特集:5Gでつながる未来

ドコモは「DAY1」から5Gのサービスを始める――吉澤社長が語る5Gへの期待

 千葉県の幕張メッセで開催されている「CEATEC JAPAN 2019」。IT分野の企業を中心にさまざまな最新技術を展示する見本市だ。16日に行われたキーノートでNTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏は、「5Gでより豊かな未来を」と題し同社がこれまで行ってきた5Gに関する取り組みや、将来の展望を語った。

吉澤氏

5Gでより豊かに

 同社ではこれまでに「beyond~想いをつなげ 5Gでより豊かな未来へ~」と宣言している。2020年以降、ドコモが何をするのかを明示したものだが、コンシューマー向けには「価値・感動」を提供し、一方でパートナー企業との共創を通じて社会課題解決などさまざまな取り組みを行っていく。それを実現する上でもっとも優れているのが5Gだと吉澤氏は語る。

5Gを導入する意義とは?

 ドコモでは、5G導入の意義には「新たな価値創出」と「社会的課題解決」があると捉えている。

 IoTやAI、xRにクラウドなどがそれらを実現するための「柱」であり、そのなかでも一番太い柱が5Gだという。5Gで目指す世界は、5Gの3つの特長である「高速・大容量」「低遅延」「多数接続」を駆使し、スタジアムソリューションやストリーミングなど新たな体験を生み出す。

 ユーザー側だけでなく、ネットワークを提供する側にも、新たなイノベーションが生まれる。ドコモでは、全国40カ所で5Gネットワークを開始しており、2024年度には最低でも2万6334局を設置することを計画している。

 コアネットワークの仮想化も進められており、40%が完了している。

 また、携帯ネットワークの親局と子局のベンダーが異なっても運用できる仕組みを世界で初めて運用を開始した。この「ベンダークロス」を採用することで、ネットワーク構築時の効率化やコスト削減を図っていくという。

最初はスマートフォンから

 吉澤氏は「5Gはまずはスマートフォンから広まるだろう」と予測する。

 スマートフォンがハブになりさまざまな周辺機器と組み合わせることで、xRデバイスや360度カメラなどが上手く連携することでこれまでにない体験空間を作り出せる。

 ドコモではこれを「マイネットワーク構想」として積極的な展開を進める。

ビジネス開発はすでにスタート

 5G時代を見据えたビジネス開発はすでに始まっている。

 「DOCOMO 5G Open Partner Program」を東京や大阪、名古屋など全国6カ所に展開し「ドコモ5Gオープンラボ」は11拠点へ拡大。

 こうしたトライアルなどを積極的に進めている背景には、2020年春の5G商用サービスのスタート直後からなんらかの5Gを利用するサービスを開始したいという想いがあると吉澤氏。

 実際に、ドコモでは9月20日よりラグビーワールドカップと同時に5Gプレサービスを開始している。ラグビーのマルチアングル視聴や、ライブビューイングなどすでにいくつかの5Gを体験できるサービスが提供されている。

 また、法人向けの取り組みとしてもワコムとの協業で遠隔地のデザイナーが共同制作できるサービスや、日本プロゴルフ協会との協業でゴルフの遠隔レッスンなどが始まっている。「わたしももっと日常的に使って(ゴルフが)上手くなりたい」とは吉澤氏の言葉。

 吉澤氏は「5GサービスのDAY1(開始直後)から(5Gを利用した)サービスやソリューションが始まっている世界を作り出したい」と5Gに懸ける期待と意気込みを現した。