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ユーザーにあわせて配信、LINEがニュース機能拡充

 LINEは、ニュース配信に関する機能を拡充する。今回は5つの新たな取り組みが発表され、3月から順次、導入される。

パーソナライズしたニュースを配信

 3月中に利用できるようになるのは、パーソナライズ配信機能の「FOR YOU」。ユーザーのLINE、LINEの関連サービスの利用履歴から自動的に属性、関心軸を推定して、個人に最適化した記事を推薦する。LINE NEWSのトップページに表示される。

 「FOR YOU」向けに利用する個人情報としては、LINE関連アプリやスタンプの利用動向、あるいはニュースメディアのアカウントのフォロー状況といったあたりを参考にする。「FOR YOU」が導入されれば、実際にどういう記事を読んだのか、という点も参照し、独自の推計エンジンで算出する。一方、電話番号やメールアドレス、アドレス帳、トークなどは含まれず、個人を識別することもない。また個人を識別できる情報を広告主など第三者へ提供することもない。

 推定される属性や関心軸は明らかにされていない。ただ、年齢や性別といったものではなく、あるキーワードにマッチするかどうかなど、何万通りもの組み合わせが生成できるようなものになる。

タイムラインにニュース枠、「友だち限定記事」や満足度分析など

 4月1日からは、タイムライン機能の最上部に、LINE NEWSと「LINEアカウントメディアプラットフォーム」参加メディアのニュースを常に表示するニュース枠が新設される。当初は全ユーザーに同じニュースが配信され、2016年上半期中には、「FOU YOU」機能と連動し、パーソナライズした配信を行なう。タイムラインのニュース枠には常に3件、記事が掲出される。

 4月からは、「友だち限定記事」機能が導入される。これは「LINEアカウントメディアプラットフォーム」参加企業のアカウントを「友だち」として登録することで、記事を閲覧できるというもの。メディアにとっては、「FOU YOU」と連動することで、メディアの個性・特性にあったユーザーに向けて記事を配信でき、集客に繋げられる。

友だち限定記事で集客
地方紙などが新たに参画

 このほかメディア向け機能として「ニュースエンゲージメントランク」が2016年上半期中に導入される。ユーザーの満足度を測定するという機能で、6月に導入予定のマネタイズでも満足度に応じた可変分配レートの導入が検討される。算定の方法は独自とされ、詳細は明らかにされていないが、記事ページの滞在時間や接触回数などを踏まえることになるという。

ニュースエンゲージメントランク
収益の分配レートにも

LINEのニュース機能は「エンゲージメントが高い」

 ソーシャルサービスにおけるニュース配信は、TwitterやFacebookではもはやお馴染みの機能。各メディアがアカウントを作成して、読者からフォローされ、ニュースを配信すれば拡散していく、という流れが一般的だ。またSmartnewsのように、複数のメディアをひとつのアプリで読めるサービスも広まっている。

世代別のランキング

 一方、メッセージのやり取りをするLINEでは、以前よりLINE NEWSというニュース配信サービス/アプリを提供してきたが、さらに昨年12月、新聞社や雑誌などのメディアが公式アカウントを用意してニュースを配信する仕組みを導入した(※関連記事)。LINEアカウントメディアプラットフォームと呼ばれるこの仕組みは、普段、ダイジェストニュースを配信しておき、見出しをクリックするとより詳しい記事に切り替わる。

LINEの島村氏

 LINE株式会社の上級執行役員でメディア担当の島村武志氏は、ユーザーの意識調査から、ネット上でニュースに触れる場合、圧倒的にヤフーの認知度や利用度が高いものの、徐々にLINEのポジションが高まっており、特にスマホネイティブな10代ではヤフーを凌駕し、トップに立ったことをアピールする。また「LINEアカウントメディアプラットフォーム」のユーザーに対するアンケートを実施したところ、ユーザーの71%が女性、29%が男性と、LINEでのニュース利用者は女性のほうが多いことが明らかにされた。

女性ユーザーが多い

 若年層、そして女性にリーチするLINEのニュース機能を、TwitterやFacebookと比べれば、どういった違いがあるのか。島村氏は自社メディアを例にして「LINEのニュースはアカウントをフォローしてもらうため購読者に届けて見て終わりとなり、ダイジェストニュースへの誘導率は100%以下になる。一方、TwitterやFacebookはソーシャルで拡散するためユニークユーザーは増える」と解説。その一方で、再訪数(一度メディアにアクセスしたユーザーが再びアクセスする回数)は、LINEアカウントメディアプラットフォームのほうが、Twitter/Facebookの数倍、という結果になっている。たとえば、ライブドアニュースの場合、誘導率(ユニークブラウザ/ダイジェスト閲覧数)は95%だが、再訪数(セッション/ユニークブラウザ)は10.59だ。これがTwitter経由だと、誘導率716%、再訪数2.29、Facebook経由の誘導率は1050%、再訪数は1.93となる。

 ここで島村氏は「エンゲージメントが今日のキーワード」として、LINEの場合はメディアと読者の繋がり(エンゲージメント)をかなり高い形で維持し続けられる、とアピール。12月の発表時の段階で確信していたが、それが裏付けられた、と自信をにじませた。

LINEではエンゲージメントの強さ、高さをアピール

 今回発表されたLINEアカウントメディアプラットフォームに関する新たな取り組みは、読者とメディアのマッチングを強化するためのものと位置付けられる。エンゲージメントの高さがもたらす新たな可能性のひとつとして、島村氏は「友だち限定記事」が課金型モデルに繋がる可能性を指摘している。

 17日の記者説明会では、LINEアカウントメディアプラットフォームでニュースを配信する朝日新聞社、オリコンNewS、講談社(現代ビジネス)の担当者が出席。朝や夜など、ニュースをまとめて配信するLINEアカウントメディアプラットフォームでは、記事単位ではなくパッケージとして提供できる点が新しく、ユーザーからの反応がダイレクトに得られるなど、LINEならではの特徴が紹介された。

関口 聖