みんなのケータイ

スマホの普及と発達で旅行もラクになったと感じたMWC欧州旅行

【iPhone X】

イギリス観光ではコッツウォルズ地方行きのバスツアーに参加したのだが、大雪でコッツウォルズにはたどり着けなかった

 今年もバルセロナで開催されている世界最大のモバイル業界専門の展示会「Mobile World Congress(MWC)」に行ってきた。ついでにイギリス観光もして、合計で2週間ほど欧州に滞在した。

 MWCに初めて行ったのは2008年なので(2009年と2010年は行ってないので10回目ではないが)、それから10年が経過したことになる。海外旅行はいまだに慣れないけど、そうした不慣れも楽しむモノだと思っていて、最近は多少のトラブルが起きても「あーそうかー」くらいの気分で冷静に対応できるようになった。今回はストライキによる往路便変更、不正利用によるクレジットカード停止、欧州大寒波による悪天候などがあったが、とくに焦ったりすることもなく、のんびりと旅行を楽しめた。

 渡航中にトラブルがあっても余裕を持って行動できたのは、自身が旅慣れしたこともあるが、それよりもスマホによるところが大きいとも思っている。

ノキアE61(左)と初代iPhone(右)。E61で取材メモ取ってると、わりと「は?」みたいな目で見られた。そのくらいスマホが普及していなかったのである

 10年前、2008年のMWCというと、日本でiPhone 3Gが発売される直前(米国で初代iPhoneが発売した1年後)、製品発売前のAndroidはタッチパネル非対応のプロトタイプとタッチパネル搭載の開発ボードがかろうじて展示されているというようなタイミングだ。市場ではスマホはいまほど普及しておらず、データ通信のためのプリペイドSIMも少なかった。

 当時の筆者は、スマホ(ノキアE61と北米版iPhone)をスペインに持って行ったものの、ほぼ音声通話だけを使っていたと思う。ネット接続端末はほぼパソコンだけで、移動中はネットから隔絶される。そんな状態での海外旅行は、何のトラブルがなくても、終始緊張しっぱなしだった。

 そんな10年前に比べると、ここ数年はスマホの普及によって海外旅行は格段に安心で快適で楽しくなったと実感する。

鉄道の運行状況。Oxenholmeで乗り継ぎ予定だったが、大雪で遅延しまくりで、乗り継ぎ先の便もキャンセルされていた(次便に乗れたが)

 たとえば今回、大寒波の大雪の影響で、観光で訪れたイギリスでの移動は大いに混乱し、ロンドンからの長距離鉄道は遅延や運休が相次いでいた。こうした遅延・運休情報は、駅に行かないでもスマホから確認できるので、焦ることなく、到着や乗り継ぎがどうなるかを移動中に調べながら、余裕を持って行動できた。

 クレジットカードの不正利用が判明したとき、本来ならばクレジットカード会社から電話してもらうところだが、あえてこちらからLINE Outで発信し、そのまま折り返しなしで対応してもらうことで、国際電話料金を節約した。イギリスだと着信時の転送料金は110円/分(auの場合)がかかるが、LINE Outなら日本への発信は3円/分と格段に安く済む。

イギリスのコンビニスーパー「coop」のセルフレジ。ここでも非接触クレカが使えた

 クレジットカードは不正利用の確認後、オンライン決済だけ止めてもらい、ICカードでの決済だけ可能にしてもらった。しかし欧州では非接触クレジットカードが広く普及しているので、イギリス観光の後半、スコットランドに着いてからは、Apple Watchに入れていたau WALLETカード(Masterの非接触カードとして使える)でApple Payを多用した。

 Apple Watchなら財布をいちいち取り出さずに済み、PINコードも不要で、たとえばイギリスのパブで一般的な都度決済(キャッシュオンデリバリー)との相性も良い。また、盗難や不正利用への耐性は、クレジットカードよりも格段に高い。ただし、海外では少額決済もクレジットカードが使えることが多いが、今回はフィッシュアンドチップス屋やトラムのチケットで「一定額以上じゃないとクレジットカード不可」ということもあった。ある程度の現金も持っておく必要があるが、お釣りの出ない自販機なんかもザラなので、小銭をたくさん持っていないといけないのも地味に面倒である。あとイギリスの英ポンドは頻繁に硬貨・紙幣が切り替わり、すぐに旧硬貨・紙幣が使えなくなるので注意が必要だ。

イギリスでよくあるタイプの決済端末。非接触対応で、画面部分にApple Watchをかざして決済できる。スーパーやパブでもたいていこのタイプなので使い方を覚えておくとよい
イギリスでは国立博物館は無料なのだが、寄付を受け付けている。スコットランド博物館は非接触専用の寄付端末を設置していて、ここでもApple Payのau WALLETが使えた
PUBLIC FOOTPASHの案内。どこなのかよくわからない目的地表示だが、こうした目的地表時もかなり少ない

 Googleマップなどのナビアプリが気軽に使えるのも、10年前に比べると大きな進歩と言えるだろう。今回はイギリスの湖水地方にも滞在したが、そこでの無目的な散策では、Googleマップが活躍した。イギリスには「PUBLIC FOOTPATH」という公共の散策道がそこかしこにあるのだが、地図どころか目的地の標識も皆無なので、Googleマップなどのナビアプリが欠かせないのだ。

 逆に言うとGoogleマップで場所さえ確認できていれば、わりと適当に彷徨っても目的地にたどり着けるので、「コレってホントに散策道?」みたいな道でも、大胆に進み、いろいろ景色と羊に出会うことができる。こうした無目的な散策は、ナビアプリが発達するスマホ以前の時代ではなかなか難しかったが、いまはスマホがあれば気軽にできてしまう。

画面右中央にあるのがPUBLIC FOOTPATHの標識、だと思う。羊うろつく牧草地ど真ん中で、どこが道だか正直よくわからない(そしてこの先の散策道は廃止になっていた)
「前も左もどっちもFOOTPATHだよ(ただしどこに向かっているかは言わない)」というスタンスの標識。もはや哲学めいた趣すらある

 翻訳アプリも、スマホのおかげで使いやすくなったと思う。スペインでSIMカードを買うと、各種案内はスペイン語のSMSで届くのだが、そうしたSMSもスクリーンショットを撮ってGoogle翻訳の画像翻訳を使えば、比較的簡単に内容を理解することができる。これもスマホ普及以前にはなかなか考えられなかったことだ。当たり前だがスペインで地元民向けのレストラン(バル)や商品では英語表記がないことも多いので、地元民向けの安いメシや商品を使うには画像翻訳の使いこなしが必須だ。

 以前は観光旅行時にもデジカメを使うことがあったが、最近はほぼiPhoneで撮影している。カメラ画質が向上したり、iPhone Xで2倍ズームを常備するようになったのも大きいが、なによりも位置情報が記録され、iPhoneやMacの「写真」アプリで地図上に写真を表示できることが大きい。

スペインVodafoneからのSMS。去年はイタリアで「1MBあたり0.06ユーロだぜ」と言われたけど、今年は「追加料金ないぜ」と言われた(ただしスペイン語)
いままでiPhoneで撮影した場所(Mac版写真アプリから)。ベネチアにも行ったことがあるのだけど、そのときはデジカメを使っていた。次はフランスかドイツかなー

 どこかに観光旅行に行くたびに、地図上の写真が増えていくのは、その過程を見るだけでも楽しいし、「このあたりはまだ行ってないな」とか「ココはまた行きたいな」など、次の旅行計画を練るときにも役に立つ。地名だけ聞いたことがあった場所が、行ったことがある場所に変わっていくのは、なかなかに楽しいことである。

今回はネス湖にも行った。ハンターランクが足りなくてネッシーには遭遇できなかったが虹は撮れた
湖水地方にあるビアトリクス・ポター(ピーターラビットの作者)の家の前。オフシーズンだが雪景色も美しかった
けっきょく4.5GB中750MBほど余った。通話は1回もしなかった

 ちなみに今回、現地での通信回線として、バルセロナのVodafoneショップで10ユーロ4.5GB(おそらくキャンペーンで増量中)のプリペイドSIMを購入した。ホテルのWi-Fiが優秀だったこともあり、バルセロナでは半分も消費しなかったのだが、EU圏内のローミング料金が撤廃されたことにより、その残りをそのまま、イギリスや帰路の乗り継ぎ地で使うことができた。

 スコットランドの山奥ではイギリスVodafone UKのネットワークがつながらないこともあり、そうしたときはEEのEDGEやO2のGPRSなど、2Gネットワークにつながることもあったが、Vodafoneグループ以外でも追加料金などは掛からなかった。欧州を周遊するときは、どこかでプリペイドSIMを1枚買えば事足りてしまいそうだ。今後、イギリスがEUを脱退するとどうなるかわからないが、便利なのでこのEUローミング無料は引き続き対応して欲しいところである。

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