ケータイ用語の基礎知識

第769回:Android Autoとは

 「Android Auto」は、Android 5.0以降のOSを搭載したスマートフォンやタブレットといった機器と、自動車に搭載されたカーナビなどの装置を繋いで、連携させることで、さまざまな拡張を行えるようにするシステムです。

 Androidスマートフォンと車載システムが相互にやり取りする双方向のデータ通信が規格化されています。Androidスマートフォンからはカーナビのディスプレイに表示する画像データを送ったり、カーナビからスマートフォンへ車速データを送ったりすることができます。

 Android Autoに対応した車やカーナビに、Androidスマートフォンを繋いでスマートフォン内のアプリを「カーモード」にすれば、カーナビの画面上にそのアプリを表示できますし、メッセージを音声で読み上げさせたり、あるいは音声入力でハンズフリー操作もできます。

 たとえば、AndroidスマートフォンのGoogle MapsやGoogle Play Musicといったアプリは、Android Auto対応の車載機器に接続すれば、パソコンから送った経路を表示させたり、運転中にGoogle Play Musicで再生している音楽を次の曲にスキップさせたりといったことが可能になります。

 Android Autoは、米国内で先行的に利用できるようになっていましたが、2016年7月からは日本国内での展開も始まりました。

メーカー対応車種
本田技研アコードハイブリッドLX/EX(2016年モデル)
アウディ「Q7」「A4」など
フォルクスワーゲン「Golf TSI/GTI」「Polo TSI/GTI」など
マセラティ「Ghibli S Q4」など
メーカー対応カーナビ
日産自動車「セレナ」向け純正ナビ「MM516D-L/W」
パナソニック「Strada CN F1D」

 2016年8月現在、Android Autoは、日本も含め、米国、ブラジル、カナダ、イタリア、ロシアなど世界31カ国で利用可能となっており、これらの国では各地の言語でのメッセージの読み上げや、音声入力による指示が可能になっています。

開発者はAndroidアプリに「カーモード」を追加できる

 Android Auto対応のアプリは、Google純正のものやサードパーティ製のものを含め、既に50種類ほどが配付されています。たとえば音楽プレイヤーアプリとしては、Google Play Musicの他に、Amazon MusicやAWAといったアプリもあるので、これらの音楽プレイヤーを普段スマートフォンで使っている場合は、その楽曲やプレイリストをそのまま自動車内でも使うことが可能になるわけです。

 Android Auto向けのSDK(ソフトウェア開発キット)は、他のAndroid SDKと同じく無償で配布されており、自社で開発したAndroid向けアプリをAndroid Auto接続時のモード(カーモード)に対応させることができます。

 ただし、カーモード時のユーザーインターフェイスには「Android Auto Audio Apps UI Guidelines」、「Android Auto Massaging Apps UI Guidelines」というガイドラインがあります。Android Auto対応アプリは、この統一されたインターフェイスを採用しなければなりません。

 ユーザーインターフェイスを同じ物にすることで、車載機器での操作に最適化されるというメリットに加えて、新しいアプリをインストールしても操作方法に悩まないというメリットがあります。

 なお、Android Autoと同様、車載装置とスマートフォンを接続する規格は他にもあります。たとえばiPhone向けにはAppleによって開発された「Car Play」という規格があります。

 こうした技術は、自動車運転中のドライバーでも、より安全にスマートフォンを通じたサービスを利用できるようになるメリットがあります。スマートフォンが必須となった現代社会では、運転中にもメッセージのやり取りや好みの音楽を聴きたい、というニーズもあるでしょう。一方で、運転中のスマートフォン操作は大変危険です。米国だけではなく、日本でも多くの人が日常生活のなかで自動車を運転し、毎日、1時間~2時間と言った時間を使っています。「運転中のスマートフォンの操作を禁止する」という規制だけでずっと乗り切れるのか。現在は、Android AutoやCar Playといった取り組みが登場したことで、社会もこれを受け入れようとしつつあるところと言えるでしょう。