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法林岳之の速報レビュー
コイツはただのポケットボードじゃない!

さらに完成度を高めた正統派メール端末

 8月1日、関東甲信越エリアでNTTドコモのメール端末「ポケットボードパレ」の発売が開始された。若い女性を中心に高い人気を集めた名機「ポケットボード」の正統派後継モデルであり、従来モデルの「ポケットボード ピュア」から約1年4カ月ぶりのモデルチェンジということになる。早速、実機を入手することができたので、試用レポートをお送りしよう。


■初代モデルからの系譜

ポケットボードパレ
 NTTドコモ『ポケットボードパレ』。1万2800円、167(W)×86(D)×17(H)mm、約146g(単4乾電池2本を含む)。

 NTTドコモのポケットボードと言えば、メール端末の元祖的な存在だ。1997年12月に発売された初代モデルは、10円メールに対応し、携帯電話と接続するためのケーブルを内蔵したり、オンラインサインアップ機能を標準搭載するなど、現在の多くのメール端末の基本形とも言えるスタイルを確立していた。発売直後こそ、なかなか認知されなかったものの、1998年春から開始されたテレビCMなどで一気に知名度を上げ、一時は量販店などで品切れを起こすほどのヒット商品に成長した。特に、若い女性に高い人気を獲得し、メールブームの火付け役的な存在にもなった。

 昨年4月には、完成度を高めた後継モデル「ポケットボード ピュア」が登場し、その後、「ミッキーマウス」「ハローキティ」「くまのプーさん」などのキャラクターモデルも発売された。しかし、わかりやすいメニュー構成と使いやすさは初代モデルから一貫しており、現在でもエントリー向けメール端末として安定した人気を保っている。


歴代ポケットボード3台
 歴代ポケットボード3台。初代ポケットボード(奥)、ポケットボード ピュア(真ん中)、ポケットボードパレ(手前)。

 今回発売された「ポケットボードパレ」は、初代ポケットボード、ポケットボード ピュアの流れをくむ正統派後継モデルだ。同じNTTドコモからは「ポケットボードプラス」「ブラウザボード」「ポケットポストペット」なども販売されているが、根本的に別の思想で作られており、どちらかと言えば、バリエーションモデルという位置付けだ。今回のポケットボードパレは、実際に使ってみると、従来モデルの良さを継承しながら、新しい機能を取り込み、現在の市場のニーズにマッチしたメール端末として仕上げられているという印象だ。



さらに薄くなったボディ

 ポケットボードパレを手にしてみると、まず最初に驚かされるのがその薄さだ。初代ポケットボードからポケットボード ピュアになったときもスリム化が図られたが、ポケットボードパレはさらに薄くなっている。ちなみに、ポケットボードパレの「パレ(Palet)」は絵を描くときに利用するパレットではなく、フランス語の「平べったい石」という意味から来ているそうだ。ポケットボードパレでは、この薄さを実現するため、単4乾電池2本を液晶ディスプレイとキーボードの接合部分に工夫して格納している。

 ボディカラーはブルー・ブラックとオレンジ・ピンクの2種類がラインアップされている。初代ポケットボードから続いていた伝統のブルーはラインアップされていない。どちらかと言えば、オレンジ・ピンクが女性向け、ブルー・ブラックが男性向けということのようだが、ブルー・ブラックの方は表面部分にポケットボードパレの基板のイラストがうっすらと刷り込んであるなどの工夫が見られる。オレンジ・ピンクの方も黄色とピンクのパーツを組み合わせたのではなく、一体で成形しているようで、仕上げはなかなかきれいだ。

とにかく薄い ブルー・ブラックのボディ
 ボディは非常に薄い。男性なら、スーツの内ポケットに入れておくことも十分可能。強度は確保しているそうだが、尻ポケットは避けた方が賢明かも。  基板のイラストが刷り込まれたブルー・ブラックのボディ。これはなかなかカッコいい。


 液晶ディスプレイはモノクロ反射型を採用している。従来モデルはメール作成画面で全角25文字×5行しか表示できなかったが、今回は液晶ディスプレイが大型化されたため、メール作成画面で全角25文字×8行表示が可能になっている。液晶ディスプレイのパネル部分の反射は少なく、視認性は良好だ。起動メニューは従来モデルのようなキャラクターがなくなったが、起動メニューに利用する絵をポケットボードパレ上で編集できるようになっている。

メニュー画面 イラストをカスタマイズ
 起動時のメニュー画面。従来モデルから一新されたが、基本コンセプトは同じ。メニューのイラストは編集可能。  起動メニューのイラストは自分で作成してカスタマイズすることが可能。作成したイラストはポケットボードパレ同士で交換もできる。

キーボード
 筆者も高く評価するキーボード。キートップは小さいが、QWERTY配列で、記号なども極力省略しない設計だ。

 キーボード側は従来モデル同様、携帯電話との接続ケーブルが格納されており、簡単に取り出せるようになっている。キーボードはキートップが従来モデルよりも若干、小さくなった印象がある。しかし、キー配列は秀逸だ。QWERTY配列なのは言うまでもないが、記号類なども基本的にパソコンなどと同じように入力できるのだ。

 他の多くのメール端末が「メール端末は初心者向きだから……」とキー配列をおざなりにしているのに対し、ポケットボードは初代モデル、ポケットボード ピュア、ポケットボードパレと、3機種とも最も普及しているパソコン用の日本語キーボードに準拠したキー配列を採用している。特に、記号類などを同じように入力でき、後退キーや戻るキーがBackSpaceキーやESCキーと同じ位置にあるのは、パソコンに慣れ親しんだユーザーにとって、うれしい点だ。実は、筆者が初代モデル、ポケットボード ピュアを現在でも高く評価しているのはこの部分でもある。


■幅広いメール環境もサポート

メールの設定画面
 メールの設定画面。「DreaMail-ぱけっと」「10円メール」はオンラインサインアップが可能。moperaPOPメールもクイックスタートのメニューを用意している。

 機能面を見てみよう。まず、データ通信機能だが、一般的な9.6kbps回線交換接続とDoPaを利用した9.6/28.8kbpsパケット通信に対応している。

 メールについては、従来モデルでは両方ともマスターネット(現在はゼロに改名)とNTTドコモが提供する10円メールのみに対応していた。ところが、その後に発売されたポケットボードプラスではインターネットメール対応、ポケットモペラでは208/209/30xシリーズのDoPa(パケット通信)にも対応と、ポケットボードはやや取り残された感があった。そこで、今回のポケットボードパレでは10円メールに加え、インターネットメールにも対応し、さらにドリームネットが新たに提供する「DreaMail-ぱけっと」(通称:どりぱ)にも対応させている。

 DreaMail-ぱけっとについては、すでにニュースでもお伝えしているが、パケット通信料のみで利用できるメールサービスで、フリーダイヤルのアクセスポイントに9.6kbpsパケット通信で接続する。通信料は契約しているDoPaの料金プランに関わらず、1パケットあたり0.2円で課金されるため、短いメールであれば、リーズナブルに利用できるのが特長だ。

 ちょっと乱暴な表現かもしれないが、同様に通話料込みで利用できる10円メールのパケット通信版といったところだろうか。入会金も月額基本料金も掛からないというのは、メール初心者にとってもうれしいところだろう。

 このDreaMail-ぱけっとのサポートにより、ポケットボードパレは幅広いメール環境をサポートしたことになる。たとえば、ポケットボードユーザーは10円メールが移行でき、パソコンユーザーは普段利用しているインターネットメールを設定できる。50xシリーズや207シリーズ以前のNTTドコモの携帯電話のユーザーで、プロバイダに未加入であれば、moperaPOPメールなどが利用でき、208/209/30xシリーズのユーザーならDreaMail-ぱけっとなども選択できるというわけだ。

 ちなみに、これらのメールの設定はメニュー内でできるが、10円メールとDreaMail-ぱけっとについてはオンラインサインアップツールを提供し、moperaPOPメールについてはクイックスタートメニューを用意している。

メール作成画面
 液晶ディスプレイは大型化され、メール作成画面で全角25文字×8行表示が可能。右下には字数も表示される。

 また、インターネットメールの対応については、単にPOP3/SMTPによるメールの送受信をサポートするだけでなく、ソフトウェア圧縮の有無、認証プロトコル(PAP/CHAP/スクリプト)、最大受信サイズ、送信後受信、送信前POP認証など、細かい部分も設定できるようにしている。

 メール機能の使い勝手も改良されている。たとえば、宛先は「To:」「Cc:」「Bcc:」をサポートし、最大20人まで同時に送信することが可能だ。電源が入ってない状態でも「ワンタッチメール」キーを押すだけで、自動的にメールを送受信することもできる。アドレス帳は最大100件まで登録できるが、グループに分けて管理することも可能だ。ただ、従来モデルでサポートされていたポケットベルへのメッセージ送信機能、ショートメール送信機能はなくなっている。


コイツはただのポケットボードじゃない!

 ポケットボードが切り開いたメール端末の市場は、今やすべての携帯電話・PHS事業者がメール端末を発売するところまで拡大した。最近では単にメールができるだけでなく、Webブラウザによるホームページ閲覧、カメラ機能の搭載、着信メロディの編集、ポストペットのようなキラーアプリケーションの搭載といったように、プラスアルファの機能の搭載へメール端末のトレンドも移行しつつある。

 そんな中に登場した「ポケットボードパレ」は、ポケットボードの正統派後継モデルということもあり、どうしても「初心者向けのメール端末」と捉えられがちだ。しかし、実際に使ってみると「メール端末に求められる基本機能」を再認識させられた感が強い。他のメール端末のような派手さはないが、「メールをやり取りする」という部分の使い勝手を考え、幅広いユーザーのニーズに応えられるように設計されている。すでにインターネットメールを頻繁に利用しているユーザーでも十分実用になるレベルだ。「コイツはただのポケットボードじゃない」というのは、歴代のポケットボードをはじめ、数々のメール端末を触ってきた筆者の偽らざる感想だ。

 細かい部分で言えば、不満がないわけではない。たとえば、メール受信時に必要なメールだけを全文受信できる選択受信機能、携帯電話のメモリダイヤルのバックアップ機能などは欲しいところだ。また、メールについてはiモードメールとの連携やパソコンとの連携/転送機能なども考慮しても良かったのではないだろうか。

 最後に、いつものように「買い」の診断をしてみよう。まず、これからメールをはじめるユーザーについては、従来モデル同様、安心しておすすめできる。DreaMail-ぱけっとにしろ、10円メールにしろ、moperaPOPメールにしろ、確実に使うことができるはずだ。価格的にも安いので、プレゼントするというのもいいだろう。

 次に、筆者のように、すでにインターネットメールを利用しているユーザーだが、1日に何百通もメールが来るユーザーはともかく、1日に数通から10通程度のユーザーなら、問題なく使えるはずだ。動作も軽快なので、ストレスなく使うことができるだろう。特に、ブルー・ブラックのモデルは男性が持っても違和感がないので、重たいノートパソコンを持ち歩くのはやめて、軽装の夏場はポケットボードパレでモバイルというのもいいのではないだろうか。



URL
  「ポケットボードパレ」ニュースリリース(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/new/contents/00/whatnew0719.html
  「ポケットボードパレ」商品情報(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/mobile/lineup/poke-pale/
  「DreaMail-ぱけっと」ニュースリリース(ドリームネット)
  http://www.dreamnet.ne.jp/info/news/other/news_34.html


(法林岳之)
2000/04/01 10:59

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