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「arrows M03」でApple Musicを聴いてみる

【arrows M03】

 1年ほど前から日本でも拡がりを見せてきた、定額制の音楽聴き放題サービスは、今秋、「Spotify」の国内展開をもって、いよいよ本格化した。それにあわせたわけではないだろうが、先にサービスを開始していたGoogle Play Musicが11月に、Apple Musicが9月にリニューアルしていた。

 Google Play Musicについては、先だって記事にしており、その特徴は、一言で言うと「ユーザーの状況をマシンラーニングで把握し、場面場面にあわせた音楽を自動的に提案してくれる」というものだ。

 さほど音楽事情や、さまざまなアーティストのことを知らなくても、何気なく音楽に触れられ、その時々にピッタリな曲に出会いやすい「Google Play Music」の一方で、「Apple Music」はまたガラリと方向性が異なる。どちらのサービスも、各国ごとに、その地域の音楽の嗜好などに詳しい専門スタッフを抱えるようだが、アップルの場合、ディープな音楽好きをうならせるエディターによるプレイリストが特徴だ。そうしたプレイリストのなかには、音楽専門誌のスタッフが手がけたものなど、エキスパートによる選曲も楽しめることがウリのひとつ。エディターが作ったテーマごとのプレイリストを登録しておくと、自動的にそのプレイリストに含まれる曲が更新されていく。J-POP、洋楽、アニソンなどジャンルごとでヒット曲だけではなく、要注目な曲もわかりやすく提案している。もちろんさまざまな音楽ジャンルのものを用意するだけではなく、集中力の必要な作業でのBGM、体を動かすワークアウトにあわせた曲など、場面にあわせたプレイリストもある。

 「ラジオ」はインターネットラジオのコンテンツを楽しめる機能。なかでも「Beats 1」という局では、エルトン・ジョン、ファレル・ウィリアムズ、Dr.Dreが番組を持っていることで知られる。ファレル・ウィリアムズの番組では最近、日本で収録し、現代アートの村上隆氏と対談した回もあり、ライブ包装のほかオンデマンドでも楽しめる。

iOS 10の「ミュージック」では各種メニューが画面下部にあるが、Android版は画面左のメニュー。「見つける」もAndroid版にはない。はやく利用したい

 ユーザーが好んで聴く曲を学んで、アルゴリズムでプレイリストを編成していく「For You」というメニューも用意されている。

 エディターやエキスパートなど“人”の存在を強く推しだしている感のある「Apple Music」で、リニューアルで最もエディターが注力しているのが「見つける」というメニュー。エディターが推薦するホットな一曲、それもApple Musicでしか聴けないような新曲を中心にキュレーションするなど、新たな音楽に触れたい人には最適な機能と言えそう。

 音楽好きが音楽好きのために、といった雰囲気が漂う「Apple Music」は、iPhoneだけではなく、実はAndroidでも楽しめる。ただしiOS 10になったiPhoneの「ミュージック」では「For You」「見つける」などが画面下部にあって、一新されたメニュー体系になっているのに対して、筆者がインストールしたAndroid版は左サイドにメニューが表示される形で、「見つける」もなく、リニューアル前の機能のようだ。

 そうなると機能面でもiPhoneのほうが大きくアドバンテージがあるような印象も受けるが、最新のiPhoneは主に大手キャリアで購入する人が多いだろう。AndroidであればSIMロックフリースマホも数多くあって、毎月の通信費をMVNOサービスで抑えつつ、「Apple Music」も楽しめる。筆者の場合、今、メインで使っている「arrows M03」にさっそくアプリをダウンロード。ちょっとした機能として、イヤホン装着時に起動するランチャーにもApple Musicを登録しておいた。「Google Play Music」の取材時には、楽曲ラインアップの充実、といった話はほとんどされず、アルゴリズム面での狙い・進化が主になって、それはそれでとてもグーグルらしく興味深く感じたが、かつてほどほどに音楽好きだったのに、いつの間にか音楽を聴く習慣が薄れてきていた身にとって、今の音楽シーンの状況を深彫りしてくれる「Apple Music」は結構グッとくる。さらにごく個人的な話で恐縮だが、タフネス性能もある「arrows M03」はジョギングなど、ちょっとした運動やアクティビティにぴったりだと思う。そうした場面でも、濃い音楽のアレコレを楽しめる「Apple Music」は選択肢のひとつとしてそれなりに面白そうだ。