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キャリア各社の設備投資額は21・22年度ともに1.8兆円へ拡大

携帯基地局市場と設備投資の実態 2021(1)

 MCAは、市場調査資料「携帯電話基地局及び周辺部材市場の現状と将来予測 2019~2024年度版」を5月に発刊した。そこで今回と次回の2回にわたり、同資料から携帯基地局市場の動向を取り上げていきたい。今回は、携帯キャリアの設備投資と基地局投資に焦点を当てる。

<設備投資額>楽天モバイルの投資拡大が20年度の全体投資を底上げ、21年度と22年度は総額で1.8兆円へ拡大

 2020年度におけるキャリア各社の設備投資額はNTTドコモが5691億円、KDDI(au)は3615億円、ソフトバンクが3569億円、楽天モバイルは3359億円、UQコミュニケーションズ(UQC)が166億円、Wireless City Planning(WCP)は150億円の合計1兆6550億円となった。特に楽天モバイルによる投資拡大の影響が大きく、ソフトバンクも寄与している。

 2021年度はNTTドコモが5500億円、KDDI(au)は3900億円、ソフトバンクが3250億円、楽天モバイルは5089億円、UQCが200億円、WCPは150億円の合計1兆8089億円を見込む。キャリア各社による投資抑制が叫ばれていたものの、楽天モバイルの参入により、全体投資額での抑制は底を打ったといえる。

 今後、キャリア各社は5G時代も現在の投資規模で推移し、NTTドコモが5500億円規模、KDDI(au)はモバイル向けに3000億円台後半の投資が続き、ソフトバンクも移動通信向けに3000億円台前半の投資が見込まれる。高騰している楽天モバイルの投資は2022年度も前年度並みの規模が計画され、2023年度以降に落ち着くものとみられる。なお、合計投資額としては、2023年度以降も1兆5000億円規模で推移していく見込みである。

<5G基地局数 / 投資>5G投資拡大もLTE投資が引き続きメイン

 2020年度における国内5G基地局数は2万1000局となった。NTTドコモが7100局、KDDI(au)は5900局、ソフトバンクが6600局、楽天モバイルは1400局で、KDDI(au)とソフトバンクの数値には5G転用が含まれている。5G転用を多用するKDDI(au)とソフトバンクは今後、NTTドコモを凌ぐ5G新局数で推移していく。

 5G基地局数の拡大に伴い、5G投資も拡大している。2020年度は2658億円となり、2021年度以降は4000億円級の投資が続く。ただ、5G投資の拡大が期待される中、FDD / TDDを合わせたLTE投資は今後も大きな比率を占める。その要因として、5Gは帯域幅が広いものの、4周波数に過ぎず、LTEは9周波数であり、その差が影響しているものとみられる。

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。 主に「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」サービスを展開。 所属アナリストとの意見交換も無償で随時受け付けている。 https://www.mca.co.jp/company/analyst/analystinfo/