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SIMロック解除義務化がスタート、気をつけたいポイントは?

 5月以降に発売される新機種は原則、SIMロックを解除する――いわゆるSIMロック解除の義務化がいよいよスタートした。

 新ルールでは、「購入から180日間、解除できない」「Webでの手続きは無料」といった仕組みも導入されたほか、キャリアによって細かく異なる点がある。また実際に利用する際には注意したいポイントもある。キャリアごとの細かな手順は、過去に掲載した本誌記事をご覧いただきたいが、今回はこれまで明らかにされている情報から知っておきたい点を紹介する。

利用の手順は?

 SIMロックの「SIM」とは、ユーザーの契約情報などが書き込まれた、ICチップ付きのプラスチックカードのこと。SIMカードは携帯各社から発行されており、A社から発売された携帯電話はA社のSIMカードだけ使える、という仕組みが「SIMロック」だ。

 SIMロックの解除自体は、これまでもNTTドコモのAndroidなど一部では可能だった。大まかな流れは、「ユーザーの持っている端末で解除できるかどうか調べる」→「ネットか店頭で申し込む」→「新しい回線のSIMカードを用意しておき、SIMロックを解除した端末に装着する」ということになる。新しい回線でデータ通信を行う際には、きちんとAPN(接続先情報)の設定などが必要となる。

 料金はWeb上で手続きする場合は無料、店頭では3000円(税抜)。ただしドコモから今年4月末までに発売された機種は、旧来のルールで運用され、店頭でのみ手続きでき、料金は3000円となる。

注意したい3つのポイント

 SIMロック解除で注意したいのは、「対象機種」「対応周波数」「解約後の手続き」というところだ。

 まず対応機種については、各社ともWebサイトで公開。対応周波数も、対応機種が登場するごとにWebサイトを通じて開示される。たとえばソフトバンクモバイルは、22日時点では対応周波数が明らかにされていないが、対応機種の発売にあわせて開示していくという。

 対応周波数一覧ページを現時点でまとめているのはau。発売済の対応機種が「Galaxy S6 edge」だけのため、現時点では少し寂しいが、調べる際にもたどり着きやすく、ユーザーフレンドリーな取り組みだ。一方、面倒なのはNTTドコモで、対応周波数の一覧が現時点ではない。もし海外で利用できるかどうか調べる場合は、ドコモの海外ローミング関連の情報をまとめたページで、機種名から滞在先で利用できるかどうか調べる、という流れになるという。

 なお、国内の携帯電話の電波については、携帯各社がどの周波数を使っているか、総務省が開示している。

総務省のまとめた携帯各社のLTE用周波数帯
総務省のまとめた携帯各社の3G用周波数帯

解約後の手続き

 5月1日以降で発売される機種のうち、そもそもSIMロックを解除できるのは、180日(ドコモは6カ月)経過したものとされている。その上で、回線を解約した場合はどうなるのか。

 回線を解約した場合、SIMロックを解除できるのは、ドコモの場合「解約日から3カ月以内」、ソフトバンクの場合「解約日から90日以内」としている。auは、そうした日数の制限はなく、たとえば中古端末を購入した場合では、auが販売した対象機種であればSIMロックを解除できる。

その中古端末、SIMロック解除されてる?

 SIMロック解除が義務化されることで、期待されるのは中古端末の流通量が増える、ということだろう。そこで、将来的に中古端末を購入する場合は、SIMロックが解除されたものかどうかと言う点も気にする人も出てくるはず。義務化が始まったばかりの現在、そのあたりを判別する方法があるのだろうか。

 auでは、システムを構築して、SIMロックが解除されているかどうか確認できるWebサイトを提供する方針。現時点ではまだSIMロックが解除できない時期のため、今後、提供していく形となる。

 一方、ソフトバンクモバイルは現時点で、そうしたチェックの仕組みを用意する予定はないとのこと。ドコモについては、ネットを通じて確認する方法はないが、ドコモショップでは判別できるとのこと。今後、ネットで確認する方法を提供するかどうかは未定とのことだが、ユーザーの動向・要望を見ていくという。

端末が故障したら?

 各社いずれも、SIMロック解除後であっても故障時には窓口で受け付ける、と案内している。

メリットとデメリットは?

 SIMロックを解除することで、手持ちの端末をどこの回線でも利用できるようになる。auから発売されたスマートフォンをドコモ系のMVNOで利用する、といったことが可能になるわけだ。

 これにより、中古端末の流通が活発になることが期待される。実際に効果が出るのは、解除できるようになる半年後、ということになり、その数が増えるのは割賦を払い終えてから、ということになる可能性もある。この夏の間は、まだまだメリットらしいメリットは体験できないだろう。

 一方、キャリア固有のサービスとして提供されていたようなアプリケーション、サービスについては、回線を切り替えた後も使えるかどうかわからない。そのあたりは実際に使ってみてどうなるか、といったところで、携帯キャリア側で動作確認を行わない見込み。
 ただ、緊急地震速報を含む、緊急速報メールについては、TCA(電気通信事業者協会)が4月28日に公開した文書によると「今後も引き続き事業者間で検討を継続」とされている。半年後、SIMロック解除が実際に行われるようになるころには、何らかの解決策が提示されていることを期待したい。

関口 聖