レビュー

「CMF Phone 2 Pro」レビュー 4万円台でおサイフケータイ対応、その実力は?

 Nothing Technologyのサブブランド「CMF」から、スマートフォンの最新モデル「CMF Phone 2 Pro」の日本向けモデルが発表された。7月24日に発売され、7月22日に予約が開始される。

NothingのCMFブランド最新スマートフォン「CMF Phone 2 Pro」

 価格は公式の直販サイトで128GB版が4万2800円、256GB版が4万7800円。そのほか楽天モバイルやIIJなどからも提供される。

デザインとコスパを両立

 「CMF」は、Color(色)、Material(素材)、Finish(仕上げ)の頭文字に由来し、これら3つの要素を重視して製品設計を行っているブランド。全体的にポップなデザインで、メインのNothingブランドの製品よりも比較的低価格に抑えられており、コストパフォーマンスに優れているブランドだ。

 すでにイギリスなどのグローバル向けには、4月に「CMF Phone 2 Pro」は発表済みだが、あらためて日本向けにカスタマイズされたモデルとなっている。ちなみに昨年「CMF Phone 1」が11月に日本でもリリースされているが、現状「CMF Phone 2」というモデルは存在せず、実質的には「CMF Phone 1」の後継機となっている。

 また「Pro」と製品名にはあるものの上位モデル的な意味合いで、特に専門家が使うような特化した機能や性能があるわけではない。「CMF Phone 2」というモデルが登場するのかどうかも不明なため、製品の位置づけがわかりにくい印象を与えるかもしれない。カジュアルに「Pro」を製品名に付けるのは、ユーザーの誤解を招きやすく、かつCMFシリーズは低価格モデルということもあり、「Pro」というネーミングが合っているかどうか疑問だ。

日本向けは3色展開

色ごとに異なる質感

 本体カラーはオレンジ、ホワイト、ブラックの3色展開。英国版などにはライトグリーンもあるが日本では発売されない。

 オレンジはメタリックな光沢、ホワイトはザラザラとした感触のマット素材、ブラックは磨りガラスのような印象と、カラーバリエーションによって受ける印象が大きく違う。またオレンジとホワイトは、背面上部と下部で素材を変えており、そこもアクセントとなっている。

テスト用の貸し出し機はオレンジ

 3色共通なのは、アルミニウム製のカメラリングや本体背面に配置されたステンレス製のネジ。昨今のスマートフォンは背面が単調でのっぺりとしたデザインが多いため、オリジナリティーを感じられるデザインだ。

カメラリングとネジがアクセントに
上下で色味が違うオリジナルなデザイン

 「CMF Phone 1」はネジを抜くと背面カバーが取り外せて、ほかのカラーのカバーやアクセサリーを取り付けられるようになっていたが、CMF Phone 2 Proにはそのような機構は搭載されていない。そのため公式の新規アクセサリー展開も今回は予定されていないが、専用ストラップに関しては、CMF Phone 1のアクセサリーが流用できるとのこと。

ストラップはCMF Phone 1のアクセサリーが流用できる

Nothing史上最薄・最軽量級

 大きさは約78×7.8×164mmで、重さは約185g。これはNothingがこれまで発売してきたスマートフォンの中でもっともスリム。実際に手に持ってみると、手のひらにしっかりとフィットして、重量も200g以下のため軽く感じる。

グリップしやすいサイズ感
実測で185.7g(SIM、microSDなしの状態)
本体右側面
本体左側面
本体上部
本体底面

明るいディスプレイで屋外でも見やすく

 ディスプレイは6.77インチ(2392×1080ドット)のAMOLEDパネルを採用する。

 ベゼルレスとまでは言えないが、そこまで気になるほどの幅ではなく、本体幅のスリム化に貢献している。

 また、最大輝度3000ニトで屋外でも見やすく、リフレッシュレートは120Hzとなっている。

ディスプレイの明るさは実測で991lux

AIを瞬時に呼び出す「Essential Key」

 本体右側面には電源ボタンに加えて、Essential Key(エッセンシャルキー)を搭載する。

 それぞれボタンの大きさや素材は変えてはいるものの、慣れるまでボタンを押し間違えやすい。音量ボタンは本体左側面に配置されており、SIMトレーとType-C端子は本体下部にある。

上が電源ボタンで、下がEssential Key

 Essential Keyは、Nothing OSに組み込まれたAIを活用した機能「Essential Space」を使うためのボタン。Webサイトなどを閲覧しているときに気になるコンテンツがあった場合、Essential Keyを押すことで情報を保存。格納された情報は自動的に整理され一覧表示できる。

 そのほか、単に情報を保存するだけでなく、ユーザーに合った提案、要約、アクションプランを生成する役割も担っている。

Essential Keyで手軽に情報を保存

 この機能はすでに発売済みのNothing Phone(3)aにも搭載されており、予想以上に使われているとのこと。ユーザーはAIが動いていると意識せず、「使ってみたら意外と便利だった」と感じているようで、そのフィードバックを受けて機能性の強化が進められているそうだ。

データを守る「プライベート スペース」

 指紋認証センサーはディスプレイに内装。ただしセンサーの一がかなりディスプレイ下部に寄っており、本体中央部分をグリップしていると、筆者の場合、親指が届きにくい。もう少し上に配置して欲しいと感じた。

指紋認証センサーの位置が下のほうにあり、若干操作しにくい

 ちなみに新たに「プライベート スペース」という機能が追加された。プライベート スペースへは、ドロワー(アプリ一覧)画面を右にスワイプするとアクセスできるが、その際に本体のロックとは別のパターンや指紋といったセキュリティーを設定するので、さらに持ち主しかアクセスできないようになっている。

ドロワーをスワイプするとプライベート スペースにアクセスできる

 プライベート スペースにはカメラアプリがあり、これで撮影したデータは通常のフォトアプリからは閲覧できない。

 また、プライベート スペースでのみ起動可能なアプリも設定できるので、スマートフォンに強固なセキュリティーを施したいユーザーにオススメの機能だ。

プライベート スペースでのデータは、プライベート スペースでしか閲覧できないので安心

動作は快適、ゲームプレイも

 プロセッサーにはMediaTekのミドルレンジとなるDimensity 7300 Pro 5Gを採用しており、メモリーは8GB。ストレージは128GBもしくは256GBとなっている。メモリーに関してはRAM拡張機能を搭載しており、内蔵ストレージを利用して最大8GBを追加可能。合計16GBのメモリーで運用可能だ。

RAM拡張は最大8GBまで

 ミドルレンジのプロセッサーに十分なメモリーということもあり、操作はいたってスムーズ。画面スクロールだけでなく、アプリの切替や起動もキビキビとしていて、ストレスなく使用できる。

 またDimensity 7300 Pro 5Gのグラフィック性能は、ハイエンドのプロセッサーと比較すると落ちるものの、3Dゲームなどがまったくできないというレベルではないのもポイント。

 ディスプレイは120Hzのリフレッシュレートで、タッチサンプリングレートも1000Hzと高性能なので、ゲームもしたいがコストは抑えたいというユーザーにオススメ。

 ただし最近のスマートフォンゲームはデータサイズが大きいため、ストレージ容量が大きい256GBを選んだほうが良さそうだ。

システムで12GBほどストレージを使用している

大容量バッテリー

 バッテリーは約5000mAh。最大輝度でYouTubeのフルHD動画を充電100%の状態から再生し続けたところ、約15時間3分でバッテリー残量がゼロになった。

 充電はワイヤレスには非対応だが、USB Type-C端子での33Wの急速充電に対応しており、5Wのリバースチャージ機能も搭載する。

バッテリー残量74%時点で23.7Wでの給電ができた

スピーカーはモノラル

 本体スピーカーはモノラル仕様。スピーカーが本体底面にあるため、上部を左側にして横位置にした場合、かなり右側に寄った音声出力となる。音質自体は悪くないものの、映画やドラマ、ゲームなど横位置での使用は偏りを感じるため、イヤホンなどを使ったほうがよさそう。

 オーディオテスターアプリで1000Hzの正弦波を最大ボリュームで鳴らして、15cm離れたところの音量は約85.3dBだった。

1000Hzの正弦波を最大ボリュームで鳴らすと、音量は約85.3dBだった。

おサイフケータイ対応、国内で困らない対応バンド

 CMF Phone 1では、国内キャリアが使用する対応バンドがかなりあったため評価が悪かったが、CMF Phone 2 Proではかなり改善された。

通信方式対応周波数
5Gn1 / n2 / n3 / n5 / n7 / n8 / n12 / n20 / n28 / n38 / n40 / n41 / n66 / n71 / n77 / n78
LTEB1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 7 / 8 / 12 / 17 / 18 / 19 / 20 / 26 / 28 / 38 / 40 / 41 / 42 / 48 / 66 / 71

 5Gのn79非対応が惜しいが、そのほかは国内で使用するぶんにはおおむね問題ないレベルだ。

SIMトレーはピンで押し出すタイプ
片面にもう1枚のSIM、もしくはmicroSDをセット可能

 そのほか通信系ではBluetooth 5.3、Wi-Fi 6に対応。おサイフケータイも利用可能なので、モバイルSuicaなど、国内決済サービスを使っているユーザーも安心だ。

3眼カメラ、写りはビビッド

 カメラは、本体背面に約5000万画素(絞り値:F/1.88)の広角カメラと、約約5000万画素(絞り値:F/1.85)の望遠カメラ、約800万画素(絞り値:F/2.2)の超広角カメラを搭載した3眼仕様。

背面のカメラは三眼仕様

 5万円以下で購入できる価格ながら、3眼かつメインと望遠が約5000万画素というのは、かなり高スペックだ。

カメラ部分の厚さは実測で約10.2mm

 ディスプレイ側のインカメラも約1600万画素(絞り値:F/2.45)とこのクラスのスマートフォンとしては高解像度のセンサーを搭載している。

 NothingオリジナルのTrueLens Engine 3が使われており、高度なUltra XDRとインテリジェントな画像処理の組み合わせで、高品質な写真の書き出しを実現。実際に撮影してみると、かなり明るく補正されており、ビビッドな仕上がりの印象。このあたりは好みが分かれる仕上がりだ。

1倍で撮影
2倍で撮影
デジタルズーム最大の20倍で撮影
0.6倍で撮影
花にレンズを近づけて、ピントが合うギリギリの距離で差釣り
料理撮影時は若干光量不足か暗めな仕上がり
夜間モードで撮影
インカメラで撮影

デザインと実用性を兼ね備えた5万円以下の優等生

 日本向けの機能も搭載し各ポイントの性能が高めながら、5万円以下と高コストパフォーマンスなCMF Phone 2 Pro。

 デザインも独自性が高く、所有欲をじゅうぶんに満たしてくれる端末に仕上がっている。

付属のSIMピンがオレンジだったので、付属のケーブルもオレンジにして欲しかった