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YouTube、アーティストや著名人の顔・声に似せたAI生成コンテンツを検出する仕組みを提供へ

 YouTubeは、AIを活用してアーティストや著名人の顔や声に似せて作られたコンテンツを検出するツールを提供すると発表した。

YouTube、AI生成コンテンツを検出する新たなシステムを発表

AI生成コンテンツの検出

 YouTubeは、自動コンテンツ識別システムである「Content ID」に、合成歌声を検出する新たな技術を開発した。これにより、AIが生成した自分の歌声に似せたコンテンツを自動的に検出して管理できるようになる。YouTubeは現在、パートナーと共にこの技術改良を行っており、2025年初めに実験的なプログラムを開始する。

 さらに、クリエイター、俳優、ミュージシャン、アーティストなどさまざまな業界の人たちが、YouTube上で自分の顔が映っているAI生成コンテンツを検出して管理できるようにする新しい技術についても、積極的に開発を行っている。

権利保護への取り組み

 YouTubeは、2007年に「Content ID」を提供してから、権利保有者がきめ細かに管理する機能を提供し、毎年数十億件の申し立てを処理しながら、アーティストやクリエイターの作品の再利用を通じて、数十億ドルの新たな収益をうみだしてきた。同社は、AI時代においてもこれと同じレベルの権利保護に注力する。

 YouTubeは、無許可の方法でコンテンツをスクレイピングによって取得することは利用規約に違反しており、クリエイターの作品と引き替えに、YouTubeがクリエイターに提供する価値を損なうものであると説明している。YouTubeでは、第三者が利用規約を守ることを保証するために、不正アクセスを検知・防止するシステムに継続的に投資するほか、スクレイピングに対してブロックする対策などの対策を引き続き講じる。

 ただし、生成AIが進化を続ける中で、クリエイターはAIツールを開発するサードパーティとのコラボレーション方法について、より多くをコントールしたいと考える可能性があるため、YouTube上のコンテンツを、サードパーティがどのように使用するのかより多くの選択肢を提供する新しい方法を開発しており、2024年後半に詳細を明らかにする予定という。

生成AIによるコンテンツが守るべき基準

 YouTubeでは、AIを活用してショート動画を生成する「Dream Screen」を試験運用している。これらの生成AIツールは、クリエイターに刺激的な可能性をもたらし、創造性を表現し、革新的な方法で視聴者を魅了できるようにする。クリエイターはプロセスをコントロールし、何を共有するかを決定できる。

 YouTubeは、安全で責任のあるコミュニティの育成を信条としており、これはAIを活用して生成したコンテンツにおいても同様に適用される。YouTube上の全てのコンテンツと同様に、AIで生成されたコンテンツは、コミュニティガイドラインを遵守する必要がある。クリエイターは、コンテンツに生成AIが使われているかに関わらず、公開したコンテンツが基準を満たしているか確認する最終的な責任を負う。

 クリエイターがYouTubeのポリシーを理解するのを助けるために、YouTubeはAIツールにポリシー違反やデリケートな話題に触れたりすることをプロンプトでチェックするセーフガードを組み込んでいる。YouTubeの主要な目標は創造性を高めることだが、クリエイターには他のコンテンツと同様に、AIで生成されたコンテンツについても公開前に慎重に確認することを推奨している。ただし、これらのプロダクトは初期段階から必ずしも正しい結果が得られないことがあるため、クリエイターに対してフィードバックを行うように推奨している。