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基地局ベンダーシェアは北欧勢のトップが続くも国内勢が復調、基地局工事シェアは大手3社で約7割占める
携帯基地局市場と設備投資の実態 2021(2)
2022年5月28日 00:01
MCAは、市場調査資料「携帯電話基地局及び周辺部材市場の現状と将来予測 2019~2024年度版」を5月に発刊した。前回に引き続き、同資料をもとに、携帯基地局市場の動向を取り上げる。今回は、基地局(無線機)ベンダー並びにエンジニアリング(基地局工事)市場のシェアと動向を整理したい。
<無線機ベンダーシェア>今後もトップに位置する北欧ベンダー
国内無線機ベンダーシェアの推移をみると、2020年度は北欧ベンダーが40%を占めた。国内ベンダーは34.1%へ拡大し、アジアベンダーは中国ベンダーの回復が見込めないものの、韓国KMWによる楽天モバイルへの参入が拡大に寄与している。北欧ベンダーはシェアを落としたが、今後もトップに位置するものとみられ、国内ベンダーはNTTドコモの5G投資に期待がかかる。
【北欧ベンダー】2020年度にシェア40%に縮小
エリクソン・ジャパンはKDDI(au)とソフトバンクで高シェアを獲得し、国内最大手の位置を維持している。一方、ノキアソリューションズ&ネットワークスはKDDI(au)とソフトバンクで低調であったが、NTTドコモでの堅調さと楽天モバイルへの参入が功を奏した。現状、ノキアはKDDI(au)とソフトバンクでの低迷を、NTTドコモと楽天モバイルで補完する流れで、国内ベンダーと同様に、NTTドコモの基地局投資拡大に期待がかかる。
【国内ベンダー】NTTドコモの5G投資拡大の恩恵を享受
これまでNTTドコモの基地局投資抑制が続いていたが、2020年度は基地局投資が上向き、富士通と日本電気に追い風となった。特に5G投資が大幅拡大した結果、富士通、NECともに恩恵を受けている。今後もNTTドコモの高水準な基地局投資が続く見込みで、国内ベンダーに勢いが戻る可能性もある。
【アジアベンダー】韓国KMWが参入
ソフトバンクでの華為技術日本とZTEジャパン失速により、アジアベンダーはサムスン電子ジャパンのみであったが、2020年度はKMWによる楽天モバイルへの参入もあり、シェアを拡大させた。
サムスン電子ジャパンは引き続き、KDDI(au)で堅調な動きをみせている。一方、KMWは楽天モバイルでノキアソリューションズ&ネットワークスからシェアを奪ったが、楽天モバイルが2021年度にノキアへシフトしたという声も聞かれる。なお、華為技術日本は米中関係の煽りから国内5G市場への参入が困難となり、現在は無線機から附帯設備への参入にシフトしているものとみられる。
<基地局エンジ市場>全国系大手エンジ会社3社のシェアは約70%
2020年度の基地局向けエンジニアリング市場は全国系大手エンジニアリング会社3社が68.4%のシェアを獲得した。
最大手はコムシスグループで、エクシオグループ、ミライトグループと続いている。コムシスホールディングスは日本コムシスやサンワコムシスエンジニアリング、TOSYS、つうけん、NDS、SYSKEN、北陸電話工事を、エクシオグループがシーキューブや西部電気工業、日本電通、大和電設工業、エクシオテックを、ミライト・ホールディングスはミライトやミライト・モバイル・イースト、ミライト・モバイル・ウエスト、ミライト・テクノロジーズ、TTK、ソルコム、四国通建を抱える。
進む全国系大手グループ内再編
全国系大手エンジニアリング会社でグループ内再編が進んでいる。エクシオグループが2021年8月に北海道及び東北エリアのグループ会社を再編し、ミライト・ホールディングスも2022年度中に傘下のミライトとミライト・テクノロジーズを吸収合併する。さらにミライトHDは新設する連結子会社のミライト・モバイル・イーストとミライト・モバイル・ウェストにミライトのモバイル事業を一部業務を移管する計画である。なお、コムシスホールディングスに競合2社のような再編の動きはみられないが、将来的に傘下の中堅エンジ会社を含めたグループ内再編が行われるものと想定される。
懸念は工事量が縮小した際のエンジ会社への対応
現在、楽天モバイルは旺盛な工事発注を行っているものの、今後、工事発注量が減少した際のエンジニアリング会社への対応が懸念される。過去には、KDDI(au)とソフトバンクがエンジ会社へ不安定な工事発注を行った結果、その後、エンジ会社の確保に苦労したという事例もある。今後、楽天モバイルの工事発注量が減少していくことが想定され、楽天モバイルによる裁量に注目が集まる。