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グーグルのヤーガ氏が語る「Nexus 5」「Android 4.4」の狙い
(2013/11/1 11:42)
グーグルから、5インチディスプレイ搭載のLG製Androidスマートフォン「Nexus 5」と、最新バージョンとなる「Android 4.4」が発表された。グーグルのエンジニアリングディレクターであるクリス・ヤーガ氏がそれらの特徴を語った。
KitKat、3つの狙い
Android 4.4について、ヤーガ氏の言葉を紹介しよう。
「KitKatは、3つの明確なゴールがあった。これからさらに10億人に対して、OEMメーカーが端末を作りやすくすること。そして視覚的に美しく、楽しく、魅力的であること。3点目としてグーグルのスマートな特性を楽しんでもらえるようにすることだった」
「世界中のさまざまなシーンにフィットする携帯電話を目指すという点では、アクティベーションがインド、インドネシア、メキシコなどで、世界平均の3倍で成長し続けている。そういった新興国市場では制限がある。それは、まだAndroid 2.3が1/4を占めるということ。これはRAM(メモリ)が最高で512MB程度になっているためだ」
「そこでグーグルは『Project Svelte』をスタートした。より軽量化したAndroidで、そういった新興国市場のデバイスでも動作しやすくするものだ。通常、ソフト開発は、新しいプラットフォームで、大きくなったりするが、今回のKitKatはより軽く薄くしたいと考えた」
「新興国で受け入れられるOSということで、コンテンツプロバイダーにとって収益の機会がさらに広がる」
Android 4.4の特徴
画面上部の通知バー、あるいは画面下部のドック(ナビゲーションバー))の周辺は、背景が透明になり、そのまま待受画像が見える。ステータスバーのデザインも変更された。アプリアイコンのフォントも「Roboto」というものに変更され、クリアな印象を高めた。
通話アプリ(ダイアラー)は、グーグルのスマートさを反映させたとのこと。現在地周辺にあわせて、店の名前を入れるだけで、検索して電話番号を調べられる。連絡先から探すのではなく、現在地とクラウドを組み合わせて利用できるという。誰かからかかってきたときにも、この仕組みは利用する形となり、アドレス帳に含まれていない番号からの電話でも、クラウド上にデータがあれば、その情報を表示する。
SMS、ハングアウト、ビデオコールは、全てハングアウトの画面で操作する形になった。ハングアウトでは、テキスト入力フォームの右端にあるロケーションアイコンをタップすると、メッセージをやり取りする相手に、自分の現在地を送信できる。このほか文字入力では800以上の絵文字をサポートした。
カメラ関連では、屋根の下とよく晴れた空、といった明暗差のある場所での撮影でも綺麗に撮影できる「HDR+」をサポートした。
メモリが512MBという端末でも利用できる、というAndroid 4.4だが、バッテリーの持ちについてヤーガ氏は「OSは軽量化したが、駆動時間は通信環境やディスプレイなどの影響を受ける」と述べ、Android 4.4はさほど大きな影響を与えていないとした。
Google Nowをより親しみのある存在に
ホームスクリーンを右方向に動かすと、Google Nowが表示される。こうした操作方法を採り入れた背景として、ヤーガ氏は「隣に誰でもいる、という感覚のようにGoogle Nowをいつでも使える状態にしたかった。以前よりも自然に使える、ということで採り入れた」と説明した。
断片化対策か?
Androidは、これまで数多くの機種が登場し、その分、さまざまなバージョンの機種が現役のまま利用されてきた。今回、Android 2.3向けの古い機種でも利用できるよう、軽量化したAndroid 4.4は、そうした“断片化(フラングメンテーション)”した状況への対策にもなり得る。
この点について、ヤーガ氏はあくまで最新のイノベーションを全て盛り込み、より幅広い端末で利用できるようにするもの、とAndroid 4.4を位置付ける。そして、もう1つ、Google Playサービスにおいて、最新のAPIを開発者に提供しており、どのプラットフォームでも最新のAPIを利用できることに注力している、と述べた。
ドコモのiPhone販売、Androidへの影響は?
日本市場で、NTTドコモがiPhoneを取り扱うようになったことへの影響を問われたヤーガ氏は「グーグルは常に“オープンであること”を掲げており、ユーザーが自由に選択できることがベストということから、iPhoneの拡充は歓迎している。Androidにはグーグルの智恵を盛り込み、魅力的な製品に仕上げている」と語っていた。
Nexus 5
Nexus 5は、LGと開発した最新機種。その特徴は、意図的に非常にシンプルなデザインとして、なおかつ性能をアップさせたことだという。
「フルHDディスプレイの色再現性は現実と同等で、Gorillaガラス3も採用した。重さ130g、薄さ8.59mmに仕上げられた。薄くなってもパフォーマンスは落としておらず、最新のチップセット(Snapdragon 800)を搭載している。LTEにも対応している」
また、Nexus 5はイー・モバイル(イー・アクセス)から11月中旬に発売されることが明らかにされた。なお、Google Playストアで販売される「Nexus 5」は、SIMロックフリーであるとしている。カメラ周辺は、陽極処理済アルミニウムを採用。電源ボタンや音量ボタンはテクニカルセラミックと呼ばれる材質を用いていることも明らかにされた。
Google Playストアで販売されるモデルとイー・モバイル版の仕様について、SIMロック関連以外の仕様は共通で、SIMロックについては「イー・モバイル版はわからない」とコメント。グーグルがキャリアのことをコメントする立場にない、とも述べていた。なお、イー・モバイルの発表会で、イー・モバイル版もSIMロックフリーであることが明らかにされている。
「今回、昨年Nexus 4をリリースした時には、米国に続いて2カ国目での販売がなかなか決まらなかったが、今回は最初から11カ国での販売になった、という点は嬉しいポイント」とヤーガ氏は語っていた。