みんなのケータイ

ウェアラブルとVRで健康的になって保険料を下げよう!

【Apple Watch】

 2020年1月から住友生命の「Vitality」という保険に加入した。こちらの保険、健康診断の受診や日々の運動など、加入者の健康習慣によって保険料が下がる仕組みになっている。

 保険会社からすると、加入者が健康なら保険金を支払わないので、健康的な習慣を持つ人の保険料を下げられる。逆に言うと、「Vitality」が設定する健康習慣を維持すれば、統計的に保険金をもらうような事態に陥るリスクが低くなる、つまり健康を維持できる、ということになる。

「Vitality」のアプリ。ここで獲得ポイントを集計・管理する

 保険会社は「加入者が健康であることによって直接的な利益を得る存在」でもある。そして保険会社は膨大な統計データをもとに保険商品を設計している。そんな保険会社が「こうすれば健康が維持できるよ」と言うのであれば、それを信じて健康を維持してみようかな、と思った次第だ。

 「Vitality」は健康診断や運動習慣で稼いだポイントによりステータスが変わり、翌年の保険料の割引率や各種特典が変化するシステムになっている。最高ステータスの「ゴールド」には1年で2万4000ポイントが必要だが、健康診断などに問題なければ1万5000ポイントを稼げるので、残りの9000ポイントを運動習慣で稼げば良い。

過去の獲得ポイント履歴。原稿執筆のためにいろいろ試してたら歩数で60ポイント(1万2000歩以上)を獲得してしまった。VRゲームはほぼ歩かないが、なぜか歩数に換算されてカウントされる
ゴールドステータスならHotels.comが4割引(5泊まで)という法外な特典も受けられる。Apple Watchも獲得ポイントに応じて最大2.4万円相当のキャッシュバック(2年に1台まで)

 ポイントが加算される運動習慣の種目には「歩数」や「心拍数」などの種類があり、1日最大で60ポイントが付与される。「歩数」と「心拍数」は、Apple Watchなどのウェアラブルが計測した1日の歩数やワークアウトのデータを「Vitality」アプリが吸い出し、サーバー上で検証してからポイントが付与される。Apple Watch以外にもGARMINやPolarなどの一部のアクティビティトラッカーの測定したデータにも対応している。

 筆者が主にポイント源としているのは「心拍数」だ。こちらは年齢によって基準となる心拍数が変わり、筆者の年齢(43歳)だと平均106.2bpm以上で30分なら40ポイント、同60分なら60ポイント、平均123.9bpm以上で30分なら60ポイントとなる。

 筆者はVR音ゲーム「Beat Saber」をプレイし、平均心拍数124bpm以上で30分間のワークアウトを行うことで、毎日60ポイントを稼ぐことを目指している。契約初年度は半年後にステージ判定があるので、180日60ptでも1万800ポイントとギリギリなのだが、筆者はここ1年間、ほぼ毎日30分以上のVRエクササイズを日課としていたので、現実的な目標として取り組んでいる。

ワークアウト計測中のApple Watch画面。心拍数がリアルタイム表示される

 しかし実際にやってみると、ゲーム中の平均心拍数をコントロールするのは意外と難しく、油断していると120bpmを切ってしまう。「Beat Saber」は前方から飛んでくるブロックをライトセーバーでなで切りしていくという音楽ゲームなのだが、スローテンポな曲や難易度の低い曲は心拍数が上がらない。

 問題はVRゲーム中、自分の心拍数がわかりにくいことだ。プレイ中に心拍数が低いとわかれば、「ハイテンポな曲を選ぶ」「腕のスイングを大きく速くする」「本来不要なステップを踏んでみる」などで心拍数を上げていくことができる。しかしワークアウト計測中のApple Watchには心拍数が表示されるものの、VRゴーグル着用中だと確認しにくい。

 そこで、VR空間内で自分の心拍数を表示する方法をいろいろ試して見た。

「Heart Graph」の画面。プレイ中に心拍数の推移グラフが見やすいのが面白い

 まず試した方法は、「Heart Graph」というiPhoneアプリだ。こちらはApple Watchで計測した心拍数をiPhone上にリアルタイム表示できるので、このiPhone画面をパソコンに取り込み、さらにそのウィンドウを「OVR Toolkit」などのツールでVR空間内に配置すれば、VRゲーム中もリアルタイムの心拍数を確認できる。

 しかしこの方法には問題があることがわかった。まずイロイロ面倒なのだが、それ以前に「Heart Graph」のApple Watchアプリを起動しているあいだは、Apple Watch標準のワークアウト記録ができないので、「Vitality」のポイントを獲得できないのだ。

Polarの「OH1」の写真と見せかけて上腕二頭筋を見せていく写真。BMI値20のガリガリな筆者でも「Beat Saber」を1年プレイすればこのくらいにはなる

 そこで専用の心拍計デバイス、Polarの「OH1」を購入した。スポーツ用の心拍計というと、電気センサーを採用したチェストベルトタイプが多いが、「OH1」は光学センサーを採用するバンド型だ。水気は不要で、手首だけでなく上腕やゴーグルにも装着できるなど、使い勝手が良い。また、標準的なBluetooth/ANT+の心拍計なので、いろいろなアプリで利用できる。

 Polarの純正アプリ「Polar Beat」を使うと、「OH1」で測定した心拍数をリアルタイムで表示できるだけでなく、「脂肪が燃焼されています」といった音声アドバイスを出力できる。また、前述の「Heart Graph」はBluetooth/ANT+の汎用心拍計にも対応していて、「OH1」で利用することもできる。

画面上部にあるのが「YUR」。標準の撮影手段では写らないので見にくい写真でサーセン。「YUR」の右上に心拍数が表示されている

 これらのアプリ画面をパソコンに取り込み、それをVR空間内に表示するのも悪くないのだが、もっと手っ取り早く、使うアプリや手順を減らせる手段があることに気がついた。Steamで配信されている「YUR」というユーティリティアプリだ。

 「YUR」はVRゲームをエクササイズとして活用する人向けのアプリだ。VRデバイスの動きから運動量や消費カロリーを算出してくれて、心拍計がなくても、運動量から推定心拍数を表示してくれる。これがそこそこ正確だったりするのだが、「OH1」などの汎用心拍計をVRゲームをプレイするパソコンにBluetoothで接続し、その心拍数を表示することもできる。

 VRゲームは本気でプレイするとけっこうな運動量になる。VR環境を自宅に導入するのはけっこう大変だが、スポーツジムやランニングと違って自宅で行なえるので、気候や花粉、あるいは新型肺炎の影響で外出の機会が減っても、ガッツリと身体を動かし、「Vitality」のポイントを稼げる。

「Polar Beat」の画面。ホントはレベル4のイエローゾーンの心拍数を維持したいところだが、さすがに難しい

 ちなみにSwitchの「リングフィットフィットアドベンチャー」は、ある程度慣れて身体ができてくると、最大強度でも平均心拍数120bpmを超えることが難しいので、60分プレイしないと「Vitality」の満額ポイント獲得は期待できない。ステージ間のクエスト進行やスキル設定、買い物のインターバルもあるので、平均心拍数が下がりやすいのだ。

 新型肺炎の影響でリモートワークになり、通勤しなくなって身体を動かす機会が減った人も少なくないと思う。一日中、家に居ると、けっこうヤバいくらいの運動不足になる。この新型肺炎の影響がいつまで続くかは不明だが、リモートワークで外出が減ってしまい、運動不足になりつつある人は、ウェアラブルとVRを活用し、自宅内でも身体をしっかり動かせるようにしてはいかがだろうか。