みんなのケータイ
ようやく受け取れたソフトバンクの長期継続特典の「PayPayボーナス」
【iPhone 11】
2019年11月1日 06:00
前回、本コーナーには「私の毎月割を返して!」と題して、毎月割の対象だったのに、毎月割が適用されていなかったという話を書いた。Twitterの反応を見ると、他にも同様のミスで適用されてなかった人が居たようで、やっぱり、料金明細は確認しないといけませんね。
でも、こうした料金明細ではちょっとわからないのが各社が提供している還元策。最近、総務省は「期間拘束のある契約はよろしくない」と言ってるけど、数年前には「長期契約者を優遇しなさい」と言ってたわけで、いったい何がしたいんだか……(笑)。
おかげで各携帯電話会社の施策は右往左往している感じだけど、各社と契約しているユーザーの中には、「今さら、携帯電話会社を変えるつもりないし、長く使ってるんだから、ちょっとくらい優遇してくれよ」という考えの人も多いはず。
そんなユーザーのニーズに応えるため、NTTドコモは「ずっとドコモ特典」や「ずっとドコモ割プラス・更新ありがとうポイント」、auは「長期優待ポイント」や「長期優待データギフト」を提供している。
MVNO各社でもIIJmioが「IIJmioプレミアム特典/長得」を提供中。mineoも「長期利用特典制度「ファン∞とく」」を提供していたけど、電気通信事業法改正の影響で、10月1日以降に申し込んだ場合は特典が付与されなくなってしまった。
主要3社の内、ソフトバンクも長く利用しているユーザーのために、「長期継続特典」という還元策を提供していて、契約期間の長さに応じて、ポイントが付与されている。従来は「期間固定Tポイント」で還元されていたが、2018年12月にPayPayへの切り替えが発表され、2019年8月から特典内容がPayPayボーナスへ変更された。これに伴い、ソフトバンクのユーザーにはおそらく+メッセージ(SMS)で、「【長期継続特典】PayPayアカウント設定のお願い」というメッセージが届いているはず。
特典内容は、2年に一度、または契約更新ごとに、初回は3000円相当、2回目以降も1000円相当のPayPayボーナスがもらえ、契約年数や利用金額に応じて、毎月最大5%のPayPayボーナスがもらえるという。あらためて説明するまでもないけど、もらったPayPayボーナスはコンビニエンスストアなど、街中のPayPayが使えるお店での支払いに利用できる。ソフトバンクを長く利用しているユーザーなら、もらっておいて損はないだろう。
ただし、このPayPayボーナスを利用した長期継続特典の還元策は、ちょっとわかりにくいうえに、扱いにくい面がある。
PayPayボーナスを受け取るには、前述の通り、PayPayアカウントが必要だけど、実は、PayPayが昨年、「100億円あげちゃうキャンペーン」を実施したとき、一部で話題になったように、PayPayアカウントは基本的に1人あたり、1つのアカウントで、1つの電話番号(もしくはYahoo!JAPAN ID)で設計されている。キャンペーンの20%還元を何度も受けるために、1人でいくつもPayPayアカウントを作成したユーザーが還元ポイントの受取時にPayPayアカウントを無効にされたというニュースが報じられたため、それ以降は、1人あたり1アカウント、1電話番号という認識が一般的だった。
その結果、ソフトバンクで複数の回線を契約しているユーザーは、長期継続特典がPayPayに切り替わっても1つの回線でしか、PayPayボーナスを受け取れないのではないかと考えていた。たとえば、ソフトバンクで同一名義で二台持ちをしている場合、長期継続特典のPayPayボーナスを受け取るには、それぞれ個別にPayPayアカウントを作成する必要がある。ところが、前述の件もあり、「複数のPayPayアカウントを作成すると、削除されることがある」という認識のため、複数回線を契約するユーザーは「2回線目以降はPayPayアカウントが作成できない=PayPayボーナスを受け取れない」と考えていたわけだ。
ちなみに、長期継続特典でPayPayアカウントを作成しない場合、特典がまったく受けられないわけではなく、フィーチャーフォンなど、PayPay非対応機種を持つユーザー向けの「2年に一度、または契約更新ごとに1000円相当の通信料割引」と「契約年数や利用金額応じて、毎月最大5%の通信料割引」という特典の適用が受けられる。ただし、単純に比較して、「PayPayボーナスの3000円相当」だったものが「1000円相当の通信料割引」に目減りするわけだから、ハッキリ言って、かなり損した気分だ。
筆者もソフトバンクで複数の回線を契約していて、その内の1つの回線でiPhone 11を利用しているため、「2回線目以降は、長期契約特典のPayPayボーナスを受け取れないの?」と、ソフトバンクとPayPayに問い合わせてみたところ、実はそれぞれの回線の長期契約特典を「PayPayボーナス」で受け取れることがわかってきた。
まず、PayPayのアカウントは不正利用を目的としていなければ、1人で複数のアカウントを作成することができる。ただし、PayPayアカウントに紐付く電話番号、もしくはYahoo!JAPAN IDは個別に必要。長期継続特典で付与される「PayPayボーナス」を受け取るだけであれば、ソフトバンクの携帯電話番号などで作成して、PayPayのアプリ内で「外部サービス連携」を設定すれば、完了。
次に、PayPay残高にセブン銀行のATMで現金をチャージしたり、ヤフオクの売り上げからチャージしたいときは、PayPayアカウントに銀行口座を登録するか、写真付き本人確認書類(運転免許証など)を登録して、本人確認を行なう必要がある。本人確認が済んだ状態でチャージした残高は「PayPayボーナス」とは別物で、「PayPayマネー」と呼ばれ、言わば、「お金」と同じ扱いになる。PayPayの対象店舗で支払うときは、どちらも同じPayPayの残高として利用できるけど、出金や送金(わりかん機能)については、PayPayマネーの残高から差し引かれる。
どちらも「PayPay○○」なので、混同してしまいそうだけど、簡単に言ってしまえば、「PayPayボーナス」は言わば、ポイントサービスのポイントに相当するもの。有効期限があるものは「PayPayボーナスライト」という名称で区別されている。
これに対し、「PayPayマネー」は「お金」と同じ扱いのため、本人確認が必要になるわけだ。いわゆるマネーロンダリング(資金洗浄)の問題があるので、このあたりはしっかりと区別されている。PayPayボーナスとPayPayマネーの違いについては、PayPayのFAQでも説明されているので、目を通しておくことをおすすめしたい。
ちなみに、PayPayボーナスを利用した還元策は、ソフトバンクやワイモバイルで対象機種を購入したとき、1000円、3000円、5000円のPayPayボーナスがもえらえる「スマホを買ってPayPayもらえちゃうキャンペーン」などでも採用されている。これも付与されるのは「PayPayボーナス」なので、電話番号が紐付いたPayPayアカウントのみで受け取ることができる。付与されたPayPayボーナスを他のPayPayアカウントに送ることはできないが、お買い物などには利用できる。
また、長期契約特典とは関係ないけど、PayPayアプリ内で、PayPayアカウントをYahoo!JAPAN IDと連携させる設定は、すでに他の電話番号と連携済みのYahoo!JAPAN IDは連携できない。そのため、回線ごとにYahoo!JAPAN IDを登録しないといけない。このYahoo!JAPAN IDに関連する仕様は、以前、ワイモバイルとYahoo!プレミアムとの連携でも指摘したんだけど、また同じような制限をくり返していて……。(参考記事その1、その2)
とまあ、とりあえずは長期継続特典のPayPayボーナスを受け取ることはできたので、課題はひとつクリア。国のキャッシュレス政策の後押しもあり、PayPayがQRコード決済で拡大していることは認めるけど、そもそものお膝元のサービス連携がわかりにくすぎて、閉口してしまった。
とにかくPayPayもソフトバンクも説明が下手すぎて、中途半端な内容しか伝わらないというのが正直なところ。「PayPayマネー」と「PayPayボーナス」の違いなんて、どれだけの人が理解しているんでしょう? 次々と使い道を拡げていくのはいいけど、ちゃんと体系立てて説明したり、もっと解説を充実させていかないと、お客さんの理解度はそう簡単に拡がっていきませんよ。>ソフトバンクさん、PayPayさん