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KDDI、2013年度利益は6632億円、対前年比29%増の2桁成長

「価格訴求より価値訴求」で15期連続の成長を目指す

KDDI代表取締役社長 田中孝司氏

 KDDIは4月30日、2014年3月期(2013年4月~2014年3月)の連結決算を発表した。2013年度累計の営業収益は、前年同期比18%増の4兆3336億円、営業利益は前年同期比29%増の6632億円、EBITDAは前年同期比24%増の1兆1861億円となった。昨年打ち出した、同社の利益拡大“3カ年計画”の初年度は2桁成長を達成した。

 純増数は281万件(前年同期比7.5%増)、au携帯電話におけるスマートフォン浸透率は49%(うちLTEは35%)と、ほぼ半数にまで伸びた。また、モバイルでのARPUは、2013年度の第4四半期で上昇となった。同社ではARPU上昇の理由として、スマートフォンへの移行が進みデータ通信量が増えたことによるものとしている。

 なお、同社では“ARPUの定義”を2014年度より変更するとした。変更内容として、タブレット端末やルーターなどのデータ専用端末やモジュールを含まず、フィーチャーフォンとスマートフォンでの1人当たりの数値に限定する。2013年度の実績をもとに、定義変更した場合の差異は+40円~+50円程度。

成長基盤を固めて2期連続の2桁成長を目指す

 KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、今期以降の成長基盤について、ユーザー数(ID)の拡大と、auスマートバリューを核とした付加価値ARPUの拡大、「スマートバリューmine」や「データシェア」など新たな商材拡販により、本格的な利益拡大を目指すと述べた。

 2015年3月期(2014年度)の予測として、連結営業利益を4兆6000億円(対前年比6%増)、営業利益を7300億円(対前年比10%増)、EBITDAは1兆2780億円(対前年比8%増)と予測。営業利益は2期連続の2桁成長を目標に掲げる。

マルチデバイス環境を整え、増収を狙う

 今後の成長にかかせない「データシェア」は、同社でのマルチデバイス利用促進において重要な商材と位置づける。スマートフォン・タブレットに加え、Smart TV Boxなどを介したテレビでのインターネット利用も促進していくとした。マルチデバイス化への促進には、“魅力的なデバイス”と、データシェアプランなどの環境づくりを重要視したうえで、拡大に向け利用シーンを提案していくとしている。

 また、J:COMとJCNとの合併により新J:COMが誕生した。あわせてauスマートバリューの適用条件をテレビ利用にも拡大したことによるクロスセル推進も純増アップに向けた取り組みとして期待される。

「au WALLET」で付加価値を拡大

 5月からは「au WALLETポイントプログラム」を開始する予定となっている。月々の利用料に応じてポイントが貯まり、2014年夏からは、MasterCard加盟店の一部やau通信料に充当することが可能になる。消費増税も後押しして、電子マネーやクレジットが急速に伸びている中で、「“電子マネーとポイントのW取り(ダブル取り)”という構造を訴求していく」(田中氏)と、その方針を示した。詳細は5月8日の発表会で明らかになる。

ドコモの新料金プランについての印象、対抗策は?

 ドコモが発表した“カケホーダイ”を含む新料金プランについての印象について、田中社長は「料金プランそのものに対しては驚いていないのが本音。むしろユーザーがどう思っているのかという点に興味がある」とコメント。対抗策としては「すぐに対抗していくというよりは自分たちのやり方で“価格訴求より価値訴求”を重視したい」と述べ、詳しくは5月8日の発表会で明らかにするとして、明言を避けた。

 昨年ドコモからiPhoneが発売されたことによる影響について、いったん「危機は乗り越えた」(同氏)とコメントしている。

川崎 絵美