GALAXY Nexus SC-04D 太田 亮三編

 私が選んだのは、NTTドコモから発売された「GALAXY NEXUS SC-04D」だ。1年間を振り返ると、実にさまざまなAndroidスマートフォンが登場しているが、最先端のユーザーを狙い撃ちするかのようなこの端末は、Android 4.0搭載の“リードデバイス”で、さらに4.7インチディスプレイと一際トンガっている。自宅の近所のドコモショップで購入手続きをしている時はまだ実感はなく「ドコモも思い切ったなぁ」などと感心していたが、「設定」メニューの「開発者向けオプション」なるメニューで、タップ位置を表示させたりCPUの使用状況を表示させたり、書き換えが行われている領域を点滅させる機能など、開発者向け端末という側面を目の当たりにしてやっと“GoogleのNEXUSシリーズ”を手にしたのだという実感が湧いた。

 現時点では、思っていたよりも普通に動くという印象なのと、Android 2.3にはない進化が少しだけ盛り込まれているという感触。もちろん、サブメニューを開くボタンがアプリ任せになっていることで場所に統一感がないとか、画面が大きくて片手だと上側1/3は指が届きにくいのでボタンをあまり配置しないで欲しいとか、言いたいことはあるのだが、プラットフォームとしてのOSやアプリはこれから共に進化していく部分なので、ちょっとした苦労も含めて進化を楽しみたいところだ。どちらかというと悩みはハードウェアで、背面パネルのカメラ周りのデザインが個人的な好みの方向と違うので、珍しくケースなどを物色し始めているのだが、実はここでも少しだけグローバルモデルの利点がある。もちろん、ケースの類は国内でも買えるのだが、世界中で発売されている「GALAXY NEXUS」なら、ケースにおいても選択肢は格段に広がる。

 2012年は、携帯電話・スマートフォンの世界においても、パソコンのようにハードウェアのコモディティ化が著しく進行するのではないかと予想している。ケース選びやデコレーションなど、外観のカスタマイズの楽しみは依然として残るだろうが、ハードが持つ魅力は、ユーザーの関心の中に占める割合において、相対的に低くなり、ソフトウェアへの関心がより一層高まるのではないだろうか。このようなハードとソフトの逆転がユーザー側で進行すれば、メーカーのさらなる淘汰といったことも予想され、業界にとっては必ずしもバラ色ではないかもしれない。しかし、そうした「〇〇〇という機能・サービスが使えるから、□□□という端末が欲しい」という視点に立った時、「GALAXY NEXUS SC-04D」という端末は、まさにその流れを先取りしているように思われたのだ。

 

2011/12/27/ 17:30