レビュー

バルミューダ「BALMUDA Phone」のカメラを試す――「料理モード」の実力は?

 個性的な家電をリリースし注目を集めるメーカー「BALMUDA」。同社の扇風機やトースターなどを目にしたことがある人も多いだろう。

 先日、その「BALMUDA」が満を持してスマートフォンを発売した。新ブランド「BALMUDA Technologies」からリリースされた端末は、そのデザインと性能、そして価格が大きなニュースとなった。そして最近では技適問題で耳目を集めている。

 今回はこのAndroidスマートフォン「BALMUDA Phone」のカメラ性能を試してみた。外観のレビューなどは本紙別記事を参照してほしい。

iPhone 3G / 3GSのような丸みのあるボディ

 「BALMUDA Phone」を手に持つと懐かしい感じがする。そう、10年以上前に発売されたアップルのiOS機「iPhone 3G」「iPhone 3GS」を手にした時の感触がよみがえるのだ。背面の丸くカーブを描いたフォルムが似ているからである。サイズ感と表面の仕上げが異なるが、過去に使ったことがある人ならば「あぁ」と思うことだろう。

 大きさは手にちょうど収まる感じでちょうどいい。ただ画面サイズ(4.9インチ)とのトレードオフなので好みが分かれるかもしれない。

注目のカメラスペックは?

 さて肝心のカメラだが、4800万画素のシングルカメラとなっている。記録画素数は1200万画素。同社のWebサイトにはこのように記されている。

 背面カメラの最大記録画像サイズは1,200万画素です。4つの画素を1つに束ねることで、1画素あたりの光量を増やし1,200万画素の明るくきれいな写真を撮れます。4,800万画素で撮影することはできません。

 近ごろのトレンドにのっとって、4つのピクセルを1つとして扱い、画質などの向上を狙った形である。

 カメラの起動はスムーズ。電源と指紋認証を兼ねたボタンをダブルクリックするだけだ。ポケットの中でも即座にカメラを起動させることが可能なのでなかなかよい。

 しかし問題なのは起動後である。すべての動作が緩慢なのだ。まずシャッターのレスポンスが遅い。シャッターチャンスだと思ってシャッターボタンに触れても、実際にシャッターが切れるまでワンテンポ、いやツーテンポ遅れるのだ。その間に被写体が移動してしまうこともしばしば。

 スナップショットはちょっと苦手な感じ。またカメラモードの切り替えや設定をするのもスローで、ほかのスマートフォンからスイッチすると戸惑うことだろう。

限定されたカメラ機能

 「BALMUDA Phone」はシングルカメラとあって、カメラの切り替えがなく機能は限定的だ。

 撮影モードは「ムービー」「フォト」「料理」「人物」「夜景」で、端末による自動判別はなく、撮影者が自分で選択する必要がある。また設定画面も項目が少なくとてもシンプルだ。迷う心配がないくらいあっさりしている。

カメラ起動時の画角
最大デジタルズーム時の画角

ウリの料理モードはいかに?

 「BALMUDA」の製品というと、スチームトースターやオーブンレンジ、コーヒーメーカー、炊飯器など「味」に対して熱心なメーカーというイメージだ。

 この「BALMUDA Phone」も例外ではない。前述のように「料理」モードを備えているからだ。

 使うのはカンタン。メニューから「料理」を選んでシャッターボタンを押すだけだ。彩度と明るさがアップし、鮮やかで盛った写真が得られる。仕上がりはやや派手めに感じる。

 この機能は発売初期時からソフトウェアアップデートによって描写が改善している。

小料理屋での大和芋の磯部焼き。露出が1段ほどあがり彩度も鮮やかに
駅そばの鴨肉そば。露出オーバーになりすぎて、ディテールが失われ気味
牛丼店でのハンバーグ。かなり明るく撮れ、ビビッドな印象になった

実写

 それでは「BALMUDA Phone」を持って、ブラブラと実写した感じをお伝えしよう。

 シャッタータイムラグがあると書いたが、それを少なくするには、シャッターチャンス前にシャッターボタンを押し、いい瞬間にボタンから指を離すという技が使える(そう、昔のiPhoneのように、である)。お試しあれ。

街角にあったフラワースタンドを撮った。撮影時の影響では「なんかイマイチだな」と感じたが、「Google フォト」に吸い上げてパソコンで見るといい印象に。見た目よりやや鮮やかに仕上がった
順光でのやや遠景の描写はいい。16:9 モードで撮ったが、広がりと自然な色再現が気に入った
日陰に停まっていた外国のミニバンを撮った。コントラストがやや低い印象で、画面右下部分の流れが気になった
太陽が正面頭上にあり半逆光での遠景は苦手のようだ。眠い描写となりメリハリが感じられない。こういうシチュエーションは避けた方がいいかもしれない
「夜景」モードを備える「BALMUDA Phone」だが、設定画面に入ってモードを切り替えるのが面倒である。レンズはF1.8と明るいのでそのままでもだいたいのシーンはイケるはず。しかし最新スマートフォンのHDR機能を知っていると物足りない仕上がりに感じる
ほかのスマートフォン同様に強烈な点光源は苦手である。太陽の周りのフレアや、木の部分に出た球状のゴーストが気になるところだ。可能であればフレーム内に入るのを避けたいものだ
露店の商品を撮った。画面が小さいので撮影時にピントが合っているか判別しづらいのが「BALMUDA Phone」の残念なところ。近接時には何枚か距離を変えて撮影するのが無難である。周辺部の流れが気になった
浜辺の風景を「BALMUDA Phone」で。近景から遠景まで、まずまずの写りとなった
鎌倉の海を撮ったカットだがいい塩梅の仕上がりに。画面内の明るさ分布が功を奏した感じか。欲を言えば高性能なHDR機能が欲しいところである。そうすればよりヒトの見た目に近い仕上がりになるだろう
東京国際フォーラムを4:3モードで。やや線が太い描写である。SNSなどにアップするのであれば問題ない写りに感じる

まとめ

 いろいろと話題を集める「BALMUDA Phone」だが、そのフォルムのおかげでホールド感は悪くない。

 しかしカメラのレスポンスが問題である。上にも書いたが「シャッターチャンス前にシャッターボタンを押し、いい瞬間にボタンから指を離す」という技を使わないと、狙ったタイミングでの撮影は難しい。

 また画質だが、最新スマートフォンの絵を見慣れた人には物足りなく映るのは間違いない。AIによるアシストやスマートHDRによる画質に日ごろ触れていると「昔懐かしい画質」に感じてしまう。

 購入の際は、実機を操作して動作スピードと画質を体感してからの判断をオススメしたい。

SoftBankオンラインショップ
「BALMUDA Phone」の情報をチェック