法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

MVNO市場の拡大を狙うLINEモバイルの思惑

 メッセージングサービスを軸に、さまざまなサービスを展開するLINE。9月5日に、かねてから予告していたMVNOサービス「LINEモバイル」を発表し、サービスを開始した。

 MVNOサービスとしては後発ながら、LINEというブランド力を活用。「カウントフリー」という方式を採用し、ユーザーに少ない負担でコミュニケーションを楽しんでもらおうという考えだ。10月1日に予定されていた正式サービスも前倒しでスタートしたLINEモバイルだが、LINEモバイルの喜戸氏、LINEの舛田氏のコメントも交えながら、そのポテンシャルについて、考えてみよう。

シンプルなデザインのLINEモバイルのパッケージ

スマホ時代の定番サービスのひとつ

 モバイル業界において、それぞれの時代に定番的な存在になる製品やサービスがある。ケータイ時代で言えば、iモードやカメラ付きケータイがその代表格だが、スマートフォン時代ではどうだろうか。

 端末ではiPhoneが国内シェアの半数近くを獲得する一方、サービスなどに目を向けると、Twitter、Facebook、LINEなどの各社のSNSが定番サービスとして定着している。これらのSNSはサービスによって、ユーザー層やニーズが異なるとされており、なかでもLINEは若い世代の友だちや家族を中心としたコミュニケーションツールとして、広く支持されている。

「LINE CONFERENCE TOKYO 2016」にて、LINEモバイルを発表する升田氏

 そんなLINEが今年3月の事業戦略発表イベント「LINE CONFERENCE TOKYO 2016」において、サービス提供を明らかにしたのがMVNOサービスの「LINEモバイル」だ。

 ここ数年、着実に市場が形成されてきたMVNOにおいて、LINEというビッグネームがサービスを提供するということで、サービス提供を明らかにした3月以降、各方面ではかなり注目を集めたようだ。特に、当初の発表で明らかにされた「月額500円でLINEが使い放題」というセールスポイントはさまざまなメディアで取り上げられ、「格安スマホの決定打になるのでは?」といった扱われ方もされていた。

 現に、筆者もいくつかのメディアからコメントを求められたが、その段階ではサービス内容などが明確ではなかったため、「現時点では何とも言えないが、サービスの内容次第では大きなインパクトを持つかもしれない」と答えるに留めていた。ただ、特定のMVNOについて、これほどまでに取り上げられたり、コメントを求められたことは過去にあまり例がなく、あらためてLINEの持つブランド力とネームバリューを実感させられたというのが当時の率直な印象だった。

想定通りのスタートとなったLINEモバイル

 そして、いよいよ9月5日、「LINEモバイル」の発表会が開催され、正式にサービスの内容が発表された。発表内容については、すでに本誌の記事でも取り上げられているので、詳細はそちらをご参照いただきたいが、9月5日の発表直後から2万契約限定で先行販売を開始し、10月1日から正式サービスを開始すると発表された。

 発表から約1週間後、LINEモバイルの代表取締役の嘉戸彩乃氏、LINEの取締役CSMO(最高戦略・マーケティング責任者)の舛田淳氏に話をうかがったところ、当初の反響には十分な手応えを感じ、予想していたとおりの順調なスタートを切ることができたという。

 予想と違ったことはなかったのかと聞いてみたところ、「問い合わせもたくさんいただいていますが、違うと思ったのは、これまでMVNOを使っていない人たちにも知られていることですね」(嘉戸氏)とのことだ。

 具体的なユーザー層については明言を避けたが、LINEモバイルが契約者と利用者を区分していることもあり、20~30代の女性ユーザーが6歳の子どもに持たせるために契約するようなケースをはじめ、「自分の親用に購入した」というユーザーもいたという。

お話をうかがったLINEモバイル 代表取締役の嘉戸彩乃氏(真ん中)、LINE 取締役CSMO(最高戦略・マーケティング責任者)の舛田淳氏(右)、LINEモバイル モバイル企画運営室の大熊一郎氏(左)

 実は、サービス発表時、LINEモバイルの特徴のひとつである「カウントフリー」(後述)というアプローチを評価し、リテラシーの高いユーザーが殺到するのではないかという危惧も抱いていたが、必ずしもそういうことではなく、かなり幅広い層にアプローチできているという手応えを感じているそうだ。

 また、2万契約限定をいつ頃、達成できるかという見込みについては、「我々も事前にいろいろ調査をしたが、他社の例を見ると、当初は数千契約のレベルが一般的。そういうレベルではない手応えを得ている」(嘉戸氏)、「加えて、LINEモバイルは自社ユーザー向けの告知した程度で、まだ蛇口を開いた状態とは言えない。それにも関わらず、初速としてはいい手応えを得られている」(舛田氏)と話し、2万契約達成に自信を見せていた。

 ところが、この取材後、LINEモバイルは10月1日開始の予定を前倒しして、9月21日から「本格販売」をスタートしている(※関連記事)。2万契約達成を受けて、本格販売を開始したのか、相応の手応えがあったからこそ、前倒しをしたのかはわからないが、いずれにせよ、好調なすべり出しを印象づける動きと言えそうだ。

スマートフォンをまだ持たない人にどう届けるのか

 LINEモバイル発表時のプレゼンテーションでは、国内のモバイル市場において、スマートフォンの普及率は56.9%で、十分に普及しているとは言えない状況と説明。LINEモバイルは“まだスマートフォンを持っていない人たち”にアプローチしていきたい、という説明が行なわれた。

 その一方で、発表直後から強力なプロモーションをかけているわけでもなく、他のMVNOのように店舗を展開したり、端末ラインナップで独自性を打ち出したりしているわけでもない。比較的、フラットに構えている印象だ。

 このスタンスでスマートフォンを持っていない人たちに対し、本当にアプローチしていくことができるのだろうか。特に、現在スマートフォンを持っていないユーザー、つまり、「フィーチャーフォンで十分」と考えているユーザーには、何か仕掛けをつくらないとアプローチできない、というのが大多数の見方だ。

 この点について、嘉戸氏は「今、フィーチャーフォンのみを使っている方は、そもそもスマートフォンを使うきっかけがなく、自ら使おうという気持ちが持てないので、フィーチャーフォンをお使いなんだと思います。ところが、20代、30代のユーザーが家族で写真を共有するとき、その親の世代(シニア世代)のユーザーはグループチャットに入れないといったことが起きます。

 こうした状況に対し、親の世代にも渡せるような使いやすいものが出てきたという空気感を作っていくことが重要だと思います。LINEモバイルにまだ販売チャネルがないことをご心配する声を耳にしていますが、そもそも空気感のないところで販売チャネルを作っても振り向いていただけないだろうと考えています」と話している。

 確かに、シニア世代以上のスマートフォンデビューについては、20代や30代の実働世代のユーザーが親に孫の写真を見せたいなどの理由から、フィーチャーフォンから移行させたというケースはよく耳にする。その意味において、コミュニケーションツールの定番であり、すでに6000万のユーザーを持つLINEは、自らの強みを活かすことができそうだ。

 また、舛田氏は「実はMVNOに限らず、すべてのサービスはこういう構造になっているんだと思います。どんなにテレビCMをたくさん打とうが、量販店にコーナーをたくさん作ろうが、最終的にスイッチを入れるのは周囲の人の『これ、いいですよ』という一言なんです。

 私たちはMVNOのサービスを始めるにあたり、まず最初はこうした声を発してくれる方たちに満足してもらうことが大事だと考えました。そして、その人たちから周囲に拡散するときに、手続きがしやすいようにリアルな環境(店舗など)を提供したり、少し背中を後押しするためにテレビCMを打つといったアプローチを取るべきだと考えています」と続けた。

 つまり、サービス開始と同時に一気に戦線を拡大するのではなく、まずは先行販売の2万契約限定のユーザーに対し、きちんとサービスをコミットする形で提供する。その上で少しずつユーザー層を広げていきたいという考えのようだ。

 ただし、LINEモバイルとして、スマートフォンを持っていない層だけを狙っているわけではなく、既存のLINEユーザーにも乗り換えてもらえるようにアプローチしていくという。

LINEモバイルが掲げる「カウントフリー」

 3月にLINEモバイル開始の方針が明らかになったときは、「月額500円でLINEが使い放題」というキーワードばかりがクローズアップされたが、9月5日の発表では「カウントフリー」という言葉を使い、LINEをはじめとする一部のアプリのデータ通信量を月間の容量制限の対象外にする(データ通信量として、カウントしない)ことで、ユーザーの通信費の負担を軽減するというコンセプトを打ち出した。

 このカウントフリーを利用した料金プランとして、LINEモバイルでは2つのプランを提示している。ひとつはLINEを中心としたサービスのデータ通信を無料にする「LINEフリー」、もうひとつがTwitterやFacebookなど、他のSNSアプリのデータ通信を無料にする「コミュニケーションフリー」だ。どちらのプランでも対象となるアプリやサービスのすべての機能のデータ通信が無料になるわけではなく、カウントフリーになる機能は限られている。

 LINEフリーであれば、テキストや写真、画像、LINE通話などを利用するトーク機能、タイムラインの閲覧や投稿、スタンプなどのコンテンツのダウンロードなどがカウントフリーの対象(データ通信が無料)になる。

 一方、ライブストリーミングの「LINE LIVE」やLINEが提供するゲームなど「LINE」以外のアプリ、トーク内のリンクからアクセスした外部のWebサイトなどはデータ通信量がカウントされ、契約したプランに応じて、契約したデータ通信量を消費する。

 コミュニケーションフリーも同様で、TwitterやFacebookのタイムラインやメッセージの送受信はカウントフリーの対象になるが、やはり、Twitterのライブストリーミング「Periscope」、Facebookのライブストリーミング「Facebook Live」などはデータ通信量がカウントされ、契約したプランのデータ通信量を消費する。

 こうした特定のアプリや機能の通信をデータ通信量にカウントしない手法は、すでにゲームの「ポケモンGO」やiOSの「AppStore」の利用を対象にFREETELなどが実現していたが、LINEモバイルは自らのLINEだけでなく、Twitter、Facebookという定番のSNSも対象にしたプランを提供してきたことで、かなり大きなインパクトを持つ。

 一方で、カウントフリーという手法は、「ネットワークの中立性」や「通信の秘密」などの観点から、好ましくないという指摘もある。

 実は、この部分に密接に関わってくるのが今回のLINEモバイルの発表会で開示された「MVNE」だ。現在、国内には数百社のMVNOが存在すると言われているが、実はこれらのMVNOはそのすべてがNTTドコモなどのMNOと直接、契約して、回線設備を借りているわけではない。「MVNE(Mobile Virtual Network Enabler)」は、MNOとMVNOの仲立ち役として、回線を借り受け、MVNO各社にサービスを提供している。

 MVNEは「仮想移動体通信サービス提供者」とも表現されるが、MNOとの交渉だけでなく、MVNO各社の課金システムの構築やアプリケーションプラットフォームの提供などの役割を担っている。

 これまで「格安SIM」「格安スマホ」として一般消費者向けサービスを提供するMVNO企業が、MVNEを明らかにしたケースは「DMM mobile」などごく一部を除いてほとんどなかったが、今回、LINEモバイルはMVNEとして、NTTドコモのネットワークの提供を受けたNTTコミュニケーションズと契約し、サービスを提供することが明らかにされた。

 MVNEを明らかにしたことについて、嘉戸氏に説明を求めたところ、「社内でもいろいろと議論をしたのですが、カウントフリーという技術を使うところに根ざしています。総務省とも議論をした結果、この技術を使うには“誰が”“何の情報を”“どのようにして”識別しているのかをユーザーのみなさんにお伝えしなければならないということになりました。

 その点で見ると、『誰が』という情報を出さざるをえないため、MVNEとして、NTTコミュニケーションズさんと契約していることを明らかにしたわけです」とコメントした。

 舛田氏も「カウントフリーのサービスは我々が直接、提供しているわけではなく、後ろ側を支えてくださっている会社さんを明らかにしないと、ユーザーのみなさんの同意は得られないという考えに基づています」と付け加えた。

 つまり、LINEモバイルが掲げる「カウントフリー」という技術は、NTTコミュニケーションズが提供している。そのため、識別に必要な情報についてはMVNEである同社も責任を持って管理し、なおかつそこで得た情報を他のサービスやマーケティングには利用できないという取り決めをしているという。このあたりの取り決めについては、有識者とも検討を重ね、法的な解釈なども踏まえたうえで、決めたそうだ。

「ネットワークの中立性」や「通信の秘密」は守られるのか

 ところで、ユーザーの視点から見れば、LINEなどの特定のアプリのデータ通信が無料になるのだから、歓迎したいところだが、前述のように、LINEモバイルの発表前後から「ネットワークの中立性」や「通信の秘密」の観点から、この取り組みは問題があるのではないかという指摘がある。

 ここで少し「ネットワークの中立性」と「通信の秘密」について、ごく簡単におさらいをしておこう。まず、「ネットワークの中立性」は、インターネットに接続されるユーザーやプロバイダー、企業などがやり取りされるデータ(トラフィック)は平等に扱われ、特定のデータを排除したり、優先したりすることは好ましくないという意味を持つ。

 一方、「通信の秘密」では、個人間などのやり取りの内容を通信事業者などが確認したり、第三者に漏らしたりすることを禁じている。日本国憲法に「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」という記述があり、電気通信事業法でも同様のことが定められている。

 いずれも本来はもっといろいろな解釈や意見があり、簡単に定義できないのだが、おおよそこのような意味合いのことを指していると考えていただきたい。

 この2つのルールを鑑みると、今回のLINEモバイルの「カウントフリー」という技術は、LINEやFacebook、Twitterという特定のアプリのデータのみを優遇(通信料を請求しない)することはネットワークの中立性に反するのではないか、カウントフリーでデータを判別するには通信の内容を把握しなければならないのではないかという指摘があるわけだ。

 ちなみに、ネットワークの中立性については、本誌連載の『ケータイ用語の基礎知識 第771回:ネットワーク中立性とは』でも詳しく解説されているので、興味のある人はそちらも参照していただきたい。

 こうした指摘に対し、LINEモバイルでは発表会当時から『ネットワークの中立性に関する当社の考え』と題した報道資料を開示している。

LINEモバイルの契約時には、カウントフリーに関する注意事項への同意が求められる

 今回の取材でも嘉戸氏は「カウントフリーの技術を利用したサービスを継続して提供するには、一定のガイドラインが必要になります。そのために、総務省におうかがいを立てたり、有識者と検討を重ねた結果、スタンスを明確にしていくことが大事だと考えています」と話し、今後もいろいろな議論が起きてくれば、そこにも積極的に関わり、消費者の視点に立ったカウントフリーのサービスを提供していきたいと考えているとした。

 今回、LINEモバイルがカウントフリーを掲げたことで、ネットワークの中立性や通信の秘密について、注目が集まっているが、ケータイ時代も各携帯電話会社のポータルサイトへのアクセスはパケット通信料がかからなかったり、特定のアプリケーションによる通信を遮断したケースなどもある。

 当然のことながら、スマートフォンを中心とした現在の環境においてもどのような形が好ましいかを議論していく必要がある。今後、MNOも含め、各社が同様のサービスを提供するのか、どのような議論が起きていくのかをじっくりと見守っていく必要があるだろう。

ユーザーの声を聞きながらチューニングしていきたい

 「カウントフリー」という明確なコンセプトでスタートしたLINEモバイルだが、その他の部分についてはどうだろうか。

 たとえば、端末についてはシャープや富士通といった国内メーカーをはじめ、ファーウェイやASUS、ZTEといったSIMフリーでおなじみのメーカーから人気端末をひと通り揃えた。

 LINEモバイルはMVNOサービスとして後発になるため、何か独占的に販売する端末などをラインナップに加えたり、オリジナルのホームアプリなどを搭載してくるのかと思いきや、予想以上にシンプルな品揃えで、内容も標準仕様のままラインナップされることになった。

 この点について、嘉戸氏は「たとえば、オリジナルのホームアプリを搭載した端末が必要なのかという議論もありましたけど、Webサービスを提供してきた会社なので、そこは少し違うのかな」と否定的な見方を示した。舛田氏も「今、スマートフォンがこれだけ完成されてきている中で、そこに挑戦する必要があるのかというと、そこに注力するよりは回線品質やサービス内容に充実させたいと考えました」と答えている。

 今後の端末ラインナップは、メーカーが提案した端末から検討する受け身の展開となるのかという問いに対して嘉戸氏は、「LINEのサービスの作り方と似ていると思うんです。LINEはお客様の声を聞きながら、チューニングしてきた部分があります。今回、端末を幅広く取り揃えたのは、まず、出してみて、お客様がどういうものを選ばれるのかをプランと選び方といっしょに見てみようと考えました。

 お客様の声を聞きながら、もし、何かエクスクルーシブ(独占的)なものが必要であれば、オリジナルのものも検討するでしょうし、必要なければ、やらないということになります。このあたりは柔軟に対応していきたいですね」と、将来的な端末ラインナップの展開に含みを残した。

 また、LINEモバイルがまだスマートフォンを持っていないユーザー層にアプローチするのであれば、シニア世代を中心に、注目を集めているAndroidベースのフィーチャーフォンなどもラインナップに加えても良さそうなものだが、舛田氏は以下のように答えている。

 「各社のAndroidフィーチャーフォンにはLINEが搭載されていて、あれを最終的に決めたのは私でして、デッドラインのギリギリまで悩んだんです。なぜ、悩んだのかというと、Androidベースではありますが、スマートフォンではないので、スマートフォン本来の素晴らしさを殺した中間地点の商品だと思うんです。

 通信事業者としては選択肢としてあり得るんでしょうけど、結果的にスマートフォンに移行することが遅れてしまうんじゃないかという危惧がありました。ただ、それはLINEとしての考え方で、最終的には『必要とするお客様はいるだろう』と判断して、アプリを提供させていただきましたが、今でも議論が分かれるところですね。LINEモバイルとしては通信事業者としての考えになるので、選択肢としてはあり得るということになりますが……」

今後、LINEが展開する「2.0」「3.0」に期待

 国内で提供されるMVNOサービスとしては、比較的、後発でのスタートになったLINEモバイル。今年はMVNOサービスも競争が激化し、事業の見直しを迫られている企業もあるが、LINEは元々、コミュニケーションサービスとしての圧倒的なブランド力があり、それをうまく活かした形で、LINEモバイルをスタートさせた印象だ。

 9月5日の発表会では、LINEモバイルの社長として登壇した嘉戸彩乃氏がこの業界には珍しい若い女性ということもあり、サービスとはまた別の部分でも各方面で話題になったが、今回、舛田氏と共にお話をうかがってみて、冷静に業界を分析しつつ、的確に事業計画を練ったうえで、サービスが発表されたという印象を得た。

 MVNOの中には存在感を示すために、サービス精神全開でアピールするような企業もあるが、LINEモバイルはLINEというサービスを育ててきた経験もあり、ユーザーとしっかりと向き合って、落ち着いてサービスを提供していこうという考えなのだろう。

 嘉戸氏からも舛田氏からくり返し聞かれた「お客様の声を聞きながら……」という言葉からもわかるように、LINEモバイルが今後、どのように育っていくのかは、ユーザーの反応が重要なカギを握っているようだ。

 発表会では今回の発表が「LINEモバイル1.0」であり、これから「2.0」「3.0」とバージョンアップしていきたいと語られていたが、今後、LINEモバイルがどのようにサービスを展開していくのかが非常に楽しみだ。