ケータイ用語の基礎知識

【第1016回】eSIMを使おう! でもeSIMって何?
2025年9月30日 06:00
2025年秋に発売されたiPhone 17シリーズとiPhone Airでは、ついにSIMカードスロットがなくなり「eSIM専用」になりました。新しいiPhoneを手に入れた方は「じゃあ、eSIMを使うしかないのか」と思うでしょう。
では、それ以前の機種の人はどうすればいいのでしょう? SIMカードをそのまま使うのか、それともeSIMにしたほうがいいのでしょうか。そもそも、eSIMとは何なのでしょう。
eSIMとは?
eSIM(イーシム)とは「Embedded SIM(組み込み型SIM)」の略です。スマートフォン本体にあらかじめ組み込まれたSIMで、これまでのようにカードを抜き差しせずに通信契約ができる仕組みです。
利用するには、通信事業者から発行される「プロファイル」と呼ばれる契約情報をスマホに書き込みます。QRコードやアプリ経由で簡単に設定でき、これで通話やデータ通信ができるようになります。
iPhoneでは2018年のiPhone XS/XRシリーズ以降、物理SIMとあわせてeSIMが利用可能になりました。最近のAndroidスマートフォンでも、SIMスロットとeSIMの両方を備える機種が増えています。
eSIMのメリット
まず、契約や開通がとてもスムーズです。カードを受け取る必要がなく、店頭に行く・郵送を待つといった手間を経ずに、オンラインで手続きが完結できます。QRコードを読み込めば、すぐに利用を始められます。
さらに、1台の端末で複数の回線を使えるのもeSIMの強みです。国内で2つの事業者を使い分けたり、海外旅行時に現地の通信を追加したりといった使い方が可能です。
物理カードではないので「なくした」、「サイズを間違えた」といったトラブルが起きないのも安心です。
eSIMのデメリット
一方で、注意すべき点もあります。ひとつは機種変更時です。物理SIMなら入れ替えるだけで済みますが、eSIMは旧端末と新端末で同時に使えないため、確実に切り替え作業をしないと一時的に通信できない時間が生じます。
iPhone同士なら「eSIMクイック転送」、一部Androidでは「eSIM転送」といった機能で簡単に移せますが、対象外の機種では再発行が必要になります。
もうひとつは、スマホが故障したときです。電源が入らない状態ではプロファイルを取り出せないため、新しい端末用に再発行してもらう必要があります。ドコモやauなど主要キャリアは、手数料0~550円程度で新しいQRコードを発行してくれますが、すぐに代替機で使いたい場合には物理SIMのほうが手軽です。
また、SIMを差し替えて確認することができないため、不具合が起きたときの切り分けがやや難しいという点もあります。
まとめ
eSIMには便利さと柔軟さがありますが、機種変更や故障時にはひと手間かかることがあります。iPhone 17シリーズのように「eSIM専用機種」では選択肢はありませんが、それ以外の端末では、自分の利用スタイルにあわせて物理SIMとeSIMを使い分けるのが良いでしょう。


