レビュー

忙しい人にこそ「OPPO Reno10 Pro 5G」、OPPOが語る新スマホと今後の戦略

 28日、オウガ・ジャパンは新型スマートフォン「OPPO Reno10 Pro 5G」を発表した。発表会ではオウガ・ジャパンによる新製品や同社の今後の戦略に関して、グループインタビューが行われた。

左=オウガ・ジャパン 齋藤氏。右=同 河野氏

新端末のターゲット、バッテリー寿命が長い秘密

――製品のターゲットを教えて欲しい。

齋藤氏
 日々の生活を忙しく過ごしている方にぜひ使っていただきたい。仕事で忙しい、子育てをされている方など。私も子育てをしているが、子育ては急に対応しないといけない。つい充電を忘れて気づけばバッテリーがない、子供と一緒に寝てしまい、朝に充電がないなどしょっちゅうやってしまう。

 そんな日々を忙しく過ごしていて、スキマ時間でいろいろなことをしたいという方にはReno10 Pro 5Gであればスキマ時間で充電できる。子供との時間や仕事、自分の時間を取れる。そういった方にぜひ使って欲しい。

――認知度はどの程度あるのか? 取り切れていない層にどう働きかけるか。

河野氏
 市場認知度はGfKによれば2023年度は69%。2022年度は61%だったので1年で8ポイント上昇。創業6年目の企業にしては非常に良い数字。Reno AシリーズでテレビCMを放映した、タレントを起用したことが多くのユーザーにささったと思う。

 まだ取り切れていないユーザーについては、ライフスタイルが多様化するなか、いろいろな方にどうリーチするのか非常に悩むところ。昨今の生活スタイルであれば、TVよりもWeb、それが正しいかというのもまだわからない状況。

 取りこぼしているユーザー認知についてはさまざまな施策を考えている。この2年間できなかった店頭でのタッチアンドトライや販促イベント復活や駅ナカ構内でのイベントなど。

――バッテリーヘルスエンジン(BHE)とはどういう仕組みなのか? 充電量をおさえて過充電にならないようにしているものか、充電用ICなどにも工夫もあるのか。

齋藤氏
 ソフトウェアで制御を行っている部分と、ハードそのものの仕組みも独自のものをつかっている。ソフトウェア制御としては、バッテリーのなかのリチウムイオンの移動を監視する仕組みがある。これにより、移動しないリチウムイオンを(正極から負極へ)移動させる(ことで充電を促す)。

 もう1点はバッテリーの電解質の配合を変えて改善している。電解液の膜を形成するが、こういったところで劣化を防ぐ仕組みがある。これにより充電サイクルを今までの約800回から1600回にした。通常の使い方ではおよそ2年で80%になるところが約4年に寿命を延ばせる。

――対策をしていてもバッテリーの劣化は起こり得る。充電しながら電話やゲームなど……。OPPO Careでは外装の破損はバッテリーの交換は明記されていない。OPPO Careの保証範囲を急速充電対応モデルに拡大することはないか?

河野氏
 我々からすれば「長く使ってもらえます」という案内をしておきながら、バッテリーの交換にも対応するというのは時期尚早かなあと……。対応機種も出始めたばかりなので、様子を数年間見て、そういった声があるようでしたら対応したい。

――ソフトバンクショップに行くと「神ジューデンスマホ」が異なるメーカーで2機種並ぶ。OPPOはどこで差別化を図るか?

齋藤氏
 我々としては「薄くて軽い」ことに重きをおいている。大容量化や高いワット数に対応すると、どうしてもバッテリーのサイズが大きくなる。女性の場合、200gを超えると重いとされるので、そういったユーザーにも選んでもらえるよう「軽い」というところで選んでもらいやすいと思う。

 28分/100%でも十分に早い。持ち運ぶものなのでさらに熱く・重くなって10分短縮するよりも薄くて軽くてもう少し(充電時間が)長いだけというのは、全体的に満足度が高くなるということもあるのではないか。そういった点でユーザーの使い方・嗜好にあったスマートフォンをお選びいただきたい。

――急速充電(80W)対応の充電器は個別に販売されるのか?

齋藤氏
 公式ECサイトで製品の発売と同じタイミングで発売される。

ポートフォリオの方向性

――ポートフォリオを見直すタイミングがなぜ今なのか? どう見直すのか?

河野氏
 世界的な感染症(コロナ禍のこと)が収束に向かっていること、認知度が満足できる数字に達したことがある。具体的な製品はこの場でお話できないがひとつのキーワードは「急速充電」。今後発表されるすべての製品で急速充電機能をなんらかのかたちで盛り込みたい。

 急速充電のニーズの高まりが1年で非常に増えてきた。日本にも急速充電対応のスマートフォンを導入していきたい。240Wの急速充電技術の特許も製品もあり、グローバルで3億人のユーザーに使ってもらっている実績がある。日本でも急速充電技術を普及させていきたい。

――ポートフォリオを変えたというわりには、今までと同じ製品が出てきた感がある。今後、ハイエンドモデルも出すのか?

河野氏
 ポートフォリオ変更についてはご指摘の通り。OPPOはReno AシリーズとAシリーズだけをやっている、というイメージが強くなっていた。しかし「いやいや違うんですよ」と。ハイエンドモデルはテクノロジーのショーケース的な側面もあり、OPPOが持っている先端技術を多くの方々に訴求していきたいと考えている。

 今後、そういった製品を出すのか? というところですがもちろん計画はある。具体的にどの製品、どのタイミングでというのはまだないが出しては行く。

――ハイエンドを出したときに「ポートフォリオを変更します」という方がわかりやすいのではないか?

河野氏
 ありがとうございます。次回(ハイエンドモデルを)出すときに「(ポートフォリオが)変わりました」と言いたいと思います。

――今回発表の製品はRino AとFindシリーズの間に位置づけられるのか?。それとももっと上位を狙うものか? 今回はおサイフケータイもあるがローカライズの方向性を教えて欲しい。

河野氏
 Rino10 Pro 5Gはハイミドルクラスに位置づけられる。ハイエンドが求められていることはわかる。ミドルクラスはRinoシリーズで展開してきており、まずはユーザーのニーズに応える製品ということで、ミドルハイクラスのRino10 Pro 5Gを日本投入することになった。

 グローバルで発表した機種に対しておサイフケータイを入れるにはどれくらいかかるかという質問をいただいた。(過去に)グローバルモデルを日本で販売する際、開発期間が足りずおサイフケータイを搭載していないとお答えした。

 今回は3カ月遅れくらいでFeliCaを搭載した。この2年間で社内努力で搭載速度が早まった。今後はもちろんすべてに搭載するかは検討する必要があるが積極的におサイフケータイ搭載スマートフォンを発売したい。

――5Gバンドのうちn79への対応はないのか?

齋藤氏
 n79への今後の対応は、対応バンドは従来の方針と変わらず、取扱販路とニーズにあわせていく。使っているMNOの状況含めて実際に製品を使っているユーザーのニーズにあわせて対応する。

 ユーザーニーズが高くないわけではない。n79はグローバル全体でも使っている場所も限られる。日本独自として対応するコストアップもある。使いやすさがどれほど上がるのかのバランスもみながら適切な自機に対応を検討する。

OSアップデートへの考え方、スマホ以外の製品の戦略

――バッテリーの寿命が伸びるとOSやセキュリティのアップデート回数も増やす必要があるのではないか?

齋藤氏
 OSとセキュリティアップデートの機会についてはニーズがあることは承知している。グローバルで何回、どれくらいの期間でやるかを調整している。決まり次第WebサイトやSNSで公表したいと思う。

――折りたたみスマホの日本における需要をどう見ているか?

河野氏
 実は我々はニーズ調査のようなものが不得手。「ニーズがあるから製品を出そう」ということではなく「ユーザーが本当に欲しいものはなにか?」を社内で議論して製品に反映している。マーケットインとプロダクトアウトのいいとこ取りのようなもので、それが我々の強み。

 OPPOの折りたたみスマホに何を望んでいるのかが大事ではないか。利便性や使い心地、機能なのか、そういうものはまだ調査中。それがはっきりすれば日本専売モデルというかたちなどで出るのではないかと思う。

――スマートフォン以外にもさまざまな機器を出していたと思うが、ここ最近はペースが落ち着いていないか? スマホ以外の機器の現状が聞きたい。

齋藤氏
 2022年からタブレットやスマートバンド、イヤホンなどをリリースしており、今後も計画はある。次期モデルの導入は計画中なのでご期待いただければ。

――タブレットに力を入れているように見える。「OPPO Pad 2」ではクラウドファンディングを用いて市場の様子を見ているようだが、今後もそういったことをしていくか?

河野氏
 ちょっと目標金額が低すぎたのでは、という話が社内でも……。そういう(様子見)ご意見になるのもいたしかたないとも思う。製品広報のための新しいタッチポイントとしてクラウドファンディングを利用したのが本音。

――Aシリーズについてはスペックと価格のバランス、もしくは価格を追求していくのか方針を聞かせて欲しい。

齋藤氏
 5Gモデルとしては「A54」と「A55s 5G」がある。もう2年が経つので、5Gモデルについても今後計画したい。

 エントリーモデルでもいかに快適に使ってもらえるか、そういうところを考慮してスペックを設定していきたい。オーバースペックで価格が上がり、ユーザーの予算と合わなくなるのはニーズにあっていない。ニーズと価格のバランスを見極めてスペックや価格を設定したい。

――メーカーの撤退も相次ぐなか、プラットフォーマーのスマホが攻勢をかけてきている。現在のスマホ市場の変化をどう見ているか?

河野氏
 メーカーの数なども10年~15年前に比べて安定している。言葉を返して言えばこれ以上進化しないのでは、とも。そのなかでいろいろなメーカーさんがおそらく、経済合理性の判断からスマートフォンの生産をやめようというかたちで撤退されているのかなと思いるが、決して好ましいとは考えていない。

 私自身ももともと非常にガジェットが好き。小さいWindowsパソコンやPCMCIAカードでPDAみたいなことも。ここ10年くらいは、たとえばゲーミングスマホやキーボード付きなどニーズを満たそうといろいろな製品が出てきて、盛り上がり結果としてスマートフォンが生活に根付いたのではないか。

 結果的には、グローバルではサムスン電子、日本で言えばアップルがシェアを取っている。ユーザーの選択肢が狭まるのは必ずしも良いことではない。我々のようなメーカーに何ができるのか。「実はみんなそういうふうには思っていなかったけど、実は欲しかった」というようなトンチが効いた製品を送り出したい。