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胸ベルト不要で高精度な心拍トレーニングができる「WristableGPS」の新製品

活動量計「PULSENSE」などウェアラブルデバイス4モデルを発表

 エプソンは2日、腕時計型ウェアラブルデバイス、GPS Sports Monitor「WristableGPS」の新製品として「SF-810」シリーズと、活動量計「PULSENSE(パルセンス)」の「PS-500B/PS-100」シリーズを発表した。

左から元Jリーグ選手の片山真人氏、加圧トレーニングインストラクターの鈴木莉紗氏、エアラン東京ランニングクラブ代表の田中正直氏

 スポーツ向けの「SF-810」シリーズは、本体カラーにブラックとブラック/バイオレットの2色を揃え、10月17日に発売する。価格はオープンプライスで、想定価格は3万7800円(税抜)。

「WristableGPS SF-810」

 活動量計「PULSENSE」シリーズは、液晶モニター付きの「PS-500B」(ブラックのみ)と液晶モニターのない「PS100B/T」(ブラック/ターコイズ)をラインナップし11月6日に発売する。価格はオープンプライスで、想定価格は「PS-500B」が1万9800円(税抜)、「PS100B/T」が1万4800円(税抜)。

「PULSENSE PS-500B」
「PULSENSE PS-100B/T」

運動ノイズを軽減した「WristableGPS SF-810」

 SF-810は、エプソンが昨年から販売している「WristableGPS」シリーズのフラッグシップモデルに位置づけられる。GPSを搭載し、走った距離・速度を自動で測定できる。ランニング後にWebアプリ「NeoRun」を使ってスマートフォンやパソコンに記録・保存が可能。よりよい運動強度を数値で管理することができる。

 前モデルから進化した点は、脈拍測定が本体のみで可能になったこと。前モデルやこれまでの一般的な脈拍測定端末は、本体の他に胸ベルト(ハートレートモニター)を装着する必要があった。これを不要にしたことで、装着する手間や不快感を感じることなく、心拍トレーニングを始められるようになった。

 胸ベルト不要を実現するために、「脈拍センサー」を本体に搭載している。脈拍センサーは手首の血管にLED光を照射し、血中のヘモグロビンが光を吸収する性質を利用して、血流の変化で脈拍数を計測するというもの。これにより運動ノイズを軽減し、胸ベルト着用での計測結果と、±2%以内の精度を実現しているという。発表会では、技術解説ムービーでそのしくみが紹介された。

 GPSは、国産準天頂衛星「みちびき」に対応するエプソン独自の高精度チップをこれまで通り搭載しており、高精度な測位が可能。高速サーチと、GPS測位完了前でも計測が開始できる「スキップ機能」も備えている。

 毎秒計測する脈拍とGPS測位が20時間連続稼働する点も特長。長距離マラソンなどにも余裕をもって利用できるようになった。このほか、小型化・軽量化も実現している。

 液晶モニターへの表示内容は、距離・ラップ距離・予想到達距離、ペース・ラップペース・平均ペース、スピード・ラップスピード・平均スピード、スプリット・ラップタイム、ピッチ・ラップピッチ・平均ピッチ、ストライド・ラップストライド・平均ストライド、歩数・ラップ歩数、消費カロリー、標高、勾配、累積上昇高度、累積下降高度、HR(心拍数)・ラップHR・平均HR・最大HR、ガイドタイム、ガイド距離。

 本体の厚さは14.2mm、重さは52g。5気圧(水深50m)の防水性能を備える。連続動作時間は時計表示状態で16日間、GPS使用かつ脈拍計測オンで20時間、GPS使用かつ脈拍計測オフで24時間。

カロリー、脈拍、睡眠から心の状態までわかる「PULSENSE」

 エプソンが活動量計として初めて投入するPULSENSEシリーズは、腕に装着するだけで脈拍や運動強度の測定や、カロリー収支、睡眠、心の状態などを管理できるリストバンド型のウェアラブル端末。「WristableGPS」シリーズがスポーツ向けの製品である一方、PULSENSEシリーズは“ライフ向け”と位置づけている。

 加速度センサーと、エプソン独自技術の高精度脈拍センサーを搭載し、血中のヘモグロビンが光を吸収する性質を利用して、手首の血管にLED光を照射し、血流の変化により脈拍数を計測する。坂道と平坦な道で体への負荷が異なるが、動き(加速度)と脈拍(負荷)をそれぞれ計測することで、より正確に運動強度と消費カロリーを算出する。

 睡眠を記録する際には、脈拍と活動量から睡眠に入ったことを自動で検知できるため、睡眠モードへ切り替えが不要。睡眠時間や眠りの「深い」、「浅い」を可視化する。脈拍の連続計測時間は約36時間で、「常時計測」が可能。

 こうして計測したすべてのデータは、専用アプリ「PULSENSE View」に転送して、スマートフォンやタブレットなどで、細かく表示、分析できる。

 「PULSENSE View」アプリではこのほか、食事の記録をしてカロリーを算出、消費カロリーと合わせて1日のカロリー収支が算出もできる。また、目標体重と、達成時期を設定すれば、1日に必要な消費カロリーや運動量をアドバイスする機能も備えている。

 運動量が少ないときに脈拍が高い場合は「エキサイト」、低ければ「リラックス」といった判断をすることで、心の状態も分析して把握できる。こうした心の状態はスマートフォンのGPSにより位置情報と紐づけることもできる。“いつ、どこで、エキサイトした”、それは“どういった場面で”といったメモが残せる。たとえば“○月○日に旧友に会って盛り上がった”といった出来事を、ライフログ的に記録することもできる。

 Bluetooth Smartをサポートしており、スマートフォンの通知(電話、メール、スケジュール)も受けられる。本体のGPS測位は非搭載。

 液晶モニターを備える「PS-500B」の本体サイズは45×35×14mm、重さは44g。液晶モニター非搭載の「PS100B/T」の本体サイズは45×22×12.5mm、重さはLサイズが31g、Sサイズが30g。脈拍連続計測時間は約36時間。最大記録時間は約480時間。

ゴルフセンサー「M-Tracer For Golf」の新モデル「MT500GII」

 2014年4月に発売されたゴルフスイングの解析システム「M-Tracer For Golf」の新モデル「MT500GII」も、今回あわせて発表された。10月8日に発売される。価格はオープンプライスで、想定価格は2万円台後半になる見込み。

 MT500GIIは、前モデルのユーザーから要望の多かった“ゴルフクラブのグリップへの着脱性”を向上させ、電源ボタンの形状を押しやすく変更したもの。合わせて提供されているスマートフォン、タブレット向けのアプリもバージョンアップして、10月2日に公開された。

ウェアラブル市場で目指すはシェアNo1

エプソン販売株式会社取締役の鈴村文徳氏

 スポーツ振興や健康志向、医療への関心が高まる中、市場においてウェアラブル端末が注目されている中、エプソンは端末のコアとなる自社のセンシング技術を活かした新製品として発表した。腕時計型でアクティビティトラッカーと呼ばれる製品群の中で、新製品を投入することで、国内シェアNo.1を目指すという。

 発表会では、これまで同社が手がけてきた製品がスライドで紹介された。1969年に発売したクオーツウオッチ、1982年のテレビウオッチ、1984年のリストコンピューター、1999年のロカティオの4製品だ。発表会の冒頭で登壇した、エプソン販売株式会社取締役の鈴村文徳氏は「ウェアラブル機器はエプソンのルーツとも言える。これらの製品は時代を先取りしてきたが、速すぎて事業の中核を担うことができなかった。いま最も注目されるウェアラブルというカテゴリにおいてシェアNo.1をとりたい」と語った。

 競争の激しい市場でもあるが、「スマートフォンの機能をそのまま腕にもってくる製品も多いが、そうではなく、エプソンだからできるコア技術で差別化を図る」とした。

川崎 絵美