携帯電話メモリ管理ソフトレビュー第3回目は、SSIトリスターの「携帯万能10」だ。「携帯万能10」は、メモリダイヤル、メール、スケジュールなどのバックアップができるだけでなく、着メロや壁紙などの編集・作成も可能。同梱されているUSBケーブルを利用して携帯電話をモデムとして利用できたり、よく使う言葉を辞書に登録(もちろんIMEやATOKで登録したユーザー辞書もインポートできる)できたりするなど豊富な機能が満載されたソフトだ。
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●動作環境
OS:Windows98/98SE/Me/2000 Professional/XP
CPU:Pentium 166MHz相当以上
メモリ:64MB以上
ハードディスク:空き容量70MB以上(FAT32の場合)
必須:USBポート
●対応機種
「携帯万能10」製品情報ページから検索可能 |
■ インストールと起動
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CD-ROMをドライブに入れると起動するセットアップランチャー。インストールしたい内容を選択すればあとはウィザードに従っていくだけというカンタンなもの。USBケーブルはドライバーをインストールしてからパソコンに挿す
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添付のCD-ROMをドライブに入れると自動的にセットアップランチャーが起動する。アプリケーションのインストールだけでなく、携帯電話とパソコンを接続するUSBケーブルのドライバなどのインストールもここから行なえる。インストールしたい内容を選択すれば、あとはウィザードに従っていくだけでいいので問題が起きることはないだろう。
インストールが完了するとデスクトップに「携帯万能10」というショートカットアイコンができる。これをダブルクリックして「携帯万能10」を起動する。
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起動すると表われる万能ランチャー。4種類のデザインが用意されている
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「携帯電話の設定」ウィザード。ケーブルの種類を間違えなければ、自動的に携帯電話が認識される。認識されなかった場合でも、手動で認識させることが可能だ。FOMAにも対応している。
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起動するのは万能ランチャー。ここから利用したい機能のアイコンをクリックして各機能を起動する。このランチャーは、4種類準備されているので自分の使いやすいランチャーを利用するといいだろう。
起動してまず最初にすべきことは、現在利用している携帯電話の設定だ。USBケーブルを利用して携帯電話とパソコンを接続し、「携帯電話の設定」を機動。自動的に機種が選択されるので、問題が起きることはないだろう。
「携帯万能10」は、新しい携帯電話が発売されたときや、ソフトに何か問題が見つかったときなど、年間を通して何回かアップデートされている。メーカーのWebサイトを参照して、アップデートを心がけよう。
■ 「万能メモリダイヤル」でメモリダイヤルを管理
電話番号やメールアドレス、住所などを管理できるのが「万能メモリダイヤル」だ。名前、フリガナ、グループ、10の電話番号、10のメールアドレス、住所、シークレット、メモなどを管理することができる。血液型や誕生日、星座、似顔絵などの管理もできるので、メインの住所録として利用することも可能だ。ただし、機種によって全てに対応しているわけではないので注意してほしい。
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「万能メモリダイヤル」の画面。ここで携帯電話のメモリを読み込んだり、携帯電話に書き込んだりすることができる。複数の電話帳を1つにまとめたり(携帯電話に入っているメモリとOutlookのアドレス帳をまとめたり、2台の携帯電話のメモリをまとめたりできる)、Jフォンのメールアドレスをボーダフォンのメールアドレスに変更したりすることもできる
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1つの項目をダブルクリックすると開く画面。ここで住所やメールアドレスなどを登録できる。自分の持っている携帯電話で、対応していない設定項目は赤色で表示されるのでわかりやすい
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このように似顔絵を作成する機能もある
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「万能メモリダイヤル」は、Outlook、Outlook Express、筆まめ、筆王、携快電話、ケータイエディ、CSV形式のファイルなどからインポートできる。また、Outlook、Outlook Express、CSV形式などにエクスポートすることも可能。Yahoo!のアドレス帳へのインポートやエクスポートにも対応しているのでけっこう便利である。
■ メールの管理は「万能メール」で
携帯電話で送受信したメールをパソコンに読み込んで管理できるのが「万能メール」だ。単に管理できるだけでなく、パソコンでメールを入力し、それを携帯電話に書き込んだり、直接インターネットを利用して送信したりすることができるので大変便利だ。ただし、ツーカー端末には対応していないので注意が必要だ。
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携帯電話で受信したメールを読み込んだ画面
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メールをダブルクリックすることで、そのメールの詳細を見ることができる
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iモードの絵文字も入力できる
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顔文字もカンタンに入力可能だ
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テキスト文字を利用して地図を作成することもできる
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■ パソコンの受信メールやスケジュールを転送できる「万能リモート転送」
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パソコンに常駐させておき、設定した時間が来ると自動的に携帯電話に送信してくれる。
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パソコンで受信したメールや、Outlookに登録したスケジュールあるいは会議データをインターネットを利用して携帯電話に転送できるのが「万能リモート転送」だ。この機能を使うためには、パソコンを常時起動しておかないといけないが、設定した時間になると、自動的に携帯電話に転送してくれるので、外出が多い場合には大変便利だ。
ただし、この機能を使う場合は、送信メールサーバー(SMTPサーバー)が必要になる。自分の利用している送信メールサーバーが、送信時認証を必要としている場合には利用できないので注意が必要だ。最近では、各プロバイダの送信サーバーは、ほとんどが送信前に認証が必要なことが多い。筆者の契約しているいくつかのプロバイダもすべて認証が必要だった。せっかくの機能なのに利用できないことが多いようでちょっと残念である。
■ URLの管理は「万能ブックマーク」で
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「万能ブックマーク」の画面。めんどうなURLの入力がキーボードでできるのが大変便利だ
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ブックマークを管理できるのが「万能ブックマーク」だ。ホームページの名称やURLなどが管理できる。携帯電話に登録したブックマークを読み込んで管理できるだけでなく、パソコン側で登録したものを携帯電話に書き込むことが可能。また、パソコンのInternet Explorerのお気に入りを読み込んだり、携帯電話のブックマークをInternet Explorerに書き出したりすることもできる。
■ スケジュールの管理は「万能スケジュール」で
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「万能スケジュール」の一覧画面。これをメインのスケジュールとして利用すること可能だが、仕事の管理などには対応していないので、通常のスケジュールソフトなどと比較すると物足りないだろう
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パソコンで作成したスケジュールを携帯電話に書き込んだり、携帯電話で登録したスケジュールをパソコンに読み込んで登録したり、編集したりできるのが「万能スケジュール」だ。もちろんOutlookで作成したスケジュールをインポートすることもできる。
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スケジュールの編集画面。1つ1つのスケジュールはウィンドウを開いて新規登録したり編集したりする
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使用している携帯電話で対応していない設定項目は赤色で表示されるのでわかりやすい
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■ 画像の作成・加工ができる「万能画像編集」
自分で作成したイラストやデジタルカメラで撮影した写真などを編集できるのが「万能画像編集」だ。もちろん携帯電話から画像を読み込んだり、携帯電話に画像を書き込んだりできる。加工や編集もリサイズしたり、トリミングしたり、減色したりできる……というだけでなく、フォトレタッチソフトと同等のことが可能。携帯電話と直接やり取りできるフォトレタッチソフトと思ってもらえばいいだろう。
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デジタルカメラで撮影した写真を取り込んでリサイズ。明るさやコントラストの調整もしてみた
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ハートのスタンプと文字を入力してD505iに書き込んでみた。フレームをつけたりすることも可能だ
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複数(2枚~5枚)の写真を利用してiアニメを作成することもできる
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■ 「万能着信メロディ」で着メロの作成と管理
携帯電話の着信メロディをパソコンで作成したり、携帯電話で作成した着信メロディをパソコンに読み込んだりできるのが「万能着信メロディ」だ。携帯電話でダウンロードした(購入した)著作権のある着信メロディや着うたなどを取り込むことはできないので注意してほしい。また、機種によってはダイレクトにやり取りできず、インターネットを経由して送信しないといけないものがある。
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楽器などを選択してスコアを入力していく。マウスで入力できるのが便利だ
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こういった着信メロディ作成機能で面倒なのが伴奏などの入力。作曲や編曲の経験がある人なら、それほど困難ではないだろうが、そうでない人にとってはきわめて難しいはず。そんなときに便利なのが「自動伴奏」機能だ
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■ 携帯電話のデータを管理できる「万能データファイラ」
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「万能データファイラ」。マイコンピュータやエクスプローラと同じような操作方法が可能。携帯電話にデータを送りたいときには、横に表示された携帯電話にドラッグ&ドロップするだけでいい。操作は簡単だ
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携帯電話のデータをパソコンに読み込んだり、パソコンのデータを携帯電話に書き込んだりできるのが「万能データファイラ」だ。前述した「万能画像編集」や「万能着信メロディ」などを使ってもデータのやり取りができるが、この「万能データファイラ」はさまざまなデータを一括してやり取りすることが可能なので、バックアップなどは、こちらを利用する方が便利だ。
この「万能データファイラ」で取り扱えるデータは以下の通りだ。
画像 |
bmp、jpeg、gif |
着信メロディ |
mld(Mfiフォーマット209/502以前は3和音/4和音、503以降は16和音/24和音)
mid
mmf(smafフォーマット 4和音/16和音)
pmd(CMXフォーマット 4和音/16和音)
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独自フォーマット (読込のみ) |
qcp着信ボイスのファイル
kjx、vcf、vcs、amc、txt
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注意してほしいのは、携帯電話の仕様などにより読み込み、書き込みができない場合があるということ。また、著作権保護情報がついた画像や着信メロディは読み込むことができない。
■ ホームページが作れる「万能ホームページ」
携帯電話用のホームページが作成できるのが「万能ホームページ」だ。ひな形(テンプレート)が準備されているので、必要事項を設定・入力していくだけでカンタンに作成することができる。掲示板を作ることも可能だ。ユーザー登録することで、専用サーバーが利用できるようになり、そのサーバーにアップロードできる。ただし、細かく加工したり、自分の借りているサーバーにアップしたりすることはできない。
ちなみに、テスト的に携帯電話用のホームページを立ち上げてみた。iモード、EZweb、ボーダフォン、各携帯電話で見ることが可能だ。
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HTMLなどの知識がなくてもカンタンに携帯電話用のホームページが作成できる。融通はきかないが、友人とコミュニケーションする場合など、ちょっとした利用なら便利だ。
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作成したページを携帯から閲覧
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■ 「万能iアプリ」でオリジナル画像を用いたiアプリを作成
準備されている4種類のiアプリ(「モグポン」「あみだ」「スライダー」「コンベア」)の壁紙やキャラクターを自分の好みのものに変更して、オリジナルのiアプリを作成することができるのが「万能iアプリ」だ。パソコン上で作成して、サーバーにアップロードして、それを携帯電話でダウンロードして使用できる。なお、サーバーにアップロードするためには、ユーザー登録しておく必要がある。
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語句と読みと品詞を登録する。対応していない機能は赤色で表示される。今回テストで使ったドコモのD505iは、品詞の登録に対応していなかったので品詞の部分が赤色で表示されていた。
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よく使う語句が携帯電話の辞書になかった場合、1文字1文字入力するとか、ユーザー辞書に登録して利用しているのが一般的だろう。しかし、ユーザー辞書に登録するのは結構面倒だ。この「万能ワードレジスタ」を利用すれば、パソコン上で辞書登録してから、それを携帯電話に登録したり、携帯電話に登録してある辞書をパソコンに読み込んで管理したりすることが可能だ。単に登録できるだけでなく、パソコンで利用している日本語変換ソフトのユーザー辞書を読み込むことも可能。文字入力しづらい携帯電話だけに、よく使う言葉を賢く登録していくことで、より入力しやすい携帯電話になること間違いなし。かなり便利な機能である。
ただし、この「万能ワードワードレジスタ」は、NTTドコモのFOMA端末やボーダフォン端末、au端末、ツーカー端末には対応しておらず、利用できる機種が限られているので注意が必要だ。
■ 写真の管理はおまかせ「蔵衛門10デジブック 携帯万能Edition」
「蔵衛門10デジブック 携帯万能Edition」は、携帯万能の機能ではなくパッケージ付属のソフトウェアだ。携帯電話で撮影した写真だけでなく、デジタルカメラで撮影した写真などをアルバム感覚で整理することができる。
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「蔵衛門10デジブック携帯万能Edition」
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アルバムと同じような感覚で写真が管理できる
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カレンダーのように印刷も
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さまざまなテンプレートが用意されているので、ビジネスにプライベートに役立つこと間違いなしだ
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■ 実際に使ってみて
携帯万能10は、機能が豊富で使いやすいのが魅力のソフトだ。その中でも筆者が使ってみて便利だと思ったのは「万能ワードレジスタ」。筆者は仕事がら携帯電話をいろいろ変えるのだが、そのたびに携帯電話のユーザー辞書に登録するっていうのが不便だった。特に自分の名字(木地本)が一発で変換できないのがめんどくさいのだ。それらがパソコンで登録できるっていうのにはちょっと感激。ただし、本文でも書いたが「万能ワードレジスタ」に対応している端末が少ないのが残念。
このほかでは「万能ホームページ」も便利な機能。携帯電話用のホームページって、iモード用、ボーダフォンライブ!用、EZweb用……と、それぞれ別々に作らないといけないというのが不便なところ。この「万能ホームページ」を利用すれば、カンタンに対応ページを自動作成してくれるのだ。高度なことはできないが、ちょっとしたコミュニケーション用のサイトなら手軽に作成できる。知識がなくっても作成できるっていうのがかなりいい。
また、筆者がハマったのが「万能着信メロディ」。最近では着メロなど安く購入できるので自分で作るという人は少ないと思うが、この「万能着信メロディ」を使えば、メロディラインだけを入力すればあとは自動的に伴奏をつけてくれる。しかもいろいろなパターンから選べる。本稿を執筆中にこの機能にハマってしまい、いろいろ作成していて締め切りに遅れそうになってしまった。筆者としてはこの機能をオススメしたい。本当に楽しいよ。
そして、付属している「蔵衛門10デジブック携帯万能Edition」。アルバムソフトとして人気の高い「蔵衛門」が無償でついているという点にありがたみを感じるユーザーも多いはずだ。
メモリダイヤル、メールなどを管理するソフトとして考えると、基本的なところをきっちり押さえた使いやすいソフトだ。しかも、ユーティリティなどまで考えるとかなりリーズナブルなソフトと言える。
■ URL
製品情報
http://www.ssitristar.com/bannou/
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木地本 昌弥 大阪在住のライター。“効率”とか“便利”とかをキーポイントにした内容の執筆が好きだし得意。パソコン、携帯、PDA関連だけでなく、家電製品、熱帯魚、家具など……多ジャンルで執筆中。モノを選ぶ基準はすべて鳥肌が立つかどうかの“鳥肌度”で判断。映画が好き。カレーが好き。モノが好き。ホームページはこちら。 |
(木地本昌弥)
2003/11/06 13:42
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