ウィルコムやソフトバンクモバイル、NTTドコモなどのキャリアからスマートフォンがいくつも登場し、日本でもスマートフォンが話題になっている。キャリアブランドだけではなく、ノキアやHTC NipponからSIMロックフリーのスマートフォンも発売されている。本稿では、「スマートフォン」と呼ばれる携帯端末について、その概要や具体的な利用例などを紹介する。
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スマートフォンにはさまざまな形状がある。QWERTYキーボードを搭載したモデルも多いが、キーボードレスタイプも
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■ スマートフォンとは何か
一口に「スマートフォン」といっても、明確な定義は難しい。大まかに言えば、スマートフォンとは、一般の携帯電話で利用可能な通話やメール、Webブラウズなどの機能のほかに、さまざまな機能を搭載した高機能な携帯電話といった位置づけだろう。一般的な携帯電話より高機能な、パソコン的な能力を追加した機種というのが共通認識かもしれない。
日本においては、正確な定義などはまだ見あたらず、興味のある人が各人好きなようにスマートフォンを分類しているのが現状ではないだろうか。Wikipedia英語版では、NTTドコモのFOMAもスマートフォンに分類されており、海外では日本で発売されている携帯電話の多くがスマートフォンの一種と見られているようだ。
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定義の仕方によっては日本の3G携帯電話もスマートフォンと言えなくもない(写真はauのW56T)
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BlackBerryやiPhoneもスマートフォンかどうかで意見が分かれるデバイスかもしれない。機能を考えると立派なスマートフォンではないかと思う
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筆者が聞いた中でしっくり来ると感じているのは、「ユーザーレベルでカスタマイズできる電話」という定義だ。ユーザー主体で、ユーザー側からの強い意志が感じられ、より実感に近い定義だと思う。この定義に従えば、現状ではiPhoneはスマートフォンではないが、2008年2月にSDKが公開されアプリケーションが自由にインストールできるようになれば、iPhoneもスマートフォン、ということになる。
■ ウィルコムとソフトバンクのスマートフォン向け料金プラン
さて、まずはスマートフォンを利用する場合の通信料金について、考えてみよう。
キャリア各社の料金プランは、スマートフォンでは利用できないプランや、逆にスマートフォンでないと実質的に意味がないプランもあるので、しっかりと検討する必要がある。また、ユーザーの用途によって最適な料金プランは異なってくる。ここでは、多くのスマートフォンユーザーが使うことになると思われる、ウィルコム、ソフトバンクモバイルについて、代表的な料金プランをパケット定額制を中心に紹介する。
■ ウィルコムでは、3,654円からデータ通信定額が可能
ウィルコムでスマートフォン向けの料金プランを選ぶには、スマートフォンの他にパソコンからデータ通信をするのか、回線速度はどれを選ぶのか、PHS間の通話が多いのか、の3つがポイントになるだろう。Advanced/W-ZERO3[es]を例に代表的な料金プランとして、以下の4種類を挙げてみた(さらにユニバーサルサービス料7.35円が必要)。
・つなぎ放題[4x]で9,765円
(年間契約割引時8,851円/A&B割時7,938円。3年以上ウィルコムと契約している場合は7,329円)
・つなぎ放題で6,090円
(年間契約割引時5,176円/A&B割時4,263円。3年以上ウィルコムと契約している場合は3,654円)
・ウィルコム定額プラン+リアルインターネットプラスで5,000円
([2x]が使い放題)
・ウィルコム定額プラン+データ定額では、データ通信10万パケットまでは月額3,950円、月額最大6,700円、パソコン利用時月額最大9,200円
通常のつなぎ放題[4x]は4xパケット通信方式で、通信速度は最大128kbps。つなぎ放題、リアルインターネットプラスは2xパケット方式で、通信速度は最大64kbps。W-OAM対応のW-SIMを対応エリアで利用すると、4xパケット方式では最大204kbpsで、2xパケット方式では最大102kbpsでそれぞれ利用できる。
より高額な「つなぎ放題[PRO]」は、Advanced/W-ZERO3[es]が8xパケット方式に対応していないので、上記の候補に入れていない。ネット25(5,670円。年間契約割引時4,819円。25時間まで使い放題。超過時10.5円/60秒)はパソコン用のデータ通信カードでは魅力的なコースだが、ウイルコムのEメールや公式サイトの利用は定額対象外。ウイルコムのEメールの利用が少なければ、検討する価値はあるだろう。
もっとも、つなぎ放題コースの場合、PHS間の音声通話定額は無いので注意が必要だ。つなぎ放題の場合は、年間契約割引に加えてブロードバンドインターネット接続を利用していればA&B割が使え、基本料金がさらに15%引きになる。通話料金も、つなぎ放題の場合、近距離の固定電話宛の料金は、同一区域内なら10.5円/70秒、隣接区域でも10.5円/60秒と、ウィルコム定額プランの固定電話宛通話料(10.5円/30秒)より安価に設定されている。
ウィルコムなどのPHSへ電話をかける機会の多いユーザーは、各種割引は受けられないが、ウィルコム定額プラン+リアルインターネットプラスがいいということになるだろう。
■ ソフトバンクモバイル、定額は7,245円から
ソフトバンクモバイルの場合、スマートフォン向けの定額料金プランは2つの候補が挙げられる。
・ブループランのSSプランバリュー1,890円(ただし自分割引MAX50で945円。1,050円分の無料通話付き)+パケット定額Biz(5,985円)+S!ベーシックパック(月額315円。メールやWebブラウズに必要)+ユニバーサルサービス料7.35円で合計7,252円
・ホワイトプラン+パケットし放題で11,641円(ホワイトプラン1,029円+パケットし放題1,029円~10,290円+S!ベーシックパック315円+ユニバーサルサービス料7.35円)
ソフトバンクのスマートフォンはW-CDMA対応の3G端末となっており、通信速度は通常のW-CDMA対応エリアで下り最大384kbps。また、3Gハイスピードに対応するX01HT、X02HT、X01Tの対応エリアでの通信速度は、下り最大1.8Mbps。
パケット定額Bizが使えるのは、ブループランのみで、その最低料金コースであるSSプランバリューを利用し、S!ベーシックパックに加入すると、合計で7,245円となる(無料通話1,050円分あり)。
パケットし放題は、SoftBank X シリーズで利用すると上限額が10,290円となり、通常の3G端末よりも高い上限額に設定される。1パケットは0.084円で、12万2,500パケットで上限に達するので、例えばWebブラウズを日常的に利用するユーザーは上限まで達すると考えておいた方がいいだろう。
ホワイトプランでパケットし放題を利用する場合は、ホワイトプランの無料通話などのサービスが使いたいユーザーや、Webブラウズは無線LAN環境でメインに使い、メールの利用も少ないといったユーザー向けになるのではないだろうか。
ただし、いずれの場合でも、パソコンのモデムとしてデータ通信を利用した場合は、通常は定額の対象外となるので注意が必要だ。
なお、次回はソフトバンク「X01T」のレビューをお届けする。
■ URL
ウィルコム 料金プラン案内ページ
http://www.willcom-inc.com/ja/plan/
ソフトバンクモバイル ぱけっとし放題(PCサイトダイレクトの場合)
http://mb.softbank.jp/mb/price_plan/X/packet/
(山田道夫)
2008/02/20 13:48
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