ケータイ用語の基礎知識

【第1026回】着信履歴の「+」番号に折り返しはNG! 国際電話の罠と理由を解説
2026年10月27日 00:00
ときに残る、着信履歴の「+」とは?
スマートフォンに、いつの間にか知らない番号からの着信履歴が残っていることがあります。その番号が+1や+44など、「+」から始まっていた経験はないでしょうか。
海外に知人や仕事の用件があるなど、明確な心当たりがない限り、こうした番号へうっかり折り返してはいけません。
「+」は、その電話番号が国際形式で表記されていることを示す記号だからです。
「+」は国際電話のサイン――E.123とE.164
日本の携帯電話番号は、国内では「090-1234-5678」のように表します。しかし海外から日本へ電話をかける場合は、日本の国番号「81」を付けた国際形式で指定する必要があります。
ここで少しややこしいのが、国際電話をかける際に頭に付ける番号「国際プレフィックス」が国によって異なることです。
そこでITU-T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)の勧告「E.123」では、「+」を「国際プレフィックス置換記号(International prefix symbol)」として定めています。発信する国ごとに異なる国際プレフィックスをいちいち書く代わりに、「+」を置くわけです。
つまり「+」そのものが国番号なのではなく、「この後ろは国際電話番号ですよ」という合図ですね。E.123が主に電話番号の「表記方法」を扱うのに対し、「E.164」は世界共通の電話ネットワークで使う電話番号そのものの構成を定めています。
国際電話番号は大まかに、
「+」+「国番号(1~3桁)」+「国内側の番号」
という形になります。E.164で定められる番号部分は最大15桁で、「+」はこの15桁には含まれません。たとえば日本の「090-1234-5678」を国際形式で表す場合、日本国内で使う先頭の「0」を外して、国番号「81」を付け、
「+81 90 1234 5678」
となります。同じように「+1」なら米国やカナダなど、「+86」は中国本土、「+44」は英国から、ということになります。
かけ直すとどうなる? 狙われる「国際通話料」
では、なぜ心当たりのない「+」番号へ折り返してはいけないのでしょうか。折り返せば日本から海外への国際電話となり、通常の国内通話定額の対象外で、別途国際通話料がかかります。
これを悪用するのが「国際ワン切り詐欺」です。数回だけ呼び出して着信履歴を残し、気になった相手に折り返させます。つながると自動音声などで通話を長引かせ、通話料金を膨らませる手口もあります。国際電話の接続料の一部が、犯罪グループ側へ報酬として流れるケースもあります。
さらに最近は、国際電話番号を使って「未払い料金がある」「あなたは捜査対象だ」などと不安をあおり、金銭をだまし取ろうとする特殊詐欺も多発しています。警察庁も「+1」「+44」などから始まる国際電話番号を利用した特殊詐欺への注意を呼びかけています。
一度折り返すことで、「この番号は反応する」と相手に知られ、その後の迷惑電話や詐欺電話の標的になる可能性もあります。
不審な「+」着信への対処は……無視。
対処法はシンプルです。心当たりのない「+」からの着信には出ない、折り返さない。基本はこれだけです。
必要なら端末の着信拒否機能や、キャリア・セキュリティアプリの迷惑電話対策も利用しましょう。海外への発信自体が不要なら、契約している国際電話サービスを停止・解約する方法もあります。警察庁も、携帯電話では知らない国際電話を無視し、端末の着信設定や着信規制機能を備えたアプリを利用するよう案内しています。
「+」で始まる番号だからすべて危険、というわけではありません。しかし、心当たりのない国際番号には、まず「折り返さない」。着信履歴に残った「+」は、少し警戒するサインだと覚えておくとよいでしょう。

