法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

「OPPO Find N2 Flip」「OPPO Find N2」はフォルダブルの新しい選択肢になるか?

 ここ数年、スマートフォンの新しいデザインとして、「フォルダブル」が注目を集めている。サムスンやモトローラなど、グローバル市場でビジネスを展開するメーカーからフォルダブルスマートフォンが相次いで登場しているが、OPPOからもグローバル市場向けにフォルダブルスマートフォン「OPPO Find N2 Flip」「OPPO Find N2」が発表されている。

 海外向けのモデルになるが、実機を試せたので、仕上がりをチェックしながら、フォルダブルの可能性を考えてみよう。

OPPO「OPPO Find N2 Flip」
OPPO「OPPO Find N2」

折りたたみの方向性

 国内外の市場でスマートフォンが本格的に展開されてから、十数年が過ぎようとしている。当初はキーボード付きやスライド式など、ユニークなデザインのモデルも登場したが、現在はスレート状(板状)のボディのモデルに集約されつつある。

 そんな中、新しいデザインとして、各社から新製品が発売され、注目を集めているのが「フォルダブル」だ。スマートフォンはここ十数年の進化において、コンテンツなどを見やすくするため、より大きなディスプレイを搭載するようになってきたが、ボディが大きくなり、重量が増えるなど、ポータビリティが犠牲になるデメリットも見えてきた。同時に、ボディのデザインも似通ったものが多くなってしまい、各メーカーは製品の個性を発揮しにくくなりつつある。

 こうした状況に対し、ユーザーが求める「より大きな画面で使いたい」「コンパクトに持ち歩きたい」というニーズを満たすひとつの解として生まれてきたのが「フォルダブル」になる。

 フォルダブルスマートフォンの実現には、いくつかの手法がある。もっともシンプルなデザインは、狭額縁のディスプレイを搭載した2台のボディをヒンジでつなぎ合わせたもので、LGエレクトロニクスの「LG V60 ThinQ 5G」やマイクロソフトの「Surface Duo 2」などが挙げられる。LGエレクトロニクスはすでにモバイル市場から撤退したが、「Surface Duo 2」は現在も販売されており、筆者も約1年近く愛用している。

 もうひとつの手法が折り曲げられる有機ELディスプレイの特性を活かしたフォルダブルスマートフォンで、縦方向と横方向に折りたためるタイプが存在する。縦方向に折りたためるタイプは、かつてのケータイを彷彿させるデザインで、サムスンの「Galaxy Z Flip」シリーズやモトローラの「razr 5G」が販売されている。

 これに対し、横方向に折りたたむデザインの端末は、文庫本のように左右に開く形状で、サムスンの「Galaxy Z Fold」シリーズをはじめ、シャオミの「Xiaomi MIX Fold 2」やファーウェイの「HUAWEI Mate X2」(共に日本未発売)などが挙げられる。

 縦方向と横方向のフォルダブルスマートフォンについては、縦方向に折りたためる端末の方が携帯性に優れ、比較的、広いユーザー層をターゲットにしているのに対し、横方向のフォルダブルスマートフォンは開いたときの大画面を活かし、映像コンテンツや電子書籍(コミック)、ゲームなどを楽しみたいアクティブなユーザーの利用が想定されている。

 こうしたメリットがある一方、ヒンジ部分の複雑な構造に加え、ディスプレイの折り目や耐久性などを気にする声が多く、フォルダブルスマートフォンが登場したばかりの頃は、乱雑に扱われたデモ機が壊れたり、海外ではメディア向けに貸し出された端末が無断で分解されたりするなど、さまざまなトラブルが伝えられた。

 今回取り上げるOPPOのフォルダブルスマートフォンは、縦方向に折りたたむ「OPPO Find N2 Flip」、横方向に折りたたむ「OPPO Find N2」の2機種になる。「OPPO Find N2」は「OPPO Find N」に続く2代目のフォルダブルスマートフォンで、「OPPO Find N2 Flip」は今年に入って、グローバル向けに発表されたモデルになる。今のところ、いずれも国内向けに販売される予定はないが、デザインや仕上がりなどを確認するため、今回、試用する機会を得た。

 OPPOのラインアップとしては、国内向けの主力シリーズも含まれる「OPPO Reno」シリーズ、もっともリーズナブルな「OPPO A」シリーズが展開されているが、「OPPO Find」シリーズは「OPPO Find X3 Pro」をはじめ、フラッグシップモデルに位置付けられる。

 ちなみに、今回試用する製品は、いずれも国内で利用するための技術基準適合証明等(技適)を受けていないが、総務省が定める「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」に登録のうえ、試用している。あくまでも海外向けのモデルであることをご理解いただいたうえで、ご覧いただきたい。

OPPO Find N2 Flip

手のひらに収まるボディ

 「OPPO Find N2 Flip」の外観からチェックしてみよう。縦方向に開けるフォルダブルデザインのボディは、幅75.2mmで「OPPO Reno 7 A」や「OPPO Find X3 Pro」などとほぼ同程度の幅に収められている。厚さは開いた状態で7.45mm、閉じた状態で16.02mmと、ライバル製品とほぼ同サイズに仕上げられている。重さは191gで、一般的なスマートフォンと比べても特に重い印象はない。折りたたんだ状態はスクエアな形になり、持ちやすく、シャツの胸ポケットなどに入れても多少の厚みがあるものの、あまり気にならない。

OPPO「OPPO Find N2 Flip」(グローバル版)、開いた状態:約166.2×75.2×7.45mm、閉じた状態:約85.5×75.2×16.02mm、重さ:191g、Black(写真)、Purple、Goldをラインアップ
「OPPO Find N2 Flip」の本体を閉じたところ。カバーディスプレイ、メインカメラが並ぶ。カバーディスプレイには壁紙などだけでなく、オリジナルのキャラクターも表示できる。顔認証を登録していれば、閉じた状態から顔認証でロック解除をして、カバーディスプレイを操作できる

 ボディの外側はサラッとした手触りで、指紋や手の跡が残りにくい仕上げとなっている。本体の開閉は非常にスムーズで、OPPOによれば、40万回の開閉テストをクリアしているという。ライバル製品が20万回の開閉をうたっているため、約2倍の耐久性があるとアピールしているわけだ。

 ヒンジの開閉は無段階で調整でき、90度+αになると、本体が開いた状態に移行する。本体を開くと、ボディはほぼフラットになり、一般的なスレート状のスマートフォンと変わらない形になるが、カメラ部がわずかに突起しているため、机の上などに置くと、多少、カメラを内蔵した上側の筐体が浮く。

本体を開くと、背面側はカメラ部の突起を除き、ほぼフラットになる。ヒンジ部分の合わせもしっかりしている。Blackは指紋や手の跡が残りにくい仕上げ

 ボディの上筐体の右側面には、音量キーと電源キーが備えられ、電源キーには指紋センサーが内蔵されている。生体認証は指紋センサーによる指紋認証のほか、カメラによる顔認証にも対応するが、カバーディスプレイ側で操作するときの画面ロック解除にも利用できる。

本体下部にはUSB Type-C外部接続端子を備える
本体左側面にはボタン類などが何もない。ディスプレイの折り目はほぼ目立たない
本体の上筐体(右側)には指紋センサー内蔵電源ボタン、シーソー式音量キーを備える
本体下部にはピンで取り出すタイプのSIMカードトレイを備える。表裏にnanoSIMカードをはめ込み、SIMカードトレイを本体に収めるしくみ

 コンパクトなボディながら、4300mAhのバッテリーを搭載し、最大44WのSUPERVOOC Flash Charge(急速充電)に対応する。バッテリー残量がない状態から約15分で34%、約57分でフル充電が可能。耐環境性能はIPX4の防水、IP5Xの防塵に対応する。ライバル製品が防塵には非対応なので、その点はアドバンテージだが、IPX4は雨などで水滴が付いたり、濡れた手で触れたりするレベルの生活防水で、水没などは想定されていない。

業界最大クラスのカバーディスプレイ

 本体を開いたときのメインディスプレイとしては、フルHD+対応(2520×1080ドット表示)6.8インチ有機ELを採用する。明るさは標準時で500nit、ピーク時1600nitと非常に明るい。リフレッシュレートは1~120Hzで、タッチサンプリングレートは240Hzで、表示もなめらかで、タッチのレスポンスも申し分ない。ディスプレイ中央部分の折り目はライバル製品に比べ、目立たない仕上がりとなっている。

「OPPO Find N2 Flip」のホーム画面。出荷時設定ではホーム画面にアプリが並ぶユーザーインターフェイス

 端末の上筐体には、720×382ドット表示が可能な3.26インチの有機ELパネルによるカバーディスプレイを搭載する。ライバル機種もカバーディスプレイを搭載するが、「OPPO Find N2 Flip」のカバーディスプレイは、端末を閉じた状態の約半分を超える面積を占め、業界最大クラスとなる。明るさは標準時で500nit、最大900nitに対応し、タッチ操作も可能。

カバーディスプレイでも通知パネルを表示でき、Wi-Fiや機内モードなどを切り替えられる
指紋認証のほかに、顔認証にも対応。画面ロック解除だけでなく、アプリロックやプライベートフォルダへのアクセスなどにも利用可能。「目を開く必要あり」をオンにすれば、寝顔でのロック解除も防げる
カバーディスプレイに表示するウィジェットは追加したり、並べ替えたりできる
カバーディスプレイのウィジェットでタイマーが設定可能。単純に時間だけでなく、「歯磨き」や「ゆで卵」などの実際に使い道が登録されているところがユニーク
「OPPO Find N2 Flip」の折りたたみ機能の設定項目。カバーディスプレイのスタイルを選んだり、クイック返信などが設定できる

 チップセットはMediaTek製Dimensity 9000+を採用する。メモリー/ストレージは8GB/256GB、12GB/256GB、16GB/512GBの3モデルが展開される。プラットフォームはAndroid 13ベースのColor OS13がプリインストールされる。今回試用した製品は中国を含む海外市場向けの製品であるため、出荷時にGMS(Google Mobile Service)が有効になっていないものの、「設定」アプリ内で有効に切り替えられ、Googleの各サービスも利用できる。

「OPPO Find N2 Flip」のメイン画面の通知パネル。Color OS搭載の他のOPPO製スマートフォンとほぼ同じレイアウト

独自開発の画像処理チップ「MariSilicon X」搭載

 カメラはカバーディスプレイの隣に、1/1.56インチの50MPイメージセンサーのメインカメラ(F1.8/23mm相当)、1/4インチの8MPイメージセンサーの超広角カメラ(F2.2/16mm相当)を搭載する。メインディスプレイ上部のパンチホール内には1/2.74インチの32MPイメージセンサーのセルフィーカメラ(F2.4/21mm相当)を搭載する。カメラはスウェーデンの光学機器メーカー「Hasselblad(ハッセルブラッド)」との協業によってチューニングされており、画像処理チップとして、OPPOが開発した「MariSilicon X」が組み合わせられている。

背面には50MPと8MPのデュアルカメラを搭載
OPPOがはじめて独自開発した画像処理チップ「MariSilicon X」を搭載。暗所での動画撮影などに効果を発揮する

 「MariSilicon X」は2021年にOPPOが発表した独自開発の画像処理チップで、高い演算能力を可能にしながら、優れた電力効率を実現する。画像処理に特化したNPUが組み込まれているため、AIを活かしたHDRナイトビデオの撮影を可能にするなどの特徴を持つ。

 「MariSilicon X」が開発された背景には、画像処理の性能が採用するチップセットの性能に大きく左右され、カメラで撮影した写真や動画の「画作り」に差異ができてしまうことが挙げられる。

 そこで、自社の「画作り」を実現するための画像処理チップを開発し、これを組み合わせることで、OPPOならではの「画作り」を実現しようとしたわけだ。たとえば、今回の「OPPO Find N2 Flip」には米Qualcomm製Snapdragonではなく、MediaTek製Dimensity 9000+が採用されているが、「MariSilicon X」を組み合わせることで、他のOPPO製品と同様の「画作り」を可能にしている。

 カメラの撮影モードは、写真やポートレート、夜景、プロ、パノラマ、動画、スローモーションなど、一般的なモードが用意されるほか、ポートレート撮影の切り抜きを活かし、証明写真を自動的に生成する「AI証明写真」などのユニークな機能も搭載される。暗いところでの動画撮影も「MariSilicon X」の処理能力を活かし、自然な仕上がりで撮影できた。

ポートレート撮影と同じように、背景を切り抜き、証明写真を生成できる「AI証明写真」
夜の街並みと星空を撮影。中央付近の照明看板などもつぶれることなく、撮影できている
薄暗いバーで人物を撮影。背景のレンガ調の壁やセーターの質感なども自然に撮影できている。モデル:美玖空(Instagram:mic_catbroadway
いつもの薄暗いバーで撮影。背景をぼかしつつ、グラスをきれいに撮影できている

 また、「OPPO Find N2 Flip」のカメラで便利なのは、やはり、フォルダブルという形状を活かし、メインカメラでグループ撮影を含むセルフィーが撮りやすいことが挙げられる。本体を90度よりもやや狭い程度に開き、机の上などに置くと、カバーディスプレイをファインダーとして確認しながら、撮影ができる。ちなみに、カバーディスプレイは待受の状態から、「写真」「ポートレート」「動画」を選んで、カメラを起動できるため、本体を開かなくてもメインカメラで簡単にセルフィーが撮影できることになる。

カバーディスプレイからカメラを起動し、「写真」「ポートレート」「動画」のそれぞれのモードですぐに撮影ができる
カバーディスプレイからカメラを起動して、メインカメラで自撮りができる。ポートレートなどの各撮影モードも利用可能

手軽に使えて、カメラが楽しい一台

 フォルダブルスマートフォンは「折りたためる」という構造上、折りたたんだ状態では本体が厚くなり、重量も増えてしまうが、「OPPO Find N2 Flip」は折りたたんだ状態でコンパクトにまとめながら、重量も191gに抑えることで、持ちやすく、扱いやすい製品に仕上げられている。

 フォルダブルで気になる筐体の剛性感を保ちながら、ボディは開きやすく、ボディ全体の質感も良好な印象だ。実用面では3.26インチという業界最大クラスのカバーディスプレイが便利で、かつての折りたたみケータイのサブディスプレイと同じように、閉じた状態でも天気などの情報が確認でき、タイマーやアラームなどの機能が起動できるほか、カメラを起動してセルフィーを撮影したり、動画などを視聴したりできる。

 価格は為替レートなどが関係するため、ひとつの目安でしかないが、もっともリーズナブルなモデルが約12万円台から購入できるとしている。

パッケージにはUSBケーブル、電源アダプタ、クリアタイプのカバーが同梱される。カバーは上下の筐体にそれぞれ装着する仕様

OPPO Find N2

コンパクトで持ちやすいボディ

 次に、「OPPO Find N2」についてもボディから順にチェックしてみよう。「OPPO Find N2 Flip」が縦方向に開くフォルダブルスマートフォンであるのに対し、「OPPO Find N2」は本体を横方向に開く、言わば「ブック型」のようなデザインのフォルダブルスマートフォンになる。同様のデザインのスマートフォンは、国内でサムスンが「Galaxy Z Fold」シリーズを展開しており、筆者自身も昨年発売の「Galaxy Z Fold4」を愛用している。

 基本的なデザインとしては、同じ横方向に開くフォルダブルスマートフォンだが、実機を手に取ると、「OPPO Find N2」は「Galaxy Z Fold」シリーズに比べ、手軽に使える印象を得た。まず、ボディを閉じた状態は幅72.6mm、高さ(長さ)132.2mmで、厚さを除けば、ややコンパクトなスマートフォンと変わらないサイズ感だ。重さはボディカラーの仕上げの違いによって、わずかに違うものの、233gと237gに抑えられており、思ったほどの重量感はなく、ちょうどいい持ちやすさで扱いやすく感じられた。

OPPO「OPPO Find N2」(グローバル版)、開いた状態:約132.2×140.5×7.4mm、閉じた状態:約132.2×72.6×14.6mm(厚さ)、重さ:233g(Black、GreenとWhiteは237g)、White(写真)、Black、Greenをラインアップ
本体を閉じた状態の右側面。右側の筐体には指紋センサー内蔵電源ボタン、シーソー式音量キーを備える。端末を閉じた状態でも開いた状態でも右側に位置する
本体下部にはUSB Type-C外部接続端子を備える。左右の筐体の合わせ部分、ヒンジ付近もきれいに仕上げられている
本体下部にはSIMカードスロットを備える。SIMカードトレイの表裏にnanoSIMカードをはめ込み、SIMカードトレイを本体に収めるしくみ

 本体の開閉はスムーズで、「OPPO Find N2 Flip」同様、約40万回の開閉テストをクリアしているという。ボディを開くと、約45~125度の範囲で固定できる仕様になっており、机の上に置いて、コンテンツを楽しんだり、外側のカメラで撮影できる。本体を開くと、ディスプレイ側はほぼフラットになるが、反対側はカメラ部が突起しているため、机の上などに置くと、カメラ部側の筐体(横開きで右側の筐体)が少し浮く形になる。

背面は指紋や手の跡が目立たない仕上がり。カメラ部の突起もボディ側から盛り上がるような仕上げで、突出した感触はあまりない

 バッテリーは4520mAhの大容量バッテリーを搭載しており、最大67WのSUPERVOOC Flash Charge(急速充電)に対応する。バッテリーがない状態から約10分で37%、約42分でフル充電が可能。耐環境性能については特に表記がないため、防水防塵などに非対応の一般的なスマートフォンと同レベルと推察される。

迫力ある映像を楽しめる7.1インチディスプレイ

 本体を開いたときのメインディスプレイは、フルHD+対応(1920×1792ドット表示)7.1インチ有機ELを採用する。明るさは標準時500nit、HDR時1200nit、最大1550nitで、非常に明るい。

「OPPO Find N2」のホーム画面。出荷時設定ではホーム画面にアプリが並ぶユーザーインターフェイス

 リフレッシュレートは1~120Hzで、タッチサンプリングレートは480Hzで、現状ではもっともハイスペックな仕様となっている。ディスプレイ中央部分の折り目も気にならないレベルで、独自の保護フィルムにより、ディスプレイの反射も抑えられている。メインディスプレイの対角サイズは業界トップクラスであり、映像コンテンツを迫力ある大画面で楽しめるだけでなく、画面を分割表示することで、複数のアプリを同時に使える。

メインディスプレイのリフレッシュレートは可変式で、最大120Hzの「高」と最大60Hzの「標準」から選べる
「OPPO Find N2」のメイン画面の通知パネル。Color OS搭載の他のOPPO製スマートフォンとほぼ同じレイアウト
メインディスプレイは二本指で上下にスワイプすると、画面分割モードに移行できる
フレックスフォームスペースを有効にすると、前回終了した位置から再開が可能

 本体を閉じた外側には、2120×1080ドット表示が可能なフルHD+対応5.54インチ有機ELディスプレイを搭載する。明るさは標準時500nit、HDR時1000nit、最大1350nit。リフレッシュレートは1~120Hzでなめらかさと省電力性能を両立し、タッチサンプリングレートは480Hzとなっている。

本体を閉じた外側にはカバーディスプレイを備える。多少、ボディの厚みがあるものの、このままの状態でも通常のスマートフォンと変わらない感覚で操作できる
「OPPO Find N2」のカバーディスプレイのホーム画面。コンパクトなスマートフォンのホーム画面と大きく変わらない感覚で操作できる
「OPPO Find N2」のカバーディスプレイのメイン画面の通知パネル。基本的にはメイン画面と変わらないレイアウト
スマートフォンのカーナビゲーションのように利用できるドライビングモードがサポートされる

 フォルダブルスマートフォンはメインディスプレイの大きさが注目されがちだが、実際に使ってみると、端末を開かず、カバーディスプレイを操作するシチュエーションが多く、筆者も「Galaxy Z Fold 4」を開かずに操作することが多い。

 「Galaxy Z Fold4」は端末を閉じた状態の幅が67.1mmとスリムである半面、ソフトウェアキーボードの表示サイズが少し狭く、QWERTY配列のキーボードを表示すると、ミスタイプをしてしまうことも少なくない。もちろん、筆者の指先が太いことも関係しているが……。

 その点、「OPPO Find N2」は端末を閉じた状態のボディ幅が72.6mmで、ソフトウェアキーボードも少し広く表示されるため、ライバル機種よりもタイプしやすいとも言えそうだ。

 チップセットは米Qualcomm製Snapdragon 8+Gen1を採用。メモリー/ストレージは12GB/256GB、16GB/512GBの2モデルが展開される。プラットフォームはAndroid 13ベースのColor OS13がプリインストールされる。GMS(Google Mobile Service)の対応は「OPPO Find N2 Flip」と同様で、「設定」アプリ内で有効/無効を切り替えられ、有効にすれば、Googleの各サービスも利用できる。

「設定」アプリ内で、Googleモバイルサービス(GMS/Google Mobile Service)を有効に切り替えられる

背面にトリプルカメラを搭載

 背面にはメインとして利用するトリプルカメラを搭載する。構成としては、1/1.56インチの50MPイメージセンサーのメインカメラ(F1.8/24mm相当)、1/2.74インチの32MPイメージセンサーの望遠カメラ(F2.0/47mm相当)、1/2インチの48MPイメージセンサーの超広角カメラ(F2.2/14mm相当)を搭載する。メインカメラは光学手ぶれ補正が搭載される。

背面にはトリプルカメラを搭載する。カメラ部の周囲はパーツで覆われているため、レンズ部の突起はそれほど大きくない

 カバーディスプレイ上部のパンチホール内とメインディスプレイ左上のパンチホール内には、1/3.14インチの32MPイメージセンサーのセルフィーカメラ(F2.4/22mm相当)をそれぞれ搭載し、カメラを切り替えたときには位置を把握させるためにパンチホール付近にアニメーションが表示される。「OPPO Find N2」のカメラもスウェーデンの光学機器メーカー「Hasselblad(ハッセルブラッド)」との協業によってチューニングされており、画像処理チップとして、OPPOが開発した「MariSilicon X」を組み合わせる。

 撮影モードは写真やポートレート、夜景、プロ、パノラマ、動画など、「OPPO Find N2 Flip」とほぼ共通で、ポートレート撮影の切り抜きを活かし、証明写真を自動的に生成する「AI証明写真」も利用できる。

ホテルの窓ガラス越しに夜景を撮影。山の木々も再現しつつ、街の建物やライトアップされた右側のパークもきれいに撮影できている
いつもの薄暗いバーで撮影。暗い中でもグラスや氷の輪郭をしっかりと撮影できている

 撮影については、フォルダブルの特徴を活かし、本体を机などに置き、端末を少し開いた状態で撮影する「FlexForm」と呼ばれるスタイルでの撮影が便利だ。

コンパクトで持ちやすい横開きフォルダブル

 当初、フォルダブルスマートフォンは二画面のモデルなども含め、横開きのモデルが注目を集めていたが、ここに来て、かつてのケータイのような縦方向に開くフォルダブルスマートフォンにも注目が集まっている。

 その背景には横開きのフォルダブルスマートフォンがどちらかと言えば、ボディサイズが大きく、「ヘビーユーザー向け」のような印象を持たれている部分がある。そんな中、ここで取り上げた「OPPO Find N2」はコンパクトなボディサイズで横開きフォルダブルを実現しており、「Galaxy Z Fold」などとは少し違った方向性が感じられた。

 全体的な仕上がりは非常に美しく、筐体の剛性感もあり、開閉時の動きもスムーズで、かなり完成度の高いモデルという印象を得た。価格は為替レートなどで変わってきてしまうが、20万円を切る程度で販売されているとのことで、ライバル機種との価格競争も激しさを増しているようだ。

パッケージにはUSBケーブル、電源アダプタ、 左右の筐体に装着するカバーが同梱される。左のカバーははめ込む形だが、右側の枠は裏側の両面テープで貼り付けるフレームのような形状

「フォルダブル」はスマートフォンの新しい道を切り開けるか?

 今回はOPPOがグローバル向けに展開するフォルダブルスマートフォン「OPPO Find N2 Flip」と「OPPO Find N2」の2機種を取り上げたが、ここ数年、グローバル市場ではこれらの製品以外にも各社から相次いでフォルダブルスマートフォンが登場し、注目を集めている。

 かつてのケータイがiモードなどのコンテンツサービスの充実によって、ストレート型から折りたたみデザインへとトレンドが移行したように、スマートフォンも今後、ストレート状のボディからフォルダブルスマートフォンへと拡大し、新しい利用スタイルが生まれてくるのかが非常に注目される。

 今回の2モデルは今のところ、国内市場への展開が計画されていないとのことだが、グローバル市場でビジネスを展開するメーカーだからこそ、日本市場にも魅力的でチャレンジングな端末を投入して欲しいところだ。ぜひ、次期モデルでの展開を期待したい。