DATAで見るケータイ業界

通信キャリア各社の決算から、契約数とARPUの動向を整理する

 通信キャリア各社の2023年7~9月期決算が11月上旬までに出揃った。そこで各社の携帯契約数とARPUの動向を整理してみたい。

4キャリア合計で300万を超える純増数、通信モジュール契約が増加の牽引役

 2023年9月末時点における各社の累計契約数は、NTTドコモが8850.9万(前四半期比54.4万増)、KDDIが6594.7万(同85.3万増)、ソフトバンクが5395.0万(同121.2万増)、楽天モバイルが522万(同41万増)となった。4社あわせて300万を超える契約純増となった。

 数字の上では全社揃って好調な勢いを示しているが、各社の状況を細かく見ると、実情は大きく異なる。

 NTTドコモは、今四半期の通信モジュール契約数が58.9万増となっていることから、それ以外の回線数は4.5万減と計算できる。通信モジュールを除く回線数が純減に陥ったのは、2021年10~12月期以来となる。

 ソフトバンクも純増の中心は通信モジュールだが、今四半期は99.4万増となっており、スマホなどの動向を示す「主要回線」も21.8万の純増を確保している。

 KDDIの場合、モジュール回線数を示す「IoT累計回線数」には海外の数字なども含まれるため同様の計算は困難だが、パーソナルセグメントにおけるau、UQ mobile、povo(課金ユーザーのみ)の動向を示す「マルチブランドID数」は今四半期3.6万増となっている。

ゼロ円プラン廃止と官製値下げ、2つの特殊要因影響が収まり、ARPUは微増で各社横並び

 続いて1契約数あたり収入を示すARPUの動きを見てみよう。

 各社が開示する数字のうち、通信料収入が基準となっている「回線系ARPU」は、NTTドコモが4000円(前四半期比10円増)、KDDIが3960円(同30円増)、ソフトバンクが3,750円(同30円増)、楽天モバイルが2046円(同33円増)だった。

 楽天モバイルは、ゼロ円プラン廃止にともない低容量利用者が離反したことで、ユーザーの月間平均データ使用量が順調に増加している。7~9月期は23.5GBに達しており、段階制料金プランを掲げる同社のARPU上昇を牽引してきたが、その勢いは一巡した模様だ。

 残る3社は、官製値下げの影響でここのところARPUの減少が続いていたが、今四半期は揃って増加に転じている。この結果、4社が数十円台のARPU増で横並びとなった。

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