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大型連休で久々の海外旅行! な人に届ける、キャリア・契約別の「海外モバイル通信方法」まとめ

 各国とも移動の規制がほぼなくなり、今年の大型連休は久しぶりに海外旅行に出かけるという人も多いはず。そこで気になるのが、海外でのモバイル通信です。

 実はここ数年、ahamoや楽天モバイルのように海外ローミングでのモバイル通信が無料だったり、eSIMサービスの普及などがあり、海外でのモバイル通信手段が以前とは変わってきています。そこで今回は、通話プランをメインに、通信キャリアや契約内容別にオススメの海外モバイル通信方法をお伝えします。

NTTドコモ

 NTTドコモのいわゆるメインプラン「5Gギガホ プレミア」や「5Gギガライト」、「ギガホ プレミア」、「ギガライト」を契約しているユーザーは、そのままの回線を海外ローミングで使用する「パケットパック海外オプション」がオススメ。料金プランは「1時間プラン/200円」から「24時間プラン/980円」、最長は「7日間プラン/5280円」となっています。

「パケットパック海外オプション」の料金表

 使い方は、海外に到着したらスマートフォンの設定からローミングをオンにします。あとはWebブラウザでどこかのサイトにアクセスするか、公式アプリ「ドコモ海外利用」を起動させると、利用したいプランを申し込めるようになっています。詳しい設定方法なども「ドコモ海外利用」でチェックできるので、あらかじめインストールしておきましょう。

 ただし国によって提供しているプランが異なるので注意。たとえば「カタール」は24時間/980円のプランしか提供していません。約60ヶ国は複数プランを提供しているので、メジャーな渡航先は複数のプランから選択可能ですが、渡航前にあらかじめ訪問する国がどのプランに対応しているかチェックしておきましょう。

 また「パケットパック海外オプション」は、あらかじめ申し込みが必要です。無料なので基本的には契約時に申し込みをしているケースは多いですが、「My docomo」からサービスを申し込んでいるかどうか確認できるので、気になるユーザーはチェックしておきましょう。

カタールは24時間/980円のプランのみ

 利用できるデータ量は「5Gギガホ プレミア」と「ギガホ プレミア」は30GBまでで、データ量が超過すると当月末まで1Mbpsの通信速度になります。

 「5Gギガライト」と「ギガライト」は最大7GB(国内で使用するぶんと併用)までですが、指定したデータ量でストップする「ギガプラン上限設定オプション」を設定している場合は、その指定した上限までとなります。また、データ量が超過すると当月末まで128Kbpsの通信速度になります。

ahamoの場合

 メインプランではなく「ahamo」を契約している場合は、海外ローミングでのモバイル通信利用は無料。海外に到着したらローミングをオンにするだけで利用できます。

 データ量は国内で使用する20GBを併用します。超過すると128kbpsの通信速度になりますが、契約月が変わると20GBに戻ります。ただし最長で15日間までで、それ以降は月が変わっても日本に帰国するまで通信速度はもどりません。

ahamoは海外ローミングでのデータ通信は無料

 ちなみに100GBの「大盛りオプション」加入中でも、海外ローミングで利用できるのは20GBまで。また対応国は82カ国とやはりメジャーな渡航先はカバーしていますが、たとえば、日本からの観光地として人気のドバイがあるアラブ首長国連邦は非対応なので注意です。

KDDI

 KDDIの場合、auとUQ mobile、povo1.0は「世界データ定額」が利用可能。通常は980円/24時間という料金ですが、日本出発前に申し込むことで割引となる「早割キャンペーン」が利用可能です。

 「早割キャンペーン」は利用する地域によって料金が2種類あり、「早割キャンペーン 490円/24時間」はハワイ、アメリカ(本土)、アメリカ(アラスカ)、カナダ、韓国、台湾、マカオ、タイ、プエルトリコ、米領バージン諸島が対象。

「早割キャンペーン 490円/24時間」の対象エリア

 もうひとつの「早割 690円/24時間」は159の国と地域に対応しており、メジャーな渡航先はカバーしています。

 事前予約は、公式アプリの「世界データ定額」から行います。入力項目は、利用する国や地域に加えて、利用開始日時と利用コースを1日から30日まで選択します。注意したいのが、複数の国を周遊する場合。

 「早割キャンペーン 490円/24時間」の対象国だけ、もしくは「早割 690円/24時間」の対象国を周遊する場合は、到着時の利用地域を登録すればオーケー。

 ただし「早割キャンペーン 490円/24時間」と「早割 690円/24時間」を混在させて周遊するケースでは、「早割キャンペーン 490円/24時間」の国や地域でも「早割 690円/24時間」の料金となる。

 さらに事前登録時に利用開始もしくは利用終了する国や地域として、どちらか一方を「早割 690円/24時間」に設定しておく必要があります。その設定をしておかないと、「早割キャンペーン 490円/24時間」のみの登録の場合、「早割 690円/24時間」のエリアでは通常料金と同じ980円/24時間となってしまいます。

対象エリアを混在させて周遊する場合は、設定する国に注意する

 利用できるデータ量はメインプランの「使い放題MAX」の場合、プランごとに違っており、最小は「使い放題MAX 5G・使い放題MAX 4G」で30GB。最大は「使い放題MAX 5G ALL STAR パック」の80GBとなっています。

 そのほかメインプランの「(旧)auピタットプラン」や「スマホミニプラン 5G/4G」、UQ mobile、povo1.0は、それぞれ契約しているデータ量まで。超過した場合は128Kbpsに速度制限されます。

 そのほかの使い方は、基本的にはNTTドコモと同じ。そもそも海外ローミングサービスを申し込んでいるかどうかなどは「My au」でチェックでき、そのほか設定などは公式アプリの「世界データ定額」で確認できます。

 KDDIのプランの中で、唯一「povo 2.0」だけは本稿掲載時点(4月24日)、海外でのオトクなローミング通信サービスは用意されていません。「povo 2.0」のユーザーは、後述する別回線を用意する方法を使いましょう。

ソフトバンク

 ソフトバンクは2022年7月から、「海外あんしん定額」の提供をスタート。ソフトバンクのメインプランをはじめ、ワイモバイル(Y!mobile)、LINEMO(ラインモ)でも利用可能です。

 「海外あんしん定額」には「定額国L」と「定額国S」そして「飛行機・船」と3つのプランがあります。ですが、定額国Sは対象国が21ヶ国かつメジャーな渡航先は少なく、24時間/1MBが1980円からとかなり割高。飛行機・船も1時間/50MBで980円からと同じく割高なので、利用するのは現実的ではありません。

 「定額国L」は180以上の国や地域に対応しており、大概の渡航先で利用可能。基本料金は24時間/1GBが980円と72時間/3GBが2940円だが、現在キャンペーン中でそれぞれ24時間は3GB、72時間は9GBに増量しています。

「海外あんしん定額L」の料金プラン

 利用できるデータ量は国内利用ぶんとは別にカウントされるので、国内向けのデータ量を気にせず使えるのはうれしいポイント。

 使い方は、海外に到着したらローミングをオンにし、Webブラウザでなにかしらのサイトにアクセスすると、申し込みサイトに遷移するので、プランを選ぶだけ。ただし事前に「海外あんしん定額」の申し込みが必要なのは、ほかのキャリアと同じ。

 1年前に登場したサービスのため、以前の「海外パケットし放題」を契約したままというケースも多いので、渡航前に「My Softbank」や「My Y!mobile」などからチェックしておこう。

 ちなみにソフトバンクのメインプランのみ、「アメリカ放題」が利用可能。そのため渡航先がアメリカなら、ローミングをオンにするだけで追加料金など不要でモバイル通信ができます。

ソフトバンクのメインプランなら、アメリカ放題が使える

楽天モバイル

 楽天モバイルは海外ローミングでのデータ通信は無料で、2GBまで通信可能。データ量は国内使用ぶんと同じカウントとなり、データ通信量を超過した場合は128kbpsに速度制限されますが、1GB/500円でデータチャージができます。

2GBまでなら無料で海外ローミングでの通信ができる

 対応する国と地域は69ヶ国と、他の通信キャリアと比べるとやや少なめですが、日本からの観光客が多い主要な国は網羅しています。

 利用方法は、海外に到着したらローミングをオンにするだけ。ただしあらかじめ「my 楽天モバイル」の「プランに含まれるオプションサービス(国際)」をオンにしておく必要があります。

MVNO

 MVNOの場合、オトクな海外ローミングサービスを提供しているキャリアは少なく、基本的には別の手段を用意する必要があります。コスト的にオトクなのは、現地通信キャリアのプリペイドSIMを購入する方法です。

 たいていの空港には現地通信キャリアや代理店のカウンターがあり、プリペイドSIMが手軽に購入できます。料金プランは国によって変わりますが、東アジアや東南アジアは比較的リーズナブルです。

台北・桃園空港にある通信キャリアのカウンター

 ただし最近は海外でも利用者登録が厳格化しており、購入に時間がかかることも。空港以外の店舗では海外からの旅行者には対応してくれないこともあります。またツアーでの旅行ではグループでの移動になるため、自分の都合で空港に滞在するのが難しいといった場合もあります。

 そういったケースでオススメなのが、eSIMを使った海外ローミングサービスです。最近のスマートフォンはキャリア版も含めてeSIM対応モデルが増えてきているので、まずは自分の端末がeSIMに対応しているかチェックしてみましょう。

 eSIMの場合、海外の通信キャリアが旅行者向けに提供しているケースは意外に少なく、「Ubigi」や「Airalo」など、MVNOとして各国での海外ローミングにマルチに対応しているサービスが使いやすく便利です。

アプリから手軽に海外で利用可能なeSIMの登録できる「Ubigi」

 ただし、これらのeSIMサービスも対応国によって料金に差があります。そこでどのMVNO海外ローミングサービスが安いのか、横断的に検索できるサイトでチェック。「esimdb」「eSIMradar」といったサイトでは、渡航先の国やエリアを選ぶと、対応しているeSIMサービスが料金順に一覧で表示されます。

 使いたいデータサイズや利用日数でフィルタリングもできるので、自分の利用スタイルや旅程に会わせて、いちばんオトクなeSIMサービスがすぐに探し出せます。

esimdbでの検索結果
eSIMradarでの検索結果

 あとは、そのeSIMサービスの公式アプリをインストールして、アカウントの登録や必要なプランを購入すれば、eSIMの登録が完了し海外でモバイル通信が行えるようになります。詳しい利用例は、本誌で石野純也氏が「Airalo」の使い方をリポートしているので、そちらも参照してみてください。

 最後は、海外でも使えるモバイルルーターをレンタルする方法。数年前までは定番ともいえる海外通信の方法ですが、前述のように日本の通信キャリアでのローミングがかなり低価格化しているため、そこまで料金的にオトクとは言えません。

日本の通信キャリアの料金が低価格化しているため、モバイルルーターはひとりで借りるには割高な傾向

 ただし複数人で共用するといった使い方ならコストを抑えられます。家族旅行などグループが離れることなく移動・滞在するといったケースなら、レンタルのモバイルルーターも選択肢の1つになるでしょう。