DATAで見るケータイ業界
キャリア各社が注力する決済分野、クレジットカードなど各領域の現状を整理する
グラフで比較するキャリア決算(3)
2022年3月29日 05:00
キャリア各社の主要数値をグラフ化し、比較していく企画の最後となる今回は、キャリア各社の決済分野の現状を整理してみたい。
クレジットカードの取扱高は、各社とも前年比2桁成長
キャリア4グループのうち、数字が開示されている3社の2021年10~12月期クレジットカード取扱高は、楽天カードが4兆2176億円(前年同期比25.5%増)、NTTドコモが1兆7900億円(同26.0%増)、Zホールディングスが7727億円(同17.6%増)。3社揃って2桁成長を記録した。
「PayPay」急成長が寄与し、Zホールディングスは前年比5割増に
クレジットカードだけでなく、スマホ決済など決済関連分野の動きを広く確認できるのが「金融・決済取扱高」だ。
金融・決済取扱高を開示している2社に加え、クレジットとスマホ決済の数字を開示しているZホールディングスの状況を整理したのが下のグラフだ。
各社の10~12月期の取扱高は、KDDIが3兆590億円(前年同期比27.0%増)、NTTドコモが2兆4000億円(同26.3%増)、Zホールディングスが2兆2405億円(同53.1%増)と、こちらもそれぞれ2桁成長となっている。
なかでもZホールディングスの伸びは著しく、PayPay取扱高が1年前の8067億円から1兆4678億円へと82.0%増加したことが大きく貢献した。
カード単体で4兆超えの楽天の強さ際立つも、PayPay背景にZホールディングスが猛追
ここまで、2つの取扱高を見てきたが、この分野では楽天の強さが際立つ結果となった。残り3社は、クレジットカードだけでなくスマホ決済などの数字を加えた取扱高が2兆~3兆円台なのに対し、楽天はクレジットカード単体で4兆円を超えている。
とはいえ、PayPayの急成長を背景にZホールディングスの巻き返しも顕著で、今後は状況が大きく変わる可能性も秘めていると言えそうだ。
なお、各社の金融・決済取扱高に、クレジットカードならびにスマホ決済の数字が含まれていることは共通だ。しかし、Zホールディングスを除く2社の数字には、これに加えてキャリア決済の数字が含まれているほか、NTTドコモは電子マネーの「iD」、KDDIは銀行決済やローン実行額も上乗せされている(ZホールディングスはクレジットカードとPayPayの取扱高を単純合算したものを用いている)。
また、自社ブランドのクレジットカードからスマホ決済へチャージできる仕組みを持つ場合、決済取扱高が二重にカウントされている可能性もある。数字の持つ意味合いが各社で異なる点には注意が必要だ。