ケータイ用語の基礎知識

第872回:Clova とは

 「Clova」は、メッセージングアプリを手がけるLINEが開発するAIアシスタントです。

 Clova対応のデバイスとして、2018年9月現在、スマートスピーカーの「Clova Friends」「Clova Friends mini」「Clova WAVE」が提供されています。いずれもWi-Fiなどインターネット環境が整った家庭内で使うことを前提に作られた端末です。

何ができるか

 他のスマートスピーカー同様、Clovaは、多くの情報を調べられます。たとえば、「今日の天気は?」「明日の渋谷の降水確率は?」「スポーツニュースを教えて」「今日の予定を教えて」というようなことが可能です。「ブリーフィングして」と言うと、当日の各情報(天気、カレンダー、ニュース、占い)を一度に教えてくれます。

 エンターテインメント系の機能も充実しています。radikoと連携して「○○(ラジオ局名)をかけて」と言えばそのラジオ局をかけますし、「桃太郎を読んで」と言えば童話を朗読します。

 「何か音楽を再生して」や「おすすめの曲を再生して」でLINE MUSICが提供する4700万曲の楽曲を楽しむことができます。ただしこれにはLINE MUSICへの登録が必要です。

LINE通話に対応

 このほか、Clovaでは、コミュニケーションという面では随分早くから強力な機能が搭載されてきました。Clova WAVE以外のClova対応スマートスピーカーでは、LINEの無料通話に対応しているのです。

 これにより携帯電話やタブレットのLINEと通話ができるようになっていました。相手がClovaではなく、スマートフォンのLINE通話でもお互いにかけたり、受けたりすることができます。通話の終わりはClovaに「通話終了」もしくは「ストップ」と命令します。

 「電話をかけて」「○○さんに電話をかけて」「電話に出て」は当然できそうに思いますが、Clovaでは「電話に出ないで」、つまりあえて電話を無視するということもできるのも面白い機能です。

 スマートフォンのメッセージング・通話アプリとしても知られる「LINE」が提供しているだけあって、LINEのメッセージをやり取りすることもできます。たとえば、「LINE送って」「新しいLINE読んで」でLINEを送ったり、未読を読みあげたりすることもできます。ただし、家族アカウントとして設定した相手とだけ利用できます。

スキルは「Clovaスキルストア」でも

 Clovaはあとから機能を追加できます。その一つの方法はストアから利用する方法です。「LINE Clova」アプリ内設定ページから「Clovaスキルストア」を開き、追加したいスキルをタップすることで、公開されているスキルを自分のClovaでも使えるようになっています。

 もうひとつは自分でスキルを自分で作ることです。Clovaには日本語で書かれたDeveloper Center(β)が存在し、ここにあるClova Extensions Kitを使って様々なスキル、LINE@や公式アカウントと連携したスキルを作成することも可能になります。

赤外線リモコンで家電を操作

 Clova向けに、2018年8月21日から専用のハードウエア「Clova Friends Dock(赤外線リモコン)」が発売されました。その名の通り、家電を操作する赤外線リモコンです。

 Clova Friendsシリーズをこのドックの上にセットすることで、家の赤外線式リモコン式を使っている照明や、テレビエアコンの操作ができるようになります。

 このドックは、充電器にもなっていて、上に置くことでClova Friendsシリーズを充電することも可能になっています。

 操作方法は、他のClovaのコマンドと同じで「Clova (クローバ)」や「ねぇClova」と呼びかけてスタンバイ状態にした後、音声で「テレビをつけて」「テレビの音量をあげて」「電気を消して」「エアコンをつけて」といったように指示することで、その命令の通りに動作します。

 Clovaに対応する初めてのデバイスとして登場したWAVEでは最初から赤外線リモコン機能が備わっていました。無線LANや専用のIoTデバイスを使わずとも、以前から利用されているさまざまな家電を、スマートスピーカーですぐ利用できるようにする、といった点はClovaと、Clova対応デバイスの特徴と言えるかもしれません。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)