レビュー

スマホやタブレットがテレビになる「テレキング GV-NTX1」

スマホやタブレットがテレビになる「テレキング GV-NTX1」

BS/CSを含めた自宅の視聴環境をそのまま旅行先に持ち出し

テレキング(GV-NTX1)

 アイ・オー・データ機器の「テレキング」(GV-NTX1)は、地上/BS/110度CSデジタルの3波に対応した録画テレビチューナー。ネットワーク機能を搭載し、スマートフォンやタブレット、PCでの利用に特化した点が特長だ。価格は1万9800円(税込)。量販店では販売されていないアイオープラザ限定の直販モデルとなる。

 録画テレビチューナーというとわかりにくいかもしれないが、シンプルに言えばテレビ番組を録画できるレコーダー、と考えてもほぼ変わらない。テレビと直接接続はできないが、その他の視聴環境は非常に充実。視聴端末はAndroid、iOSに加えてWindowsにも対応するほか、自宅内だけでなく外出先からのリモート視聴、録画番組のデータを端末に保存する持ち出し機能などを搭載。自宅でも外出先でも好きな時にテレビ番組を楽しめる。

コンパクトな本体サイズ。視聴端末はAndroid、iOS、Windowsをサポート

 GV-NTX1の本体サイズは約215×185×43.9mm(幅×奥行×高)、重量は本体のみで約845g。一般的なレコーダーに比べると非常にコンパクトで、自宅内のスペースを取らないのが嬉しい。背面には地上デジタルの入出力、BS/110度CSデジタルの入出力に加え、mini B-CASカードスロット、HDD接続用のUSB 3.0ポート、LANポートを搭載している。

GV-NTX1の背面
iPhone 5sとのサイズ比較

 利用の際には本体のみでなくいくつか周辺機器の準備が必要だ。まず、GV-NTX1とテレビアンテナを接続するための同軸ケーブルは本体に同梱されていないため別途購入が必要。また、GV-NTX1は地上デジタルとBS/110度CSデジタルのアンテナが別になっているため、BS/110度CSも利用したい場合は家のアンテナ環境に合わせて同軸ケーブルや分配器などを用意する必要がある。

 番組の視聴や操作はネットワーク経由で行うため、自宅に無線LANルーターなどのネットワーク環境も必要。テレビ番組の視聴だけでなく録画機能も利用したい場合は、録画番組を保存するためのHDDも必要になる。HDDはUSBで本体に直接接続するか、DLNA対応NASであればネットワーク経由で録画することも可能だ。

 このほか当然ながら番組を視聴するための端末が必要。端末はiOS 7以降、Android 4.1以降、Windows 8.1/10に対応し、録画や視聴のための対応アプリが無料で配信されている。

 GV-NTX1の対応アプリは、番組を視聴するためのプレーヤーアプリ「テレプレ」、録画予約などの機能を搭載した「テレリモ」の2アプリが用意されている。初期設定や番組の録画予約などの機能はテレプレで行うが、番組の再生自体はテレリモで行い、テレリモから番組再生を選択すると、それに連携してテレプレが立ち上がる仕組みとなっている。そのため初期設定の前にテレプレ、テレリモ2つのアプリをインストールしておこう。

初期設定はアプリの画面に従うだけのシンプル操作

テレプレの初期設定

 初期設定は非常にシンプル。同梱のmini B-CASを本体に装着、GV-NTX1の背面にLANケーブルを接続した上でUSB HDDに録画する場合は本体背面に接続、NASに録画する場合はNASを利用できる状態にしておき、本体の電源を投入。続いてGV-NTX1と同じネットワークにスマートフォンなどの端末で接続、対応アプリ「テレリモ」を起動すると初期設定が開始する。

 初期設定の操作方法はアプリ画面に表示されるため、画面の指示に沿っていけばさほど難しいことはない。利用する端末を登録し、チャンネルスキャンや録画するHDDの指定、外出先から利用するためのペアリング設定などを行うと本体の利用が可能になる。

 なお、アプリと端末を紐付けるためのペアリング設定は、テレプレとテレリモそれぞれで必要になる。初期設定が終わった後に他の端末を設定する際などは、テレプレとテレリモそれぞれでペアリングを行っておかないと、外出先で番組を見たい時に利用できないということにもなりかねない。連携状況は設定画面で確認できるので、ペアリングは忘れずに2アプリで設定しておこう。

iOSの場合、テレリモの「チューナー」画面で右にスワイプするとペアリングできる
テレプレは「リモート」から端末を選択してペアリング
ペアリング完了
起動時の画面には「現在放送中の番組リスト」「番組表」「録画リスト」へのショートカットを表示

 初期設定終了後にアプリを起動すると、起動直後は「現在放送中の番組リスト」「番組表」「録画リスト」へのショートカットが表示されるが、いずれか1つを選ぶと画面が切り替わり、これらの機能に加えて録画予約一覧、登録チューナー選択、本体やアプリの設定が可能になる。

番組表や注目の番組、おまかせ録画など録画方法は充実

 録画は「番組表」から好きな番組を選択するほか、注目の番組としてリストアップされた番組から選択することもできる。録画のスケジュールは指定日のみのほか、毎週、月~金、月~土、毎日から選択が可能なほか、録画画質、持ち出し用録画の作成も録画時に設定できる。持ち出し用録画を設定した番組は、スマートフォンやタブレットなどに番組を転送することで、インターネットに接続することなく録画番組を視聴できる。

番組表。好きな番組を選択して録画予約できる
お勧めの番組を教えてくれる「注目の番組」
番組の詳細から録画予約を設定できる
録画予約画面。持ち出し用録画も録画時に設定する
録画時に画質を変更できる

 また、録画予約は番組表から選択する通常予約に加え、番組のタイトルに加えてジャンル、出演者などを指定して自動で録画する「おまかせ録画」機能も搭載されている。おまかせ録画を番組表からではなく「予約一覧」から行うことで、指定したチャンネルを最大23時間まで録画できる「おまかせ一括録画」機能も利用可能だ。なお、おまかせ録画の場合は自動で番組が録画されることもあり、持ち出し用録画の設定は非対応となっている。

キーワードなどの条件に従って録画できる「おまかせ録画」
おまかせ録画は「予約一覧」からも設定できる
1つのチャンネルを最大23時間録画できる「一括録画」

 録画した番組は「録画番組」に一覧が表示され、番組を選択すると録画に関する詳細を表示、さらに画面下部の「再生」を選択すると番組が再生される。

録画番組一覧
録画番組の詳細

 再生中は一時停止のほか、30秒送りや10秒戻しといったトリックプレイ機能を搭載するが、アプリによって多少機能が異なる。Androidアプリは再生中の画質変更機能、チャプター送り、チャプター戻しボタンを搭載するが、iOSアプリには画質変更機能、チャプター送り/戻しボタンはなく、チャプターはメニューから時間を選択する仕組みとなる。Windowsアプリの場合、チャプター送り/戻しボタンに加えて早送り/早戻しボタンも搭載しているが、画質変更機能は搭載していない。

再生画面
チャプター機能
横画面での表示にも対応する

外出先でも放送中の番組や録画番組を快適視聴

 録画番組ではなく放送中のテレビ番組を視聴したい時は、画面下部の「視聴」から視聴したい放送局を選択する。リアルタイムで放送されているためトリックプレイやチャプターを利用できないことを除けば、録画番組の再生時と操作方法はほぼ変わらない。

放送中のテレビ番組も視聴できる
放送局の選択画面
放送中のテレビを再生。トリックプレイが利用できないが操作感はほとんど変わらない

 外出先から視聴する際も、ペアリング設定が正しく完了されていれば宅内と操作は変わらないが、画質に関しては通信環境に依存することになる。3G/LTE回線などで接続している場合、速度によって画質が自動的に調整される。

 画質は通信環境に依存するとはいえ、iPhoneやNexusシリーズのように、ワンセグ/フルセグチューナーを搭載しないスマートフォンが増えている中で、録画番組だけでなく、放送中の番組をリアルタイム視聴できるというメリットは計り知れない。スポーツ中継など、どうしても生でチェックしたい番組がある場合、GV-NTX1の存在感は一段と大きくなる。チューナー非搭載のスマートフォンやタブレットでも、通信環境さえあれば、どこでもテレビが視聴できるのだ。

 通信環境やパケット代を気にせずに外出先で録画番組を視聴したいという時に活用したいのが、前述した持ち出し動画だ。こちらはスマートフォンやタブレット、PCなどに番組を保存して利用する方法だ。

 持ち出し動画は、録画時に設定済みであれば、「録画番組」の「持ち出し番組」から好きな番組を選び、共有アイコンから端末に取り込むだけ。1280×720ピクセル、2.4Mbpsで約1時間の持ち出し番組をiPhone 5sに保存したところ、約5分程度で転送が完了した。持ち出し番組は複数の番組を同時に保存することもできるので、起床時に設定しておけば、出かけるまでに数時間分の番組は転送できるだろう。

iOS版は画面下部の共有アイコンから取り込める
持ち出し機能
録画番組の共有アイコンからは「他の機器へのダビング」または「持ち出し変換」が選択できる

 なお、持ち出し動画を設定していなかった番組でも、録画済みも番組を選び、共有アイコンの「持ち出し変換を行う」から再度持ち出し動画を作成できるが、作成には番組と同じ実時間が必要になる。外出先で見たいと思う番組は録画のタイミングで設定しておくといい。

 ちなみに、GV-NTX1の視聴端末はスマートフォンやタブレットでの視聴が前提ではあるものの、PCとテレビをHDMI接続すれば、録画番組をテレビで視聴することも可能だ。HDMIでわざわざ接続するのが面倒、もしくはテレビでの視聴頻度が高いというユーザーであれば、HDMIスティック型のWindows端末を別途購入し、テレビに常に装着しておく、という使い方も便利だろう。

スマホやタブレットでテレビをより自由に楽しみたい人に最適な1台

 テレビにつながらないレコーダーという点では特殊に思えるものの、スマートフォンやタブレットに特化したレコーダーとして考えると機能は非常に豊富。初期設定の画質であればレスポンスも良く画質も十分に満足がいくレベル。HDDも最大6TBまで対応しており、初期設定の画質であれば最大約5488時間まで録画可能。録画したいけれど容量が足りない、という問題には当分悩まされないで済みそうな録画時間だ。

 自宅にテレビがないがテレビ番組は見たい、という人はもちろん、テレビはあるけれど自宅で視聴する時間がない、という人にとっても、スマートフォンやタブレットを使って好きな環境で楽しめるのが嬉しい。リモート視聴や持ち出し動画といった機能も備えており、外出時も自分の環境に合わせてテレビを楽しめる。

 大都市圏で生活していると、連休に実家に帰省したり、出張で地方を訪れたりした際に、テレビのチャンネル数の少なさに愕然とすることもあるが、GV-NTX1があれば大丈夫。BS/CSを含め、自宅の視聴環境をそのまま旅行先に持ち出せるので、退屈することもないだろう。

 テレキング GV-NTX1は、テレビ番組をより自由に楽しみたいという人にお勧めの1台だ。

甲斐祐樹