レビュー

エンタメが楽しいペン付き「Lenovo Yoga Tab Plus」レビュー キーボードでパソコンのようにも

大画面とハイスペックなチップセットを搭載した「Lenovo Yoga Tab Plus」。

 筆者は2020年10月発売の「iPad Air(第4世代)」を未だ使い続けている。確か発売間もなく購入したはずなので、かれこれ5年近く使っているのだが、10.9インチのディスプレイ、操作感には特に不満を感じていない。

 ただ、さすがにバッテリーがもたなくなってきた。Aシリーズだったチップも最新のiPad AirはM3だ。買い換えを検討している中、レノボ初のオンデバイスAIタブレット「Lenovo Yoga Tab Plus」を試用する機会に恵まれた。

 2週間ほどだったが、iPad Airから乗り換えてもいいかもしれないと思うような高性能タブレットだった。今回はLenovo Yoga Tab Plusの使用感をご紹介したい。

美しいディスプレイと高品質サウンドで動画視聴が楽しい

 Lenovo Yoga Tab Plusは、Qualcommの高性能なチップセット、Snapdragon 8 Gen 3や12.7インチの大画面ディスプレイを採用したプレミアムクラスのタブレットだ。価格はレノボ直販で8万9980円(2025年5月下旬時点)とそれなりに高額だが、このチップセットを搭載したタブレットとしては非常にリーズナブル。

 タッチペンの「Lenovo Tab Pen Pro」と45WのACアダプタも同梱されていてお買い得感がある。

Yoga Tab PlusはタッチペンのPen Proが付属品として入っている。
タブレット本体はカメラを配置した上部の帯が特徴的なデザインだ。

 電源をオンにすると、まず目を引くのが12.7インチ、2944x1840ピクセルの大画面ディスプレイ。鮮明で美しく、動画視聴の楽しさを保証してくれる画面だ。

 また、iPadユーザーとしてはアスペクト比が16:10であることもポイントが高い。4:3の画面に慣れていると、16:9の画面比率は横長すぎて、動画視聴には最適でも、ウェブサイトやSNSを閲覧するには縦の表示範囲が狭すぎる。

 16:10のディスプレイは動画視聴に適していて、確かにサイトや電子書籍の閲覧で「もう少し縦長だったら」と思うときはあったものの許容できた。

アスペクト比16:10の12.7インチディスプレイ。

 動画の視聴をさらに楽しくしてくれるのが高品質なサウンドだ。本体左右に、4つのウーファーと2つのツイーターから構成されるスピーカーを装備。Harman Kardonブランドで、迫力のある大きな音が、音割れもせずに鳴り響く。

 Yoga Tab Plusで某SF映画を見たときには、自分の背後から音が聞こえるような体験もできた。美しい大画面と高品質なサウンドで動画コンテンツを楽しめるタブレットだ。

本体左右にHarman Kardonブランドのスピーカーを搭載しており、動画視聴時に迫力のサウンドが流れる。

ヌルサクの操作感、さすがのチップセットと大容量メモリ

 タブレットはウェブサイト閲覧や動画視聴がほとんどという筆者だが、Yoga Tab Plusはその使い方にはもったいないほどのチップセット、Snapdragon 8 Gen 3とオンデバイスAIに欠かせないNPU、大容量16GBのメモリーを搭載している。

 いわゆる「ヌルサク」な使い心地で、さすがの高スペックだと思わされた。ちなみにストレージは256GBだ。

 バッテリーは1万200mAhとこちらも大容量で、仕様では約12時間の使用時間となっている。実際に使っているとバッテリー消費はごく普通といった印象だ。

 急激に減る感じがはもちろんしないが、すごく長持ちするという感じでもない。付属のACアダプターを利用すると約1.5時間で満充電になる。

付属のPen Proで手書きメモも快適

 個人的にポイントが高いと思ったのが、タッチペンが付属していること。タッチペンは、あれば便利に使えるが、iPad用のApple Pencilは安い方でも1万4000円ほどになり、「あれば便利」程度の気持ちで購入するには高い。そんなタッチペンがYoga Tab Plusに付属しているのは、とてもありがたい。

 筆者は絵心がないのでタブレットで絵を描くことはないが、PDF化された記事の校正や書類への署名でタッチペンがあると助かる機会も多い。

 なお、Yoga Tab Plusには、イラスト・マンガ制作アプリの「Clip Studio」、メモアプリの「Nebo」、手書きの数式を計算できる「MyScript Calculator 2」といったペン対応アプリが用意されている。

 Pen Proは持ちやすい太さと適度な重さがある。タブレット本体上部にマグネットで付き、同時に充電が可能だ。ボールペン、蛍光ペン、鉛筆、万年筆の書き味が再現される「手書きフィードバック」という機能もあって面白い。反応も文句なく、ストレスなく書くことができた。

タッチペンの「Lenovo Tab Pen Pro」が付属。ボタンはなく、タップとスワイプのジェスチャーで機能を呼び出す。
本体上部にマグネットでくっつけて持ち運び、充電も行う。

 ペンにボタンはなく、タップと上下のスワイプというジェスチャーで操作する。ペンで手書き入力中にダブルタップすると消しゴムに切り替わるが、Apple Pencilでも同様の設定があり、慣れている人には違和感なく使えるのではないだろうか。

 筆者はGalaxy Note時代からSペンのボタンを使った操作に慣れているので、最初のうちは少々戸惑ってしまったが、反応自体は良く、慣れれば自由自在に使えそうだと感じた。

ペンの設定。スライドの操作やカメラの撮影などでも使える。

純正キーボードを合わせればモバイルPCのように使える

 Yoga Tab Plusは、大画面タブレットとして決して重いわけではないが、約640グラムを手に持って動画コンテンツを見続けるのはやはり疲れるのでスタンドは必要だ。

 ECサイトを見てみると、Yoga Tab Plus向けの安価なスタンド付きカバーが数多く見つかるが、予算が許すなら、背面カバー付きで日本語配列の純正キーボード「Lenovo 2-in-1 Keyboard Pack for Lenovo Yoga Tab Plus」(直販で1万4850円)を利用するのが良いのではと感じた。

 2-in-1 Keyboard Pack for Lenovo Yoga Tab Plusは62×105ミリの大きなトラックパッドを備えており、装着すれば大画面のYoga Tab PlusをノートPCのようにも使えるはずだ。

キーボードを装着するスマートコネクタ。純正キーボードは1万5000円程度で、iPadの純正キーボードと比較するとかなりお買い得な価格だ。

独自AIの「Lenovo AI Now」は日本語対応に期待

 Yoga Tab Plusは「AI搭載プレミアムタブレット」と銘打たれ、直販サイトでの特徴説明はAI推しだ。独自のAIエージェント「Lenovo AI Now」アプリを搭載し、タブレットに保存したWordやPDF、テキストといった文書を読み込ませると、それらの内容を元に質問や要約、検索などに応えてくれる。

 ただ、Lenovo AI Nowは現在、日本語をサポートしておらず、読み込ませる文書も英語である必要がある。「将来、オンラインアップデートで日本語対応予定」となっているので、そのときを期待して待ちたい。

 将来的にタブレットでもAI活用は必須。また、Yoga Tab Plusは2回のメジャーOSアップデート、4年間のセキュリティアップデートに対応予定で、長く使うことを考えると高性能チップセットを搭載していることは安心感にもつながる。

 タブレットは動画視聴とサイト閲覧だけだから低スペックで十分と考えている人にも、今後を見据えてオンデバイスAIに対応できる高性能なチップセットを搭載したタブレットを選んでおく方がいいと感じる。Yoga Tab Plusは当然、選択肢の1つになるだろう。

 最初に述べた通り、iPadユーザーの筆者でも乗り換えてみようかと思わされている。やはり価格に強く惹かれているが、大画面ディスプレイのきれいさ、動画視聴の楽しさに感心したのも確かだ。

 ただ、iPadはメインで使っているiPhoneやMacと連携できる点で離れがたい。悩ましいところだ。

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