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【海外ケータイレポート】
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ケータイ王国・北欧編
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北欧と言えば、フィンランドに“端末”のノキア、スウェーデンに“インフラ”のエリクソンと携帯電話界の両巨頭が存在する。また北欧各国は世界でも屈指のIT先進国であり、携帯電話の普及率も世界でトップクラスと言われる。今回、北欧に1カ月ほど滞在し、その間、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、ノルウェーの北欧4カ国で見た携帯電話事情を紹介しよう。
■ 北欧のケータイショップ事情
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携帯電話事業者である3(Three)のショップ
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家具やインテリアなど、北欧はプロダクトデザインで名を馳せているが、現地の携帯電話ショップは、店内の色彩など好感が持てる雰囲気。販売されている端末もノキアやソニー・エリクソンなど日本とはひと味異なるデザインの端末だが、国によって取り扱われているメーカーが異なるようだ。スウェーデン、ノルウェー、デンマークではノキア、ソニー・エリクソン、シーメンスに加えて、サムソン、LGの韓国勢。しかしフィンランドだけはノキアのお膝元ということもあってか、ノキア製端末ばかりを扱うショップを非常に多く見かけた。このほか、フィンランドのケータイショップでは携帯電話だけではなく、ノキア製デジタルカメラやデジタル放送受信機などが販売されていた。
このほか、アクセサリー類としては、ノキア端末用の着せ替えカバーやヘッドセットがほとんど。ちなみにヘッドセットだけでもさまざまな種類が用意されており、高いニーズがあることを窺わせる。実際、道端でヘッドセットを利用して電話している人はかなり見かけた。日本では、ヘッドセットによる通話が一般的ではないため、一見して独り言を喋っているようで、なんとも奇妙に感じてしまった。
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デンマークの携帯電話ショップ
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こちらはスウェーデンの携帯ショップ
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スウェーデンのボーダフォンショップ
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これもスウェーデンのボーダフォンショップ
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こちらは携帯電話用のオプションを取り扱っているショップ
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ノルウェーの携帯ショップではADSL製品も
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■ 北欧各国の変わったコンテンツサービス
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SMSは高い人気を得ているサービスだ
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多くの人々が携帯電話を利用している北欧だが、テレビ番組内で携帯を使ったサービスをよく見かけた。たとえばSMSで投票したり、番組画面下部に読者の感想が表示されるといったサービスはよくあるが、もっとも興味深かったのが、フィンランドでのSMSを用いたチャット番組だ。その内容は、チャットの参加者が番組の枠内である2時間、延々とチャットして、その画面が放映されるというもの。つまりSMSでメッセージを投げ、それがひたすら画面に反映されるだけなのだ。新聞で番組案内を見たところ、同様の番組はほかにもあって、各番組によってテーマが異なるようだ。チャットルームの画面が、1チャンネルの数時間を独占しているのだから驚きだ。地元の方々に「その番組ってどう?」と聞いてみると「テレビの画面は大きいし、多くのユーザーでテレビを共有するのがアドバンテージなんだ」との答えが返ってきた。
北欧発の携帯向けゲームとしてユニークなものを紹介しよう。それは、スウェーデンのIt's Alive Mobile Games社の「BotFighters」というゲーム。携帯電話のネットワークを利用したオンライン対戦ゲームで、プレイヤー同士が現実世界で一定距離以上に近づくと、突然そのプレイヤー間で戦闘が始まる。現在北欧を中心に提供されており、高い人気を誇るという。同ゲームでは、最高で1週間に1億通のSMSが送信され、現在では、新バージョンである「BotFighters2」が登場している。
■ 北欧のケータイ使用法
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コンビニの入口。ケータイの使用は禁止
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日本では、携帯から電話をかける人々を場所を問わずよく見かける。電車の中では、通話する人は少ないだろうが、ゲームやメール、Webブラウジングをする人が座席一列に並んでいるという風景は日常的だ。しかし、北欧の人々にとっては実に奇妙な風景として捉えられると思われる。交通機関の中、あるいは市街地において携帯電話を操作している人はさほど多く見かけない。
普及率が高い北欧各国でも、日本ほど頻繁に携帯電話を取り出すことはないようだが、普段、携帯電話ユーザーを見かけない理由としては、モラル面もあるようだ。店内や車内では、ほとんどの場所で携帯電話の利用が禁止されており、たとえば電車内には利用禁止を示したマークが貼られている。もしどうしても電話をかけたいときは、店内や近距離電車であれば外に出ることになり、フィンランドの特急電車「Intercity2」のような長距離列車の車両であれば、携帯電話をかけるための小さなブースがある。もっとも実際かけている人は見かけなかったが。
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デンマークでの電車内。携帯の使用禁止を示した案内が掲示されている
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同じくデンマークでの電車内。これは携帯電話を使用しても良い場所
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では、この地域で携帯電話の普及率を高めた理由は一体何だろうか。1つには、先進的かつハイテクな製品に対して意欲的に取り入れようとする傾向があるようだ。また、「他人が持つから自分も」という国民性もあるのかもしれない。携帯電話が通話機能やSMSなどコミュニケーションだけに活用されているのではなく、政府の電子サービスやネットバンキングなどが利用できるようになっているという点でも、利便性が高いモノに対して積極的な人々にとって受け入れやすかったと言えるだろう。
しかし、人が多く集まる場所での利用頻度が低い一方で、全般的に見れば携帯電話に対して積極的というのはなんだかアンバランスな気もする。この点について、現地の人々と話していて、心理面でのキーワードとして指摘されたのは“距離感”だ。北欧は人口密度が低く、人と人との距離感を縮めるために携帯電話を常に持ち、それでコミュニケーションをとるのだという。普段過ごすのは、住宅地など静かな環境であり、繁華街といった人が密集する場所では、「あえて電話をかけるなんて人が多すぎて気分が悪い」のだそうだ。日本を見れば、都市部を中心に携帯電話を使うのは、とにかく人が密集している場所だからこそ、他人との距離感を保つために必要とされている部分があるように思える。もしそうであれば、日本と北欧では、携帯に対する発想がまさに正反対と言えるだろう。
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フィンランド・ノキア本社
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スウェーデン・エリクソン本社
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■ URL
ノキア(英文)
http://www.nokia.com/
エリクソン(英文)
http://www.ericsson.com/
(山谷 剛史)
2004/11/10 11:24
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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