたときのメインディスプレイが7.92インチとなる。

 バッテリーは、シリコンカーバイド型で5150mAh、66Wの有線、50Wの無線での急速充電にも対応する。

 カメラは、フラッグシップクラスのものを搭載しており、広角が5000万画素、超広角が4000万画素、望遠は3.5倍で5000万画素の3つの組み合わせだ。

 このカメラ部分は、ダイヤモンドカットされたデザインの八角形の台座にまとめられている。

 さらに、ポートレート撮影に関して、パリの写真スタジオであるHarcourt Studioと提携しており、Harcourt Classic、Harcourt Vibrant、Harcourt Colourという3つのモードで美しい人物写真の撮影も可能だ。

 なお、HONORと同スタジオの提携は2024年7月に行われた。

高性能なトリプルカメラを搭載
Harcourt Studioと提携したポートレートモードも搭載する

 薄さだけではなく、AI機能も強化しているのがMagic V3の特徴である。

 AndroidをベースとしたHONOR独自UIを融合させた「Magic OS」の最新バージョンを搭載し、折りたたみ式のフォームファクターに最適なUIで使えるAI機能を搭載している。

 最も進化した機能は、「Magic Portal」。これはサイドバーにアプリアイコンを表示し、コンテンツを簡単に検索や投稿できる機能だ。

 たとえば、ギャラリーの写真を画面の右端にドラッグしていくとアプリアイコンが縦に並んで表示される。ここで、Googleアイコンに重ねれば、写真を検索するし、SNSアプリのアイコンに重ねればタイムラインに投稿できる。

 友人とのチャットで流れてきた商品を買いたいと思った場合も、その写真を1アクションでドラッグするだけだ。

 一般的なスマートフォンならまず画像をダウンロードし、次にショッピングアプリを起動するなど6つのアクションが必要だが、Magic Portalならその手間も必要ない。

 Magic Portalに対応するアプリは現時点で150を超えており、今後も増える予定とのこと。

 また、本体をL時に折り曲げ、メインディスプレイとアウトディスプレイを使い、相互に向かい合った外国人同士がリアルタイムに通訳機能を使える「Face to Face Translation」も搭載。

 サムスンのGalaxy Z Flip6と同等の機能だが、2つのディスプレイを搭載する折りたたみスマートフォンならではの便利な使い方ができる。なおHONOR Magic V3の価格は1999ユーロ(約31万8000円)となっている。

コンテンツを簡単に活用できる「Magic Portal」
メインとアウトディスプレイで相互翻訳表示できる「Face to Face Translation」

折りたたみスマホとは思えぬ薄さ

 HONOR Magic V3の実機を触ってみた。閉じた状態では本体の縦横サイズは156.6 x 74.0mm、アウトディスプレイの解像度は2376 x 1060ピクセルで、アスペクト比は約20:9となる。

 閉じたままでも十分使いやすい画面サイズだ。なお本体のカラバリは3色で、オレンジの色が目を惹くReddish Brown、シックなGreen、ベーシックなBlackとなる。

閉じると6.43型ディスプレイを搭載
Reddish Brown
Green
Black

 本体の厚さは本当に薄く、9.2mmの厚みは驚異的と感じられた。この大きさで画面を開ける折りたたみスマートフォンとは思えないほどである。

 なお、本体の厚みに対してカメラバンプの出っ張りが気になるものの、台形の断面形状のためかあまり気にならなかった。

 ちなみに、iPhone 15 Pro Max(8.3mm、221g)と比較してみたが、Magic V3は角を丸めたデザインになっていることもあり、両者のサイズはほぼ変わらないように感じられた。重量も持ち比べてみると5gの差はほぼ感じられなかった。

たたんだ状態で側面から見る。厚さは9.2mmだ
ヒンジ側から見てもかなり薄い
カメラの出っ張りはあるが、持ってみるとあまり気にならない
iPhone 15 Pro MaxとBlackモデル同士で比較

 本体を開くと、7.92型、2344 x 2156ピクセルのディスプレイが現れる。ディスプレイのヒンジ部分の「筋」は目立たないほうだ。

 Magic OSのUIのためAndroid標準UIとは画面構成が若干変わっており、アプリをまとめるフォルダにはアプリの縮小アイコンを3列3段で9個並べることが可能、直接縮小アイコンをタップして起動もできる。

 開いたときの厚みは4.35mmで、小型タブレットとしてもかなり薄い。開いたままノートや書類に挟み込んで持ち運べるくらいの薄さだろう。

 本体の合成は高く、ねじるように本体をひねってみてもゆがむようなことは無かった。

開けば小型タブレットになる
4.35mmの極薄サイズ

 本体を曲げて使う、いわゆるフレックススタイルにも対応する。曲げられる角度は浅い位置から深い位置まで自在だ。

 カメラなど一部のアプリはこの形状にするとアプリの表示が上下に分かれ、使いやすくなる。

フレックススタイルにも対応
カメラを起動すると上側と下側にUIが分かれる

 カメラはメインの大型ディスプレイで使うと、細部までプレビューできるため細かいディテールを写すときなどに便利だ。

 またこの開いた状態で、アウトディスプレイも同時に表示させることが可能で、被写体が自分がどんな姿で写っているかを確認しながら撮影することもできる。

 写真の倍率は最大でデジタル100倍までに対応、ビデオは4K 60fpsまでに対応する。

 ポートレートモードでは画面上に「Harcourt」のアイコンが現れ、モードを切り替えできる。 標準ではHarcourt Vibrantが選択され人物像を引き立てる色合いに仕上がる。

 Harcourt Colourではクラシカルな色合いに、そしてHarcourt Classicでは淡いモノクロ表現が写真に深みを与えてくれる。

メインディスプレイ時のカメラのUI
ポートレートモードではHarcourtモードを3つから切り替えできる

 AI機能のMagic Portalはタッチアンドトライの端末では、まだ準備されておらず、7月に発表された「HONOR 200」を使ってデモを体験した。

 ギャラリーの写真を画面右側にドラッグしていくと、右側にアプリアイコンが並ぶ。操作したアプリに写真を重ねれば、即座に「ショッピング」「検索」「投稿」などができるわけだ。

 またこれはテキストでも利用可能で、試しに「Berlin Central」とメモ帳に入力、この文字列を選択したうえで画面の右にドラッグし、グーグルMapに重ねて地図を表示する、といったことが簡単に行える。

 Face to Face Translationは画面を折り曲げなくとも使うことができる。現時点で対応しているのは10言語で、アジア言語は中国語(簡体字)とマレー語であり、日本語は未対応。ただし今後対応言語は増やすとのことだ。

 雑音から文字を拾ってしまうこともあるが、話した内容に対しての翻訳精度は高いと感じられた。

文字列を選択して右端にドラッグ、地図検索もワンタッチ
Face to Face Translationによる翻訳機能