レビュー
「HUAWEI P9」ファーストインプレッション
「HUAWEI P9」ファーストインプレッション
ライカの味付けで進化するスマホのカメラ
2016年4月22日 12:00
ファーウェイが4月6日にロンドンで発表したAndroidスマートフォンの新モデル「HUAWEI P9」。ライカとのコラボレーションによるデュアルカメラが特長の同端末のサンプル機を入手できたので、ファーストインプレッションをお届けする。
現地キャリア「EE」のSIMカードで試用
発表会では中国版と思われる端末が展示されていたが、筆者が入手したのはそれとは異なるバージョンで、欧州と北米での認証を取得しているモデルになっていた。残念ながら、日本の技適マークは確認できなかったため、発表会後にロンドンで半日ほど試用しただけとなる。詳細なレビューについては日本で端末が発売された際にじっくりと触ってお伝えしたい。
筆者は現地キャリア「EE」のプリペイドSIMカードを現地通信用に確保していたので、これをHUAWEI P9に装着して使ってみた。起動してしばらくすると電波をつかみ、通信可能な状態となった。
実は発表会の前日にロンドン市内のEEのショップでプリペイドSIMカードを購入したのだが、その際にちょっとしたトラブルがあった。トラブルの詳細は別記事を参照いただきたいが、この一件があった直後だっただけに、SIMを挿すだけでつながるありがたみを実感した。
楽しいボケ味調整とライカ感
大きく脱線してしまったので、ここで話をデュアルカメラに戻そう。デュアルカメラ自体は、ファーウェイとしても800万画素のカメラを2つ搭載した「honor6 Plus」で取り組んだ内容となるが、今回のHUAWEI P9はライカブランドを掲げ、“ライカ感”の演出がテーマとなっている。
機能として最も興味深いのは、撮影後にボケ味を調整できる「ワイドアパチャー」機能だろう。この機能自体はhonor6 Plusにも搭載されており、基本的には得られる効果は同じ。とはいえ、カメラに詳しくないユーザーが手軽に楽しめる機能で、インカメラの「ビューティモード」と並ぶ面白さがある。この機能のためにこの端末が欲しくなる、といった類のものだ。
ライカ感があふれるのは、撮影モードとして「モノクロ」モードが用意されているところや、カラーの「フィルムモード」として「Standard(標準)」「Vivid(鮮明な色)」「Smooth(ソフトな色)」の3つのモードが選べるところ、さらにはライカっぽいシャッター音といったあたりだろう。
シャッター音については、マナーモードにすると音が消えてしまったが、日本で発売される際にどうなるのか気になるところ。もし音を消せるとしても、ライカ感を味わいたければシャッター音ありで撮影いただきたい。
このほか、各種設定を細かく手動で調整できるプロフェッショナルモードもあり、撮りたい絵をとことん追求したいというユーザーの満足度も高いはずだ。
中国メーカー=セルフィ(自撮り)に強いという印象もあったが、ここに来てアウトカメラにも注力し始めたファーウェイ。サムスンもGalaxy S7/S7 edgeにデュアルピクセルセンサーを搭載するなど、今年は画素数とは別の軸でのカメラ競争が熱くなりそうだ。
質感はiPhone以上?
最後に端末のデザインについても触れておきたい。筆者の手元にあるのはTitanium Greyのモデルだが、最近のファーウェイ製端末同様に質感は非常に高い。大きさとしては、iPhone 6sに近く、昨今のスマートフォンの標準的なサイズ感だ。
側面がほどよくラウンドしておりホールド感は悪くないのだが、前面はMate Sなどの同社のハイエンドモデルやiPhoneなどと同様にガラスが盛り上がる形(2.5Dラウンドエッジ加工)で組み付けられているため、この面で落下時の衝撃を直接受けてしまうことも想定される。美しい造形をキープするためにも、ケースを装着するなどして端末を保護することをお勧めしたい。
使い勝手としては、外部接続端子がUSB Type-Cになっており、現時点ではまだまだマイナーで他の端末とケーブルを共有しづらいところがあるのも事実。しかし、急速充電が可能で、挿す方向を考えなくても済むという形状の利便性は高く、さらに今後はこれが主流となると考えれば、いち早くこの環境に慣れておくのも悪くない。
背面の指紋センサーも第4世代にアップデートされ、性能が向上したとされるが、どちらかというと指紋偽装対策の強化という意味合いが強く、使用感としては現行モデルとの差はほとんど感じられない。ビジネスシーンでの利用を考えると、最低限、起動時のロックぐらいはかけておきたいが、指を置くだけでロックを解除できるHUAWEI P9の指紋センサーは、ヘビーに使うユーザーほど利益を享受できるだろう。
いざ購入するとなると、599ユーロ(約7万4000円)~という販売価格が気になるところではあるが、価格と連動して得られる満足度が高いのも確か。日本での発表・発売に期待したい。