ケータイ用語の基礎知識
【第1005回】スキーに行く前の「スマホの準備」、意図せず通報してしまったら?
2023年12月31日 00:01
スマートフォンやスマートウォッチは、機種により「ユーザーが助けを必要とするだろう」と考えられる特定の状況下で、緊急通報が作動するように作られているものがあります。しかし、それがきっかけで予期せぬ通報をしてしまうことも……。
スマホ/Apple Watchが緊急通報する
Android 12以降のスマートフォンには、緊急通報機能が備えられています。これは、以下のように、ユーザーが助けを必要とするだろうと考えられる「特定の状況下」で、機能するように作られています。
スマートフォンが車の衝突を検出した場合、緊急サービスへ通報される機能のほか、特定のジェスチャーやボタンの操作を行うことで、通報される仕組み、さらに一部の端末では、ユーザーが転倒したことを検出し、緊急通報を行う機能が備わっている場合があります。
Appleの製品では、iOS 16を搭載するiPhone14シリーズ以降と、Apple Watch Series 4/SE(第2世代)/Ultra以降に衝突事故を検知する機能が搭載されており、端末が衝撃を検知した場合には、自動的に110番や119番に電話をかけるように設定することができます。
また、Apple Watch Series 4/SE/Ultraでは、転倒検出の機能があり、Apple Watchがユーザーに振動や音声で警告を発し、無事かどうかを尋ねます。返答すると、緊急通報は行われません。転倒を検出後ユーザーが一定時間動かない場合、Apple Watchは自動的に緊急サービスに通報します。通報時にはユーザーの現在地情報も送信されるため、救急隊員が迅速に現場に到着することが可能です。
便利な機能だが、誤通報してしまったら……
こうした機能は、不慮の事故などに遭遇した場合にとても有効な機能です。しかし、最近ではこれらの機能による「誤通報」が多発しています。
総務省消防庁は2023年1月、スキーなどウィンタースポーツシーズンにスマートフォンからの誤発信が増えているとして、Webサイトで注意を呼びかけました。万が一、誤って通報してしまったら「110番です。事件ですか、事故ですか?」とオペレーターから尋ねられるので、慌てて切らずに「どちらでもありません。誤操作による誤発信です」ときちんと、誤って発信したことを伝える必要があります。何も言わずに切ってしまうと、オペレーター側はかけ間違いなのか、本当に緊急事態なのかが分かりません。慌ててすぐに切ってもかけ直されてくるので、そのときにはきちんと誤って通報したことを伝えましょう。
スキーやスノーボードなど、転倒の可能性があるスポーツ中にはこうした機能をオフにしておくことも考えたほうがよさそうです。衝突事故検出に対応するiPhoneの場合、設定の「緊急 SOS」から、Apple WatchではiPhoneからApple Watchアプリを開き「マイウォッチ」タブから「緊急 SOS」を選択すれば、オフにできます。Androidスマートフォンの場合「安全性と緊急通報」内の「自動車事故検出」から機能のオンオフを設定できるようになっています。
なお、過去の本誌記事などによると、この機能は、初期設定でOFFになっている機種も多いということです。筆者、個人的には、自動通報機能をオフにするという方法は、あまりおすすめできませんが……。本当の緊急時に使えないのでは意味がないですから。スポーツ中はロッカーなどにスマートフォンを預けることを考えてみても良いでしょう。