みんなのケータイ
シャオミが韓国で低価格機を販売、プリペイドスマホ登場に期待
2018年7月30日 06:00
低価格スマートフォンで勢いに乗る中国のシャオミが韓国市場へ本格参入を果たしました。これまでにも限定ながらスマートフォンを販売したことがありましたが、今回は韓国の3つの通信事業者からの正式発売。価格もわずか3万円(29万9200ウォン)、補助金を受ければ1万円で買えることから注目を集めています。でも「これで韓国市場に風穴があく」かというと、筆者はそうは思えません。
例えば筆者の居住する香港では、シャオミが大々的にスマートフォンの広告を出しています。Snapdragon 845搭載の「Mi 8」は3399香港ドル、約4万8100円です。いわゆるシャオミのひと昔のうたい文句だった「iPhoneやGalaxyの半額以下」です。
ところが香港でiPhoneやGalaxyを捨てシャオミに乗り換えるという話は一切聞かれません。大手メーカー製品には信頼性とブランド力がありますから、簡単に乗り換えるものではありません。実際にシャオミの製品を手に取ればわかりますが、表面仕上げや重量バランスなどはまだまだ大手メーカー品に劣ります。シャオミの端末は性能を考えれば価格は十分安いのですが、その質感も価格相応と感じられます。
ということでシャオミの韓国市場参入も、そこを十分理解した上で製品展開を始めたようです。今回投入されたのは上位モデルの「Mi」シリーズではなく、格安モデルの「Redmi」シリーズの「Redmi Note 5」。このRedmiに飛びつくのは今でもエントリークラスのモデルや中古機を使っているユーザー層で、Galaxy S8やS7、LGのG5やG6から買い換えるユーザーはいないと思われます。
ソウルでいくつかの携帯ショップでシャオミ再参入の話を聞きましたが「iPhoneを購入する層はシャオミに全く興味を示していない。自分(店舗スタッフ)も買う気は無い」との声がいくつも聞かれました。これが現実の声であり、シャオミも下位モデルをあえて投入し、まずは価格に敏感な層を取り込もうと考えているのでしょう。
実はシャオミの製品はすでに韓国で多く販売されています。モバイルバッテリーでは売上1位になるなど、シャオミの名前はすでに十分認知されています。「低価格で品質が良い」というイメージが広がっていることも、ハイエンドスマートフォンではなく低価格品を投入した理由の1つでしょう。
韓国は国策でMVNO事業者を増やし、通信料金の引き下げに成功しました。しかし端末は日本のように海外メーカーのSIMフリー機が増えることはなく、大手事業者の旧モデルがMVNO市場に流れているのが実情です。SIMフリーによる海外メーカーの参入はなかなかうまくいっていません。
シャオミとしては将来はハイエンド端末を海外市場と変わらぬ安さで韓国に出したいのでしょう。とはいえ事業者を通さなくては端末の拡販は見込めません。しかしシャオミのハイエンドモデルに飛びつくユーザーは未知数です。ならばサムスンやLGが出せない、超低価格機で市場に入り込むことが得策と言えます。
さて個人的に気になるのは、シャオミほどの低価格モデルが登場したのであれば、そろそろ韓国でも「プリペイドスマホ」の販売が始まってもいいのではないか、ということ。韓国のプリペイドSIMは価格が割高で、旅行者にとってあまりお得といえるものではありませんでした。
しかし平昌オリンピック時に大手MNOの3社が低価格プリペイドSIMを投入し、一気に価格が引き下がりました。SIMが安くなり、スマートフォンも低価格機が登場。インチョン空港でシャオミのスマートフォンとプリペイドSIMのセットが3万円、なんて価格で売り出されたら筆者はすぐにでも飛んで買いに行きたいものです。