DATAで見るケータイ業界

キャリア各社が注力する決済分野、クレジットカードなど各領域の現状を整理する

グラフで比較するキャリア決算(3)

クレジットカードの取扱高は、各社とも前年比2桁成長

 キャリア4グループのうち、数字が開示されている3社の2021年10~12月期クレジットカード取扱高は、楽天カードが4兆2176億円(前年同期比25.5%増)、NTTドコモが1兆7900億円(同26.0%増)、Zホールディングスが7727億円(同17.6%増)。3社揃って2桁成長を記録した。

「PayPay」急成長が寄与し、Zホールディングスは前年比5割増に

 クレジットカードだけでなく、スマホ決済など決済関連分野の動きを広く確認できるのが「金融・決済取扱高」だ。

 金融・決済取扱高を開示している2社に加え、クレジットとスマホ決済の数字を開示しているZホールディングスの状況を整理したのが下のグラフだ。

 各社の10~12月期の取扱高は、KDDIが3兆590億円(前年同期比27.0%増)、NTTドコモが2兆4000億円(同26.3%増)、Zホールディングスが2兆2405億円(同53.1%増)と、こちらもそれぞれ2桁成長となっている。

 なかでもZホールディングスの伸びは著しく、PayPay取扱高が1年前の8067億円から1兆4678億円へと82.0%増加したことが大きく貢献した。

カード単体で4兆超えの楽天の強さ際立つも、PayPay背景にZホールディングスが猛追

 ここまで、2つの取扱高を見てきたが、この分野では楽天の強さが際立つ結果となった。残り3社は、クレジットカードだけでなくスマホ決済などの数字を加えた取扱高が2兆~3兆円台なのに対し、楽天はクレジットカード単体で4兆円を超えている。

 とはいえ、PayPayの急成長を背景にZホールディングスの巻き返しも顕著で、今後は状況が大きく変わる可能性も秘めていると言えそうだ。

 なお、各社の金融・決済取扱高に、クレジットカードならびにスマホ決済の数字が含まれていることは共通だ。しかし、Zホールディングスを除く2社の数字には、これに加えてキャリア決済の数字が含まれているほか、NTTドコモは電子マネーの「iD」、KDDIは銀行決済やローン実行額も上乗せされている(ZホールディングスはクレジットカードとPayPayの取扱高を単純合算したものを用いている)。

 また、自社ブランドのクレジットカードからスマホ決済へチャージできる仕組みを持つ場合、決済取扱高が二重にカウントされている可能性もある。数字の持つ意味合いが各社で異なる点には注意が必要だ。

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。 主に「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」サービスを展開。 所属アナリストとの意見交換も無償で随時受け付けている。 https://www.mca.co.jp/company/analyst/analystinfo/