メールやインターネットアクセス、カメラとさまざまな機能が搭載されてきた携帯電話。プライベートで役立つ機能に注目が集まる中、ビジネスシーンでも期待できそうな機能が揃いつつある。その1つが、WordやExcelといった、いわゆるオフィス文書(オフィスドキュメント)の閲覧機能だ。
その一方で、名称が異なったり、閲覧できるファイルなどに違いがあり、「自分の携帯電話では、どの程度のことまでできるのか?」という疑問があるかもしれない。サードパーティによるアプリや各種サービスを利用してもオフィス文書を閲覧できるが、今回は、キャリアが用意したサービス、あるいは端末にプリセットされている機能を中心に、その内容をチェックしてみよう。
■ ドコモはPDF標準対応、SHシリーズはオフィス文書対応
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902iシリーズではPDF閲覧機能が用意されている
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NTTドコモの端末では、FOMA 901iS/902iシリーズでPDF閲覧機能が標準搭載されている。これらの端末であれば、どれでもPDFファイルを閲覧できるため、端末購入時に悩むポイントにはならないだろう。しかし、901iSシリーズと比べると、これまで登場している902iシリーズのほうが、拡大縮小やスクロールなど、より快適に操作できるという印象だ。
ドコモのPDF閲覧機能では、iモードサイトからPDFファイルをダウンロードして閲覧することもできる。個人ユーザー向けに電子書籍風、あるいは待受画像を収録したコンテンツも登場している。
一方、iモード端末で受信するメールでは、PDFファイルが添付されていても削除される。従ってビジネスメールに添付されているデータを見るためには、ファイル添付に対応したWebメールサービスを利用することになるだろう。もちろん外部メモリカードに保存されているPDFファイルの閲覧もできるが、ファイルを収録するフォルダ名に注意しておきたい。また、P902iでは日本語名称のPDFファイルは認識されず、英数字名称のファイルでは閲覧できるなど、機種によって気を付けたいポイントもある。
シャープ製端末では、SH902iなどに、英ピクセルテクノロジーズ製の「ドキュメントビューア」が搭載されており、WordやExcel、PowerPointなどのファイルを閲覧できる。編集はできないが、拡大縮小など一連の操作はスムーズに行なえるようになっており、外出先で急いでファイルを閲覧したい場合は役立つ機能の1つ。SH902i/SH901iSなどではAV出力機能も用意されているので、携帯電話と専用ケーブルを持てばプロジェクターに出力して、プレゼンテーションもできるだろう。
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P902iでPDFファイルを閲覧したところ。拡大縮小できる
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PDF閲覧時には、数字キーに機能が割り当てられている
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PDF閲覧時のサブメニュー
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SH902iでWord文書を見たところ
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こちらはExcelファイル
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これはPowerPoint
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■ URL
NTTドコモ PDF対応ビューア
http://www.nttdocomo.co.jp/service/imode/content/pdf.html
■ au、「EZドキュメントビューアー」でメール添付文書も
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PCドキュメントビューアーを搭載するW31CA
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BREW対応のWIN端末で利用できる「EZドキュメントビューアー」
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au端末で、プリセットされているオフィス文書閲覧機能と言えば、英ピクセルテクノロジーズの技術を用いた「PCドキュメントビューアー」だ。既にW31CAやW32Hといった機種に搭載されており、オフィス文書やPDFファイル、HTMLファイルなどの閲覧が可能だ。
メモリカードから本体メモリにコピーして参照できるほか、メールに添付されたファイルの閲覧も可能となっている。ただしメーラーから利用する場合は、メール機能を終了して、別のメニューからオフィス文書を呼び出す形になる。
また、12月からは、「EZドキュメントビューアー」の提供が開始された。対応機種が制限される「PCドキュメントビューアー」と異なり、BREW対応のCDMA 1X WIN端末全てで利用できるという点が大きな特徴だ。
ただし、その使い勝手はPCドキュメントビューアーと異なっている。仕組みとしては、専用サーバーでオフィス文書をSVGT形式に変換することになるため、メールに添付されてきたファイルは、一度専用サーバーに転送することになる。また、複数ページある文書の場合は、1ページずつダウンロードするようになっている。
「PCドキュメントビューアー」は、端末にプリセットされているため、ランニングコストは不要だが、「EZドキュメントビューアー」では利用料として月額105円必要という点も注意しておきたいところ。ちなみにファイルの保存先は、「PCドキュメントビューアー」では端末内に、「EZドキュメントビューアー」では専用サーバー内になる。
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EZドキュメントビューアー利用の流れ
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■ URL
au EZドキュメントビューアー
http://www.au.kddi.com/ezweb/service/document_viewer/
■ ボーダフォン、シャープが変換ソフト提供、702NKIIは専用機能搭載
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オフィス文書の閲覧機能を備える702NKII
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ボーダフォン端末では、XMDF形式の電子書籍に対応している機種が登場しているが、「オフィス文書閲覧機能」を搭載するのは近日登場予定の「702NKII」だ。
その使い勝手は、まだ登場していない機種のため、詳細は明らかにされていないが、ボーダフォンの製品情報ページでは「パソコン向けメールアドレス対応のメールクライアントを搭載しており、WordやExcelなどの添付ファイルも読める」とされている。
ちなみに「703SH」などのシャープ製端末向けには、「PCドキュメント変換ユーティリティ」が無償配布されている。Windows 2000/XP搭載のパソコンで利用でき、Word、Excel、PowerPoint、PDFの各種ファイルをSVGT形式に変換し、外部メモリカードに保存しておけば、携帯電話上で閲覧できる。外部メモリカードへの転送方法として、同じくシャープから転送ソフトが提供されているが、903SHではユーティリティーソフトウェアを、902SHではPCリンクユーティリティソフトを、V604SHではSDカードステージを使う。機種によって異なるソフトウェアになるため、機種変更した後などは、確認の上で利用していきたい。
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シャープの「PCドキュメント変換ユーティリティ」をインストールすると、Wordなどの印刷時にSVGT形式へ変換できるようになる
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■ URL
ボーダフォン 702NKII 製品情報
http://www.vodafone.jp/japanese/products/model_3G/v702nk2/
シャープ PCドキュメント変換ユーティリティ
http://k-tai.sharp.co.jp/download/tools/pcdc/
■ ウィルコム、新機種でオフィス文書閲覧可能に
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WX310シリーズではオフィス文書の閲覧が可能だ
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ラインナップを拡充しつつあるウィルコムでは、音声端末のWXシリーズのうち、WX310K、WX310SA、WX310Jでオフィス文書閲覧機能がサポートされている。
WX310Kでは、英ピクセルテクノロジーズ製のビューアーをダウンロードすることでWordなどのファイルを閲覧できる。またWX310SA、WX310Jもオフィス文書、PDFの閲覧に対応している。ただし、これらのうちWX310Kのオフィス文書閲覧機能は、ライセンスキーの取得が必要となっており、その価格は945円と有償になっている点は注意しておきたいところだ。
また、14日発売のW-ZERO3も、Windows Mobile搭載とあって、閲覧だけではなく、編集も可能だ。
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W-ZERO3でExcelファイルを見たところ。もちろん編集も可能だ
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■ URL
ウィルコム WXシリーズ案内
http://www.willcom-inc.com/ja/lineup/new/
ウィルコム W-ZERO3商品情報
http://www.willcom-inc.com/ja/lineup/ws/003sh/
■ まとめ
プライベートでは画像や動画を見ることはあっても、オフィス文書を必要とする機会はあまり多くないだろう。そのためか、ビジネスシーンで携帯を使う場合、メールや通話が中心となり、オフィス文書の閲覧機能は、やや見落とされがちかもしれない。
しかし、業務では刻一刻と状況が変化し、急な対応を求められることも多々ある。そんなとき、オフィス文書閲覧機能はビジネス層にとって役立つ機能の1つになり得る。
現状を見渡すと、どのキャリアであっても、それなりにオフィス文書の閲覧は可能となっており、「利便性が増してきた」と言える一方で、ファイルサイズの上限や操作性、利用の流れなどは機種によって異なる部分も見受けられる。新しい携帯電話を購入する際には、カメラやオーディオ機能だけではなく、オフィス文書の閲覧機能にも注意するように心掛けたい。
(関口 聖)
2005/12/13 17:17
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