ケータイ用語の基礎知識
第661回:レイテンシー とは
(2014/5/20 10:55)
今回紹介する「レイテンシー」とは、携帯電話、あるいは通信関連において、端末から端末へデータが伝わるまでなど、通信時の遅れ、“遅延”を指す言葉です。通信回線の品質を示す指標の1つとしても扱われています。「隠れる」「潜在」を意味する英単語”latency”から来ています。
たとえば電話で会話をすると、普段は相手の声が遅れて感じることはないでしょう。しかし、実際にはわずかながら、通信系路上での遅れが生じています。つまり自分の声は、相手にやや遅れて聞こえているのです。この遅れは、経路上の通信機器の性能や混雑状況、途中経路となるネットワークの構成などによって変化します。
こうした品質を表現する際、レイテンシーは「低い/高い」と言い表されます。レイテンシーが低い、つまり遅延は小さければ小さいほど、通信品質は良い、ということになります。
携帯電話などの通信でのレイテンシーはミリ秒(ms)単位でよく表現されます。
高速・低レイテンシーのLTE
最近、スマートフォンの通信によく使われている「LTE方式」では、これまでのモバイル向け通信方式とくらべて、より高速であること、そして低レイテンシーであることが強みであるとされています。
3G(第3世代)の通信方式である「W-CDMA」では、レイテンシーに関して値は規定されていませんでしたが、LTEでは、標準化団体の「3GPP」によって、無線通信内のデータ転送にかかる片道のレイテンシーが5ms以下であることが定められています。
この低遅延を実現させている仕組みはどうなっているのか。モバイルのネットワークは、基地局~ゲートウェイまでの「無線アクセスネットワーク」と、各制御機器やユーザー情報を管理する機器などで構成される「コアネットワーク」に分けられます。LTEでは、「無線アクセスネットワーク」(RAN)を3Gよりもシンプルにした構成にする、そしてコアネットワークで経由する装置(ノード)を減らしています。これでレイテンシーを低くしています。
低レイテンシーを活かし、Webブラウジングや動画のストリーミングがより使いやすくなると言われ、最近では音声通話(VoLTE)での活用も進んでいます。特にVoLTEは、回線交換を使ったこれまでの携帯電話の通話を置き換えるものであり、、従来よりも高品質な音声通話を実現しており、通信事業者にとってそのインパクトは大きいと言えるでしょう。
携帯電話で通話する際、無線ネットワーク部分だけでなく、全体でのレイテンシーがその品質に影響します。このレイテンシーが、大きくなると、会話のテンポがずれてしまい、会話自体が困難となります。
ちなみに、電話の場合、通話にかかるトータルのレイテンシーによって、使用できる電話番号が異なっています。
- 0AB~J番号を使う、公衆電話と同等の品質:100ms以下
- 090/080番号を使う、携帯電話相当の品質:150ms秒以下
- 050番号を使う、IP電話相当の品質:400ms以下
となっています。