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シャープ、3年後にはMEMSディスプレイのスマホが登場するかもしれない
(2014/9/12 17:35)
シャープは、米クアルコムの子会社ピクトロニクスと共同で開発を進めているMEMS-IGZOディスプレイにおいて、量産化の目処がついたとして説明会を開催した。将来的に量産化を検討しているのは車載用や、スマートフォン、タブレット用のディスプレイ。シャープが示したロードマップによると、2016年には、スマートフォンやタブレット向けディスプレイのサンプルを出荷、2017年に製品化される見込み。
MEMSの共同開発においては、シャープがIGZO-TFT技術とディスプレイ製造技術、クアルコム子会社のピクトロニクスがシャッターの基礎技術をそれぞれ担当している。
MEMSディスプレイは、消費電力を抑えながら高色再現を実現する液晶ディスプレイ。MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)は、基板上にメカニカル機構のシャッターとスリット、RGBバックライトを搭載した立体構造からなる。シャッターの動きによりバックライトの光を通したり、遮断したりを繰り返しながら、電力のオン/オフを制御することで、大幅な省電力を可能にするというしくみ。
省電力に寄与する要素のひとつに、表示コンテンツに応じた低消費電力性能を備えている点がある。たとえば、カラーで広色域なコンテンツを表示する際は、MEMSのシャッタースピードを速くし、テキストなどグレースケールのコンテンツを表示する際には、シャッタースピードを遅くする、といった工夫がなされ無駄をなくし、最適化を図っている。
また、優れた耐環境性能も大きな特徴。たとえばスマートフォンで、日中の太陽光の強い野外では“ディスプレイが暗くて見えない”といった場面がある。高コントラストで鮮やかに表示できるMEMSディスプレイでは外光下でも高コントラストで鮮やかな表示が可能になる。雪山など寒い場所や、砂漠のような暑い場所など、苛酷な環境下でもディスプレイの表示性能を保つことができる。
発表会に登壇した、シャープ代表取締役専務執行役員の方志教和氏は、「ディスプレイ開発はこれまで高精細を追ってきたが、人間の目には限界がある。一方で低消費電力化のニーズは続いているため、高精細の競争よりもインタラクティブ性能にシフトして取り組んできた」と、MEMS技術の取り組みについて説明した。
クアルコム上級副社長グレッグ・ハインジンガー氏は、「インターフェイスの主要な部分かつ、電力消費に最も影響があるのがディスプレイ。さまざまな場所に持ち出すモバイル端末であれば、耐環境性能のニーズも高い。MEMSをひとつのエコシステムとして提供したい」とコメント。モバイル業界の成長におけるMEMSの重要性を語った。
シャープは2017年の製品化に向け、各メーカーとの協業や歩留まりを向上するなど量産技術を向上するとともに、MEMSディスプレイのさらなる高性能化を図る方針。