レビュー

「AQUOS wish5」実機レビュー、高コスパスマホの秘密を探る

 シャープからエントリーモデルのスマートフォン「AQUOS wish5」が発売された。シャープ直販オンラインストアのオープンマーケット版のほか、国内キャリアでは、NTTドコモとワイモバイル、楽天モバイルから発売。MVNOではIIJmio、mineoで取り扱われている。

シャープのエントリーモデルスマートフォン「AQUOS wish5」

 価格は、NTTドコモ版のみストレージが64GBで2万7500円。そのほかは128GBモデルとなっており、オープンマーケット版は3万4980円。それ以外は3万3000円前後といったプライスゾーンで、低価格で購入できるスマートフォンとなっている。

ケース不要も目指せる頑丈設計と、温かみのあるマットな質感

 本体カラーは「ミソラ」、「ナデシコ(楽天モバイルを除く)」、「ワカバ(ワイモバイル、楽天モバイルを除く)」、「ユキ」、「スミ」の全5色。カラー名は和色で温もりのある色味なのが特徴的だ。

レビュー用に貸し出された端末のカラーは「ユキ」

 大きさは約76×8.8×166mm、重さは約187g。

実測で186.7g

 筆者の場合、片手で持つと操作するには若干大きいかなと感じるものの、グリップしにくいサイズではない。

グリップはしやすいサイズ感
片手での操作はやや厳しい

 本体側面、および背面は指紋の付きにくいマット仕上げで、ざらっとした触り心地もなかなかよく、このあたりがグリップしやすさにもつながっている。

石膏のようなマットな質感の仕上で感触が良い

 これにケースを付けると、さらに大きくなりそうだが、本製品はIPX5 / IPX8 / IPX9の防水・防塵に対応。さらにMIL-STD-810H準拠に関しても、耐衝撃(落下)など全18項目をクリアしており、かなり乱雑に扱っても問題ないレベル。指紋も付きにくい素材でもあるため、ケースを付けずにそのまま使っても問題なさそうだ。

ハンドソープでの丸洗いにも対応

120Hz駆動対応のディスプレイ

 ディスプレイは6.6インチの液晶パネルで、解像度は1612×720ドット(アスペクト比20.15:9)とフルHDクラスではない。

 ただし、リフレッシュレートは最大120Hzに対応しているため、Webサイト表示時などのスクロールはかなりスムーズに感じる。

凝視しなければ、そこまでドット感はない

 また、ベゼル部分は昨今のハイエンドモデルと比較すると全体的に太く、特に下部は実測で約7.2mm。このあたりは低価格帯のエントリーモデルということで、割り切りが必要なポイントだ。

ディスプレイ下部のベゼルは実測で約7.2mm

 ボタン類は本体右側面に配置。電源ボタンは指紋認証センサー一体型となっている。

 本体左側面にはSIMトレーがあり、こちらはSIMピンを使わずに取り出せるタイプ。また本体底面にはType-C、本体上部には3.5mmのイヤホンジャックがある。

本体右側面
本体左側面
本体上部
本体底面

日常使いには十分な性能

 プロセッサー(SoC)には、MediaTekのDimensity 6300がを採用されている。

 メモリー(RAM)は4GB。ストレージ(ROM)はドコモ版が64GB、それ以外は128GBとなっている。

 ストレージに関してはシステムで14GBほど使っていることもあり、ドコモ版は心許ないが、最大2TBまでのmicroSDカードも利用可能。写真などはmicroSDに保存するといった設定にしたほうが良さそうだ。

 プロセッサーがエントリー向けのDimensity 6300ということで、アプリの起動や切替に若干のもたつきを感じる。

 ただし前述のように、ディスプレイ自体のリフレッシュレートが120Hzに対応しているため、スクロールなどは滑らかだ。

 スマートフォンの操作に慣れたヘビーユーザーには気になりそうだが、そこまで操作がスムーズではないユーザーなら、じゅうぶん許容範囲の操作性といえる。

画面のスクロールはかなりスムーズ

安心の大容量バッテリー

 バッテリー容量は5000mAh。給電W数は27Wでワイヤレスチャージには非対応。

 最大輝度でYouTubeの4K動画を充電100%の状態から再生し続けたところ、約9時間36分でバッテリー残量がゼロになった。

給電は本体に50%ほど充電された状態で、8.77V/1.45Aだったので、最大27Wの約半分だった

聞き取りやすいスピーカー

 本体スピーカーはモノラル仕様。そのため映画や音楽といったコンテンツ再生時のステレオ感は当然ながらないが、セリフなどの声は聞きやすい。

 また、本体共鳴などもほとんど感じず、スッキリとした音が出力されておりイヤな感じはしない。

 オーディオテスターアプリで1000Hzの正弦波を最大ボリュームで鳴らして、15cm離れたところの音量は約85dBだった。

1000Hzの正弦波を最大ボリュームで鳴らして、15cm離れたところの音量は約85dB

海外でも使える周波数

 通信面では、セルラーの対応バンドが5Gはn1 / n3 / n7 / n28 / n38 / n40 / n41 / n77 / n78 / n79。LTEはB1 / B2 / B3 / B5 / B7 / B8 / B12 / B17 / B18 / B19 / B28 / B38 / B39 / B40 / B41。

 ミリ波には対応していないものの、5Gのn79も含め、国内で使用されているバンドにはおおむね対応しているので安心だ。ハイエンドと比較すると少ないものの、海外バンドにもある程度対応しているため、海外旅行時のローミングでも問題は少なそうだ。

SIMトレーはピンを使わずに引き出せるタイプで、microSDとセットで装着できるタイプ

 また、Wi-Fi 5をサポート。BluetoothはVer.5.3に対応。USBは2.0となっている。

 Wi-Fiは「Wi-Fi 7」が普及し始めており、USBも低速の2.0なのは残念ではあるものの、価格で考えれば、ここも割り切りポイントと言える。

日常にピッタリなカメラ

 カメラは、本体背面に約5010万画素(絞り値:F/1.8、焦点距離:25㎜)の広角カメラをひとつ搭載するシングル仕様。

背面カメラはシングル仕様で、広角カメラを装備

 ディスプレイ側のインカメラは約800万画素(絞り値:F/2.0、焦点距離:26㎜)となっている。

インカメラはパンチホールタイプで、約800万画素

 本体背面の広角カメラはシングルながら、明るい環境下であればかなりキレイに撮影できる。

 デジタルズームも2倍までは特に荒さは見られないため、スナップ写真など日常の撮影には問題ないレベル。

カメラ部分は約9.8mmなので、突出は1mmほど
カメラアプリの倍率切替は、1倍と1.5倍と2倍
1倍で撮影
1.5倍で撮影
2倍で撮影
花にレンズを近づけて、ピントが合うギリギリの距離で差釣り
料理も光量があれば、しずる感のある仕上がりになる

 デジタルズームは最大8倍で、さすがに望遠カメラを搭載していないこともあり、荒さが目立つため、メモがわりの記録程度といったところだ。

デジタルズームの最大は8倍
8倍で撮影

 夜間の撮影は、ナイトモードで三脚固定で撮影した。

 夜空を拡大するとノイズを潰し切れていないような感じはあるものの、全体的にはエントリーモデルならばじゅうぶんなクオリティだ。

ナイトモードも用意されている
ナイトモードで撮影

 動画に関しては、光量のある日中の屋外であれば申し分なし。夜間の撮影は手ぶれがめだつので、映像作品として使うにはやや厳しい。また最大で1080p/60fpsまでとなっているので、4Kはそれ以上の撮影がしたい場合は、ハイエンドモデルを選ぼう。

いざという時に役立つ防犯機能なども

 シャープのAQUOSシリーズは、ほかの端末にはないオリジナルの機能が多いのもポイントだ。

 今回のAQUOS wish5では、振動で発動する防犯アラート機能を搭載する。設定をオンにしておくと、振るだけで大音量の警告音が鳴り、登録した連絡先への自動通話や位置情報なども送れる。防犯用のスマートフォンとしてカバンに入れておくのもアリだ。

不審な通話が来た場合にお知らせする機能を装備
防犯アラート機能をオンにすると、カバンに入れたままでも端末が振動を検知して、緊急連絡を行う
警告音とともに背面LEDなども点灯し、緊急事態というのがわかりやすい

スマホに多くを求めない人にこそ最適な一台

 3万円台のエントリーモデルということで、ハイエンドやミッドレンジと比較すると、スマートフォン好きには物足りない点は多い。とはいえ、そこまでスマホにこだわりがなく、日常使いができればじゅうぶんという人には、性能も機能も不足ないちょうどいいレベルに仕上がっている。

電源ボタンに決済系のアプリを割り当てられる、Payトリガー機能
電源ボタンを長めに触っていると、指定した決済アプリが起動する

 プロセッサーの性能から考えても、3Dゲームなどは厳しいため、子供へのスマートフォンとしてはおすすめできないが、高齢者など親世代に持たせるスマホとしては画面サイズなども含めてちょうど良さそうだ。