ケータイ用語の基礎知識

第768回:Japan Connected-free Wi-Fi とは

複数のサービスも一度の登録で

 「Japan Connected-free Wi-Fi」は、NTTブロードバンド・プラットフォーム(NTTBP)が提供する、無料公衆無線LANサービス対応のスマートフォンアプリです。主に訪日外国人向けとして提供されていますが、日本のユーザーも利用できます。

 このアプリを利用することで、日本国内で提供されているさまざまな公衆無線LANサービスを手軽に利用できます。2015年4月からはNTTBP以外が手がける企業や団体のサービスも利用できるようになり、使い勝手がぐんとよくなりました。

 たとえば、コンビニエンスストアのセブン-イレブンやファミリーマート、ローソンが提供する公衆無線LANサービスが利用できますし、イオンモール内のフードコートなどでは「AEON MALL Wi-Fi」、JR東日本や東京メトロ、都営地下鉄の主要駅では「JR-EAST FREE Wi-Fi」「Metro Free Wi-Fi」「Toei Subway Free Wi-Fi」を使って無料でインターネットに接続できます。

 さらに、商店街や観光地では、ある街区がまるごと公衆無線LANサービスのエリアになっているところもあります。そのような場所では、街中を歩いているときでも携帯電話のデータ通信ではなくWi-Fiを経由してインターネットの利用が可能です。2016年8月現在のアクセスポイントは日本全国で約15万カ所になります。

 通常、これらの公衆無線LANサービスに接続するには、毎回そのサービスエリアでブラウザからメールアドレスを登録したりするなど、利用に必要な手順がバラバラで、サービスごとの登録が必要な場合もあります。しかし、Japan Connected-free Wi-Fiでは、アプリのインストール時に一度、メールアドレス・年齢・氏名を登録するだけで、各サービスへ繋がるようになります。

登録はSNSアカウントなどを使って一度行えばOK。地図上から現在位置に近い無料Wi-Fiスポットを探し出し、接続することができる

ワンタッチで利用可能、セキュリティはサービス依存

 公衆無線LANサービスへの接続方法をチェックしてみましょう。まずAndroidスマートフォンの場合はGoogle Playから、iPhone/iPadの場合はApp Storeからあらかじめ「Japan Connected-free Wi-Fi」アプリをインストールしておきます。

 このアプリには、GPSを使って現在位置と周辺のWi-Fiスポットを地図で表示する機能があります。これを参考にしながらWi-Fiが利用できる場所に移動して、「Connectボタン」をタッチすれば公衆Wi-Fiを使ったインターネット接続が始まります。ちなみに、地図データはあらかじめダウンロードしておき、オフラインで表示させることも可能です。

 接続してからどれだけそのWi-Fiサービスを利用できるのか、これはサービスごとに異なります。たとえば成田空港Wi-Fiでは1回24時間まで接続可能で、接続し直す場合、回数に制限はありません。またファミリーマートの「ファミリーマートWi-Fi」では1回の接続は20分まで、1日3回までという制限があります。

 セキュリティも、各サービスによって異なります。

 たとえば、NTT東日本、NTT西日本の提供する「フレッツ・スポット」に接続する場合は暗号化キーを利用して通信は暗号化されているため無線が傍受されても内容は漏洩しません。現在のWebでは、たとえばクレジットカード情報や個人情報を送信する場合、TLSを使ってセキュアな接続を行うページがほとんどですのでそのまま情報が漏洩する可能性は低いですが、それ以外のたとえばメールのやりとりなどはサーバーの設定によっては平文データがそのまま流れる場合もあります。

 Japan Connected-free Wi-Fiのアプリでは、接続先のWi-Fiスポットを選ぶことはできても、その接続方法がWPA2などのセキュアな接続を利用できるかどうかまでは表示されません。基本的には、重要情報をやりとりする可能性があるときの接続は避けるようにすべきでしょう。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)