ケータイ用語の基礎知識
第615回:DTCP+ とは
(2013/5/28 12:06)
「DTCP+」とは、デジタルコンテンツの著作権保護方式です。家庭内などのLAN上で地上デジタル放送などの映像を配信する際、コピープロテクトをする規格「DTCP-IP」の新バージョンです。
たとえば「DTCP+」対応の録画対応ストレージ(NAS)とスマートフォンがあれば、録画した番組を、家庭内だけでなく、インターネット経由で外出先から遠隔で視聴することもできるようになります。ちなみにスマートフォンで視聴する場合は、NAS側で変換するなど、スマートフォン用のファイル形式にする必要があります。
DTCP-IP 1.4で追加された機能
「DTCP+」は、東芝、日立製作所、米Intel、パナソニック、ソニーの5社が設立した団体、DTLA(Digital Transmission Licensing Administrator)が2012年1月に策定した規格「DTCP-IP 1.4」で追加された機能の通称です。
「DTCP-IP」は、ホームネットワークで地上デジタル放送などの映像を配信する際にコピーを防止する、デジタルコンテンツ著作権保護技術の1つです。デジタル放送コンテンツを暗号化することで、不正使用を防ぐための技術として使われています。
“DTCP”はデジタル伝送コンテンツ保護を意味する英語「Digital Transmission Content Protection」の略称で、DTCP-IPは、デジタル放送コンテンツのストリーミング再生・ダビング(ムーブ/コピー)を家庭内のサーバーからクライアントへ行えるようになっています。
従来のDTCP-IPでは、これらの機能が使えるのはLAN内に限られ、ルーターを越える通信、つまり外出先からは利用できませんでした。一方、DTCP+では、インターネットを介して外部から再生・視聴できるようにリモートアクセスといった機能を追加しています。
このDTCP+対応の携帯電話としては、富士通製のAndroidスマートフォンで、NTTドコモの「ARROWS NX F-06E」が6月中旬に、ソフトバンクモバイルの「ARROWS A 202F」が6月下旬に発売される予定です。これらのスマートフォンでは、家庭の対応NASなどに録画した番組を、LAN内だけでなく、たとえば外出先などでインターネット経由での遠隔視聴することが可能になっています。
このスマートフォンでは、DLPAは、バッファロー(メルコホールディングス)、アイ・オー・データ機器、デジオン、KDDIなどが参加するデジタルライフ推進協会(DLPA)が策定している「リモートアクセスガイドライン」に準拠したサーバーと連携可能です。対応機器については今後、DLPAのホームページに掲載予定とされています。
機能の互換性を謳う「DLPA CERTIFIED」
「DTCP+」機能は、先述した製品以外にも、今後さまざまなメーカーから提供される見込みです。
そうなってくると、家庭で購入するDTCP+対応機器が同じメーカーばかり、というわけにはいきません。他社同士の機器でも使えるようにしたい、そのような要望に応えて作られたのが、デジタルライフ推進協会(DLPA)の共通仕様「リモートアクセスガイドライン」です。このガイドラインに準拠した製品には「DLPA CERTIFIED」対応ロゴがつけられます。
「DLPA CERTIFIED」は、リモートアクセスによる録画番組配信に対応したNAS、あるいはパソコンといった機器に発行されるロゴマークです。NASには「DLPA NAS」、サーバー機器には「DLPA Server」、再生プレーヤーには「DLPA Player」というロゴが付くことになります。対応ロゴ製品同士であれば、異なるメーカーの機器でもリモートアクセスによる録画コンテンツ視聴が可能になります。
「リモートアクセスガイドライン」では、サーバー仕様やデバイス管理機能、P2Pセキュアトンネルの構築、セキュリティなどの共通仕様がをまとめられています。