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清水理史の「ザウルス MI-E1」レビュー
第2回:通信機能編

 前回、基本的な機能を中心に新型ザウルスMI-E1のレポートをお届けしたが、今回は通信機能に絞って、その魅力を探っていく。MI-E1のウリのひとつでもあるP-in Comp@ctを利用したインターネット接続の使い心地、内蔵されるブラウザやメールソフトの出来をチェックしていこう。


携帯電話のメールからPDAへ

シャープ ザウルス MI-E1
 インターネットに接続して、メールの送受信をしたり、Webサイトをブラウズする。これらは、もはやPDAには欠かせない機能のひとつと言える。

 現在、PDAを必要とするユーザー層は、パソコンで管理しているデータ(主にスケジュールやアドレス帳)を外出先でも参照したいという電子手帳的な使い方をしたいユーザーと、外出先でもメールの送受信をしたいというメール端末的に使いたいユーザーの2つに大別できるだろう。現状では、このうち後者のニーズが大きくなってきていると思われる。これらのユーザーは、携帯電話のメール機能に限界を感じてPDAに移行したり、携帯電話からいわゆるメール端末を経てPDAに移行しつつある。

 今回の新型ザウルスMI-E1は、このようなユーザーのニーズをよく捉えた製品となっている。もともとザウルスは、本体にモデムを内蔵したり、オプションとして携帯電話やPHS用の接続ケーブルを用意するなど、通信機能には積極的なアプローチを見せるPDAであったが、MI-E1ではこの機能がさらに進化している。


P-in Comp@ctを使ったスマート通信

 MI-E1には、本体の左側面に「エンターテイメントスロット」と呼ばれるSD/MMCスロットと、本体上部に「インターネットスロット」と呼ばれるCF TypeIIスロットの2つの拡張スロットが用意されているが、これのうち注目したいのがインターネットスロットだ。このスロットは、従来のCF TypeIからCF TypeII対応に変更されており、フラッシュメモリ以外に各種周辺機器を拡張することが可能となっている。つまり、MI-E1では、このスロットにNTT DoCoMoのP-in Comp@ctを接続して、64KbpsでのPIAFS通信ができることになる。

 このP-in Comp@ctによる通信方法は実にスマートだ。もちろんMI-E1は、携帯電話を使った通信にも対応しているのだが、この場合は、オプションのケーブルで、携帯電話と本体下部のオプションポート16を接続しなければならない。この手順は、実際には非常に面倒で、外出先の戸外などでは、ケーブルをバックから取り出す手間のために、「あとで戻ってからにしよう」となる場合も多い。しかし、P-in Comp@ctであればカードを挿すだけで通信が可能となる。これなら周りを気にせず通信することができる。

 もし、頻繁に通信を行なうのであれば、P-in Comp@ctをスロットに挿しっぱなしにしておいてもかまわない。このような使い方をすれば、あたかもザウルス本体に通信機能が内蔵されているかのように利用でき、いつでもどこでもインターネットに接続できるようになる。ちなみに、前述したようにMI-E1には2つの拡張スロットが用意されているため、P-in Comp@ctでインターネットスロットが埋まっていてもメモリの心配はない。エンターテイメントスロットにSDカードを挿しておけば、こちらでメモリを拡張可能だ。

 しかも、MI-E1には、P-in Comp@ctの動作モード(公衆、HA、OS)を切り替えたり、省電力のためにP-in Comp@ctのLEDをOFFにしておくためのユーティリティやインデックス画面に電波状況を表示する機能が標準で備えられている。ユーザーによっては、すでに所有している携帯電話とは別にPHSを契約するということに抵抗を感じるかもしれないが、MI-E1の機能を最大限に活かすためにはP-in Comp@ctの利用をおすすめしたい。


P-in Comp@ctの動作モードを変更するためのユーティリティ。PHSの子機登録が可能なTAなどがあれば、OAモードなどでも利用可能
P-in Comp@ctの電波状況はインデックス画面右下に表示される。表示は定期的に更新されるため、バッテリ動作時は消費電力が気になる

 ただし、このようなP-in Comp@ctとMI-E1の組み合わせにも弱点はある。MI-E1はバッテリの問題で、P-in Comp@ct利用時の連続通信時間が最大約2時間と短い。よって、メールチェック程度であれば問題ないものの、長時間Webサイトをブラウジングするという用途には向かない。また、MI-E1はインデックス画面に電波状況を表示するために定期的にP-in Comp@ctにアクセスするため、挿しているだけでも意外と電力を消費してしまう。次回のレポートでも触れる予定だが、このようなバッテリ問題は、MI-E1のウィークポイントのひとつと言える。それが、ここでも露呈したと言えるだろう。


パソコン並みに高機能な内蔵メールソフトとブラウザ

 MI-E1では、内蔵のメールソフトやブラウザも大幅な機能強化を受けており、パソコン並の高機能に進化している。まず、メールソフトだが、ここで注目したいのは「タイマー受信」、「メールの分類」、「お知らせメール」などの機能だ。


タイマー受信を設定すると、指定した時刻または一定時間おきにメールチェックを自動実行できる
 タイマー受信は、一定時間ごとに自動的にメールを受信するための機能だ。時刻指定と一定間隔の2種類の指定が可能となっており、時刻指定では指定した時間に、一定間隔では1~60分おきに自動的にメールを受信することができる。

 この機能は、MI-E1の本体電源がOFFでも機能するようになっており、指定した時間になると自動的にインターネットに接続し(P-in Comp@ctや携帯電話は接続されている必要がある)、メールサーバーからメールを受信する。そして、メールが届いていればビープ音と本体上部のLEDでメールが届いていることを知らせてくれる。これなら、外出先にいても大切なメールを見逃してしまうことがないだろう。

 次のメールの分類だが、これはパソコンのメールソフトでサポートされているメールの振り分け機能のことだ。送信者やタイトルなどで条件を設定しておくと、その条件に合うメールをMI-E1の情報ファイルに分類することができる。ただし、パソコンのメールソフトとはイメージが多少異なる。パソコンのメールソフトでは振り分けされたメールが各フォルダに移動されるが、MI-E1の場合、分類を設定しても受信メールの一覧には受信したすべてのメールが表示される。これは、MI-E1のメールソフトが標準では、一覧に全メールを表示する設定となっているからだ。

 では、どのようにして分類されたメールのみを見るのかというと、受信メールの一覧画面の一番上にある「メール」メニューをドロップダウンし、情報ファイルの名前を指定する。これで、設定した条件にあったメールだけが表示されるようになる。つまり、どちらかと言えば条件に合ったメールを抽出するというイメージに近い。このあたりは、賛否両論があるところだが、一日に数十通というメールを受信するユーザーにとってはありがたい機能と言えるだろう。


アドレスやタイトル、本文などをキーに受信したメールを分類可能。分類したメールは情報ファイルに格納される
分類を設定しても、標準では受信したすべてのメールが一覧表示される。分類したメールだけを見たいときはメニューから情報ファイルを選択する

 最後のお知らせメールは、メール送信時に同時に相手携帯電話にもメッセージを送る機能だ。この機能をONにして、メールを送信すると、同時に相手が所有している携帯電話にメール本文のタイトルと「メールを送りました」という内容の定型メッセージのメールを自動的に送信できる。急いで見て欲しいメールを送った場合、メールを送信した後に電話でメールを見てくださいと連絡するという話をよく聞くが、これを電話ではなく携帯電話のメールで送る機能となる。

 これ以外にもMI-E1では、PDAには欠かせない選択受信/選択受信、受信したメールをサーバーに残す設定、配達証明付きメールの送信やPOP Befor SMTPなどにも対応しており、非常に多機能となっている。このような機能は、PDAをビューワと考えるならば不要とも言えるが、MI-E1をメインに使うようなユーザーには必要と言える。このあたりは、ザウルスが自己完結型のPDAと言われる良い証だろう。


お知らせメールを設定すると、メールの送信と同時に携帯電話のメールアドレスにお知らせを送信可能。ただし、事前にアドレス帳に携帯電話のメールアドレスを登録しておく必要がある
メール機能では、様々なオプションを設定可能。サインの自動入力、配達証明付き送信、サーバーのメールを残す設定、POP before SMTPの設定などが可能

 一方、ブラウザはSSL 128bit、java 1.1サブセット、Cookieに対応しており、フレーム表示のページやアニメーションGIFの表示もできるという本格的な仕様となる。これ以外にも表示したページをライブラリとして保存し、後からオフラインで参照したり、良く訪れるページのURLをマークページに記録しておくことが可能となっており、非常に多機能だ。また、変わった機能としては、時刻を指定して特定のページをライブラリに保存しておいたり、IDとパスワードの入力が必要なページ用にIDとパスワードの一覧を保存しておくためのID入力ボードなども用意される。


ライブラリにWebページを保存すれば、後からオフラインで閲覧できる
よく訪れるWebページのURLはマークしておくことができる。カテゴリごとに分類して整理することも可能。

時間を指定して、指定したWebページをライブラリに保存できる録画機能。この機能を利用すれば、通信にかかる時間や費用、消費電力を節約できる
IDボードを使えば、IDやパスワードの入力が必要なWebページでも入力の手間を省くことができる

 ただし、他の内蔵アプリケーションが縦型表示に統一されているのに対して、ブラウザは横型表示の画面となる(フォトメモリーも横型表示)。これは、横型表示の方がWebページをより見やすく表示できるからだ。このため、ブラウザでWebページを見るときは、これまで縦型でホールドしていたMI-E1本体を横向きに持ち変える必要がある。

 また、ブラウザでも入力方式で「タイプライター」を選択すれば、Webベースの掲示板やチャットなどの書き込みの際にキーボードを利用することができる。しかしながら、前述したように画面は横型表示となるため、キーボードでの入力は非常に困難だ。画面の見やすさという点に於いては、ブラウザが横型表示であるメリットは大きいが、このようなシーンでは縦型表示ができたら良いのにと感じさせられた。


SSTによるコンテンツの充実

 このように、非常に多機能な通信機能を持ち、手軽にインターネットを楽しむことができるMI-E1だが、インターネットという点においては、シャープスペースタウン(Sharp Space Town、以下SST)の存在も忘れてはならない。

 シャープでは、ザウルス向けのインターネット接続サービス、およびコンテンツとして、SSTの積極的な展開をしており、ザウルスの最新情報やイベント情報の提供、メールマガジンの発行、掲示板などのコミュニティの開催などを行っている。また、MOREソフト、ザウルス文庫や電子まんが、MI-E1のムービープレーヤで再生可能な映画の予告編などのダウンロードも可能となっており、購入後もザウルスを楽しむための場がきちんと提供されている。

 ザウルス文庫などでは、紙のメディアに先行して、ブレアウィッチ2のサブシナリオを提供するなど、画期的な試みも行われている。現状、このような電子書籍市場が健全かつ比較的順調に育っているのはSSTのみだけに今後の発展が期待されるところだ。


SSTで先行配信されるブレアウィッチ2のサブシナリオ。映画の予告編などもダウンロードできる
ダウンロードしたサブシナリオは、文庫ビューワで読むことができる。文字の大きさや行間などの調整も可能で、かなり読みやすい

 このようにハードウェアに連動して、コンテンツサービスを提供するというのは、最近ではソニーもCLIE向けに行なってはいるが、他のPDAに先駆けてシャープがザウルス向けに開始した試みであり、内容の充実からみても他を引き離している。MI-EIのインターネット機能に関しては、ハードウェア、ソフトウェア、コンテンツと、どの点を取っても他を圧倒する優秀さと言えるだろう。




URL
  ザウルスMI-E1ニュースリリース
  http://www.sharp.co.jp/sc/gaiyou/news/001121-1.html
  ザウルスMI-E1製品情報
  http://www.ezaurus.com/


(清水理史)
2000/12/20 00:00

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